禁じられた西郷隆盛の「顔」 写真から消された維新最大の功労者 みんなのレビュー

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投稿者：Haserumio　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

加治将一氏の『西郷の貌』は既に読了済みであったところ、本書の存在を最近知り一読。『西郷の貌』続編といった趣の一冊であり、残念ながら西郷の写真が確定したという内容ではないのだが、却って謎が深まったという点でこの問題のミステリアスさがいや増したところに興趣を感ずる。

具体的には、本書における発見事項は以下の二点か。（詳しくは読んでみてほしい。）
・「フルベッキ群像写真」と「一三人撮り」において西郷と推測される圧のある巨漢は別人。一方で、「一三人撮り」と「大阪造幣寮行幸写真」の比較鑑定によれば、この二枚に写っている当該巨漢は同一人物の可能性がある。（後者では「海軍の軍服」（152頁）の着用が認められるので、西郷ではないということになりそうだが、突破口はあるのか？）
・明治天皇すり替え説については、加治氏の主張する即位（践祚）前ではなく、践祚後にすり替わった可能性がある（209頁）。

「西郷さんの顔を模写し」（141頁）たという藤田家描画の探索がしっかりなされていなかったり、重要鑑定結果の紹介が一部省略されてしまっている（246頁）といった点で、正直詰めの甘い一書だが、頑張って続編を期待したい。