紙の本
パンデミックの先を見据えて
2022/04/05 22:32
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
コロナ禍に見舞われた世界各地でも、微妙な温度差や格差があるようですね。ウイルスによって分断が深まるのではなく、一致団結のきっかけになってほしいと思います。
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筆者の美馬博士はCOVID-19による今の世界を単に医学的な立場からだけではなく、社会学的とも言える観点からも捉えて、ウイルス対人間という単純な図式を超えた構造(コンスティテューション)を理解しようとする。
ウイルス対策は人個人の感染を防ぐ対策から、感染者、もしくは健常者であっても外部からの人の侵入を防ぐ国境での水際対策までさまざまなスケールのものがある一方で、ウィルスを悪として排除するかのように、感染者や自分の行動規則と異なる行動をする他者を排除=差別しようとする行動に至るなど、人、社会、国同士の対立につながるものがある。
これからはエスカレートすれば人権侵害になるし、一部の国においては国の制度としてそれを許している事が問題視されながらも、ウイルス感染拡大への対策としては効果をあげているなどの皮肉な状況もある。
美馬博士は今回のCOVID-19のパンデミックに至った経緯とそこで取られた対応を冷静に振り返り、過去のSARSや、スペイン風邪などの歴史も見返しながら、そこにおける生政治(バイオポリティクス)の状況を分析する。
今の対策をとっている背景に過去のパンデミック対策の経験(成功体験と反省)があったりする一方で、それが強すぎて客観性を失って動いてしまったところなども明らかになってきて、、とても面白い。
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【琉球大学附属図書館OPACリンク】
https://opac.lib.u-ryukyu.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB31461020