投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
短い短編の中で、テンポ良く時間が流れていく。身近な誰かのことのような話、取り止めがないような話、ちょっと不思議な話、壮大な話、いろいろな物語が詰め込まれている。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
自然な気持ちで読める実にあっさりした33の短編集。考えてみれば少し不自然な展開が多い。しかし読後感としては爽やか。銭湯を営む家の「正」の名前を継ぐ男の物語。仲が良かった兄弟の2人のそれぞれの歩みと大人になってからのTV・ラジオでの接触。地下街の噴水前で出会う男女の数年後。テレビ好きな女の子が宇宙飛行士になると決めて、月面に立った初めての女性になった日本人のお話し…。信じがたいほど常識を全く欠いていた若い男が、部長にまでなったという伝聞の話し。33の話し全ての主人公が異なる。これだけ短いお話の中にいろんな人生を考えさせられる文は凄い!
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
帯にあった「遠くの見知らぬ誰かの生が、ふいに自分の生になる。そのぞくりとするような瞬間」ー岸本佐知子
という言葉の通り、どこの場所だかいつの時代だかわからない物語33篇。記憶の奥底で自分や自分の家族にもこんなことなかったっけ?と思うような不思議な感覚を覚えた。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
3ページばかりの短編が約30編。
淡々とした情景描写。
全て過去形とすることで
それぞれ登場人物に
何気ない物語が存在していたことを、
そして過ぎ去っていく時間の流れを、
描く。
今風に言うのであれば「ナラティブ」か。
他の著作も読んでみようと思う。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
長いタイトルを持った33の短い物語。
例えば「逃げて入り江にたどり着いた男は少年と老人に助けられ、戦争が終わってからもその集落に住み続けたが、ほとんど少年としか話さなかった」がタイトルで、6ページの本文はタイトル通りの内容でしかありません。ほぼ全てがそのスタイルで書かれ、それぞれの短編(ショートショート)の間に関連は有りません。
読みながらこれは柴崎さんの静物画ではないかと思っていました。机に花やリンゴや瓶を並べる=物語のタイトルを書く。キャンパスに絵を描く=本文を書く。私は余り静物画に興味が湧かないのですが「何を」画くかではなく「どう」描くかが問われる絵画なのだろうと思います。対象物の質感そのものや、画家が対象物から受ける印象をどう表現するか。
柴崎さんの文章は短く力強く直線的。それが組み合わさって物語が構成されて行きます。たまに長いセンテンスが有っても、柔らかく形をなぞるのではなく、筆圧強くグイッと一気に描く感じです。その様にして描かれた対象物がバラバラの33枚の静物画が並んでいる。そんな印象を受ける短編集です。
私は「どう」より「何を」が好きなので、こういう話は苦手なはずなのですが、何故かこの本は結構楽しんで読めました。理由は判りません。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
人を含めた自然物だけでなく人が作り出した物、文化など森羅万象全てのものの時空を超えたさまざまな生と死を記録した歴史。「きょうのできごと」とはまた違う柴崎由香さん。彼女の視点、時空の超え方はまさに「神?」神ってます。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
短い小説集なんですが、ショート・ショートともちょっと違う気がするんですよ。ショート・ショートの方はストンと腑に落ちる結末になるか、有り得ない~で終わるのです(私の認識では)。
ところが、柴崎友香さんのは腑に落ちない、どこかで何かが曲がってしまって不安感が起こる、そうして読者が「こういう風になるのではないか」と結末を想像してしまえるようなのもある。
たしかに人生百年時代、生まれて死ぬまで何が起こるかわかりませんよね。それを圧縮するとこのような小説ができるのでしょう。平凡な日常のようで、どこかでぽっかり穴が開く、しかし何事もなかったようにつづいていく。
この長いタイトルのたくさんな短編の内容で、なんですか、何巻もの長編が書けそうな気がしてくる、読後感です。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
100年と1日。
タイトルからどんな内容なのか想像していたものとは少し違っていて、短編がつらつらと。
それぞれ繋がっているわけでもなく、時代も場所も人も異なる短い(けれど、時間軸の長い)お話。読んでいるうちになんだか不思議と惹き込まれ一気読みでした。
いいなぁと。人の暮らしとか営みとか街の歴史とか、続いてるのが、良いなって。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
著者の芥川賞作品『春の庭』はちょっと気になっていたけど、海外にいた頃で手に取るタイミングを逸した。
その『春の庭』でも、かつてその場所に生きた人たちの時間が積み重なった街と、今そこに生きる人間の関係を描いてきた著者。
「人は自分の記憶や経験だけでなく、他者の記憶や経験をも生きているものだと思います」と、とあるインタビューで語っている。
そもそも、読書というのも、文字を通して他人の人生を生きるモノでもあり、作品の登場人物と時を過ごす楽しみがある。
本書はそうした他人の人生の何十年もの営みが、サラリと手短に33篇も収録されていて面白い。面白いといっても、個々の人生が面白いわけでなく、実になんてことない、ごくありふれた日常が多い。なんでもない時間の積み重ねこそ人生だと言わんばかりに。
200頁に満たない中に33篇だ。長いもので数ページ、短いものは3ページほど。その中に、10年単位の物語・・・ というか、時の流れが記されている。
さらにご丁寧に、各作品に、その要約とでもいうようなタイトルが付けられている。
「一年一組一番と二組一番は、長雨の夏に渡り廊下の植え込みできのこを発見し、卒業して二年後に再会したあと、十年経って、二十年経って、まだ会えていない話」
「商店街のメニュー図解を並べた古びた喫茶店は、店主が学生時代に通ったジャズ喫茶を理想として開店し、三十年近く営業して閉店した」
タイトルで書かれているとおりに物語は展開し、とくに大きな展開も、予想外の結末も待ってはいない。ただそこに過ぎ去った時間の記憶だけが記されている。
最初の数作を読んでいるうちは、なんだか味気ない話ばかりだなと思ってページを繰っていた。あるいは、それぞれのお話がどこかで有機的にリンクしている、昨今ありがちなギミックでも凝らしているタイプかとも思ったがそうでもない。
徐々に気づくが、淡々とした物語こそ人生なんだな、と思わされる。というか、目を見張るような起承転結がなくても、人の一生は形作られていくものだと、思わされる。
こんなタイトルの作品もある。
「二人は毎月名画座に通い、映画館に行く前には必ず近くのラーメン屋でラーメンと餃子とチャーハンを食べ、あるとき映画の中に一人とそっくりな人物が映っているのを観た」
うちの夫婦だって
「二人は毎週地元の映画館に通い、映画を観た後は必ず作品の舞台にちなんだ料理を食べ、・・・・」
と、この作品のような一遍が出来上がるかもしれない。いや、出来上がるのだろう。
人生って、そんなもの。
いや、そんな人生も、どれもが尊い、ということなのかもしれない。
著者は大阪生まれだ。地下街の噴水の話が二篇あった。どちらも梅田の地下街のことだろう。既視感のある風景、行きかう人の様子が懐かしい。
また、
「言うたらあかんで、って言われるから、言うたらあかんで」
という関西弁あるあるの表現もクスリとさせられる。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
時間・人・風景のそれぞれがつながり連なっていく物語の濃厚さに、短編集でありながら一気読みできず。時間をかけて読み進めました。
日常の小さな世界を淡々と描いているのに、SFを読んでいるような不思議な感覚。名前すら出てこない登場人物の顔が見えるような、想像力を掻き立てられる素敵な本でした。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
なんか時間かかったな。好きなんだけど…。
すごく静かなのに楽しく読めるんだよな。
疲れてるときに一話ずつ読んだりするといいかも?
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
私が読書に求めるものは、実際に体験できないこと、大きな変化、スリル、ドキドキ。だからミステリが一番好きだ。この本はそれとは対極にある、「日常系」。早く次が読みたい!と時間を忘れて没頭するのではなく、通勤中電車の中で、昼休みご飯を食べた後で、など少しずつ読み進め、時間がかかった。ただ、飽きなかった。
内容は、短編集。一つ一つのタイトルがやたらと長く、タイトルを読んだだけではどんな話なのかが掴めない。でも一編を読み終えた後にタイトルを見返すと、ああ確かに、としっくり来るのだった。
「百年と一日」という本のタイトル通り、どれも話の中で時間が経過する。一瞬では物語にならないようなことも、何年も時間が経過することで物語になるのだなと思った。どれもドラマチックな物語ではない。正直、え?これで終わり?って話もある。その辺でありそうな、でも普段の自分の生活をしていると見過ごしてしまいそうなこと。フィクションなのか、ノンフィクションなのか。そんな曖昧な物語を作る作者さんの能力、高杉。
いつもと違う読書体験ができた、ちょっと忘れられない一冊になりそうだなあ。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
どこかの誰か、あるいは場所や建物にまつわる短い物語。それぞれ数十年から百年ぐらいの期間の話で、特別なオチや伏線回収があるわけではない。でも、時の流れの中で、変わったことや変わらなかったことはそれぞれで、そこにふわっとした面白みがある。
一気に読まずに、気が向いた時に読みたい分だけ少しずつ読み進めた。そういう読み方が合っている作品。
悪くはないのだけど、今の生活の中でこういった読書のちょうどよい居場所がなかなか見つからない。このような本を読むことがしっくりくるようなゆとりのある生活をすることが一つの理想なのだろうなと思ってしまった。
下記の対談で裏話なども語られている。
https://www.kateigaho.com/migaku/85927/
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
色んな人の色んな時代の些末な出来事を淡々と綴った短編集。
感情を削ぎ落としてただ事実のみを列挙する形での物語って読んでいて新鮮だった。
登場人物の感情描写がないせいか、読む人によって感じることはだいぶ違いそう。
個人的には読みづらく、好みとはいえなかったけど、不思議な感覚のある本だった。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
短い文章で2世代から3世代の物語を綴るという面白い構成の短編集だが、多彩な人物が登場して楽しめた.表題には「百年」とあるが、確かに時間はあっという間に過ぎるものだ.過去の物語が現在のものより、やや印象的な感じがするのは、自然なことなのかな と思った.