紙の本
国家の「決闘」禁じる9条の意義
2021/11/10 15:16
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぴんさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「戦争と平和」ではなく「戦争と法」。善としての平和ではなく、対立する複数の善の前提条件としての「法」を、戦争に対置させている。戦争の攻撃目標は、「敵国の社会契約、つまり憲法原理」だという、ルソー『戦争法原理』が基調だ。
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【憲法学の第一人者が放つ、瞠目の戦争論】戦争の攻撃目標は相手の国家の社会契約、つまり憲法原理である。朝鮮戦争、フォークランド紛争、テロとの戦い等を法から論じた快著。
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戦争は究極的には国の社会契約、憲法原理への攻撃であるという。
参考文献としている洋書を読んで戦争の歴史を学びたい。
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戦争と憲法は切っても切れないつながりがあります。本書は第一級の憲法学者が近現代の戦争を分析しながら、憲法との密接な関係を示し、憲法9条を改正することは意味がないと断じています。
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憲法学者とのことだが戦争に関しても膨大な量の本を読んでいるよう。
日本の憲法、名誉革命、ナポレオン、ビスマルク、ヨームキップール戦争、フォークランド紛争、核兵器、朝鮮戦争、グァンタナモなど、歴史的な事象についていろんな観点から解説を加えている。
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歴史的なできごとの説明・解説とロジックが入り交ざって進んでいくのですっきりしない。
ロジック部分(主に9条にまつわる、樋口陽一批判の部分)は、『憲法と平和を問いなおす』を読んだ方がすっきりと説明されていてわかりやすい。だから肉付け(というか議論の前提としての戦争史関する教養)を学ぶための本、という感じか。
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https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163912387
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「短期決戦で決着がつくはずだという思い込みで軍事行動に走るのは危険」「自国だけでなく、関係する国々が共通してそこにラインが引かれていると考えているラインを十分な理由もなく動揺させるべきでもありません」(217頁)国民の暮らしの安全、生命と財産の安全が保障できるかは、新型コロナウィルス対策と同じでしない方がいいことはあるが、絶対大丈夫はない、国家には友人は存在せず、あるのは相互の利害計算にもとずく同盟者だけ、この世で「正しいこと」「望ましいこと」を同時に満足させることはできない、簡単な問題ではないのに簡単であるかのように取り扱うことはやめるべき。たくさんの本書のフレーズがウクライナ侵攻を止める判断に用いられてほしいと願います。