紙の本
散漫な文章による小ネタの開陳
2020/07/21 22:36
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:magoichi - この投稿者のレビュー一覧を見る
江戸時代後期の吉原の風俗と芝居小屋の内幕が、延々と続く。そういう序文かと思って読み出したが、半分過ぎてもダラダラ続く。つまらない雑学情報の羅列に集中力が削がれる。
裏表紙に主人公の名前が無ければ、誰が主人公かも分からない。当然ながら主人公も他の登場人物も全く魅力を発しない。
同時代の同じく絵師を題材にした朝井まかての「眩くらら」と比較すれば、その時代の息吹も主人公の情熱も全く感じない。それが技量に不足か情熱の不足かはわからないが、長距離移動中とは言え半分読み進んだ自分を褒めてやりたい。
投稿元:
レビューを見る
皆川さんの時代小説は「少年十字軍」以来で、日本、しかも謎の写楽が主人公。
ですが、私は彼を見出した蔦屋重三郎に惹かれました。
才能を見出す観る目、育てる力。
彼が居たから、今があるものもあると思うと、読んでいて、実に魅力的でした。
写楽もまた己の生き方に迷い、最後に選んだ道が切ない。
そんな事を思う一冊でした。
投稿元:
レビューを見る
写楽の正体は?という問いは、本能寺の黒幕は?に匹敵する歴史のミステリーになっています。
さて、本作品は前世紀に映画化された作品の小説に当たります。映画に関しては辛うじて記憶の向こう側に有る様な無いようなですが、解説を観ると出演が真田広之、片岡鶴太郎、佐野史郎や葉月里緒奈などで思わず観てみたくなるような俳優陣です。
さて、本作品は写楽の正体を巡るミステリーではありません。
主人公の翻弄される奇異な運命を本筋に江戸の名プロデューサー蔦谷重三郎とその仲間達の物語となっております。どの様に写楽は現れ消えていったのか?と当時の江戸の風俗と文化を楽むような作品となっております。
それにしても蔦屋重三郎の下に集まった面々は凄い!
喜多川歌麿、山東京伝、十返舎一九、滝沢馬琴に葛飾北斎など教科書にも載るアーティスト達を発見し育て上げた実績は凄いの一言です。
現代で言うと少年ジャンプの編集者みたいなものかなぁと、ふと思いました。
投稿元:
レビューを見る
江戸文化史版水滸伝という感じでビッグネームたちが集まり散じてゆく様が大変楽しかった。そこにフォーカスした方がおもしろいさくひんになったのではないか。とんぼの挫折をだらだら書いたり蔦屋の投獄を丁寧に追っかけたりって、正直、要る?筆者自身も要らないと判断した部分はばさっと省略する人のようだし、もっとエンタメ度を高められたのではないかという気がする。
写楽の活躍した10ヶ月間が非常にあっさりと描写され、ほとんど劇的な場面を交えずに終わるのは、ドライで小気味良かった。
とんぼのほのかな恋が悪所における世俗の垢に汚染されて終わってゆく様なども苦くてよい。結局捨てた女のところに出戻るという、希望がなくはないけどとても小さな結末は、愛おしくも切ない。
投稿元:
レビューを見る
不勉強なものでお恥ずかしい限りなのですが、写楽ってそんなに謎に包まれてる絵描きだったんか…
褒めてくれた人を、ただひたすらに、思い続ける
それは無垢か、執念か
皆川博子だな~~~~~~~~~っていうエッセンスを随所に感じる…
投稿元:
レビューを見る
昔の色街とか芝居とか商いとかを題材にした作品大好き
皆川博子2作品目だからもっと幻想的なの期待してたけど身体性と人に向けられる感情が良い
スピン一回で買うのやめちゃったけど皆川博子に出会えたのは本当に良かった