紙の本
夢も希望も。
2021/03/17 14:56
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投稿者:名取の姫小松 - この投稿者のレビュー一覧を見る
アメリカ合衆国の先住民は先住していたのに、移民してきた訳じゃないのに、白人との格差を感じて生活している。さらにアングロサクソン系ではない移民がいる。
男性も生きづらいし、女性また生きづらい。人生の底上げするのに地道に学んで、働く者もいれば、男性にぶら下がろうとする女性もいる。
表題にある『サブリナとコリーナ』は美しいサブリナと対照的な従姉妹のコリーナを描く。美しさ故に転落したサブリナ。でも彼女とわたしのどこが違うんだろう?
大地母神のようなお祖母ちゃんが人生にもがくヒロインたちを見守っている。
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やるなあこの人。『ガラパゴ』『チーズマン・パーク』『トミ』○。
何がいいって、なんか苦しいとか酷いとかで終わってないところがいい、むしろ明るいと言っていいような。力強さも美しさも感じる。
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アリス・マンローみたいな、とどなたかが呟いていたけど、それがちっとも誇大広告ではないと感じられる短編集。
アメリカ、デンバー。
私はそこの人種の問題をよく知らないし、
ほぼ1民族ばかりの国では普段意識しないことかもしれない。
不安さ、自信のなさ、悔しさ。
それ以上にあたりまえの人生のあり方や希望、愛への普遍的とも言えるものへの感情、感覚が、日常を切り取るように描かれている。
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米国デンバーのヒスパニック系の女性たちの短編集。祖母の伝える民間治療法、妹のダブルデートに付き合い事故に遭い視力を失った姉。アングロサクソン系の優位社会や横暴な男性、彼女たちを取り巻く社会は厳しい。これもアメリカ社会の一面なのか。
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米西戦争などでスペイン領から米国領になった土地について、歴史の教科書を読んでいるとその土地が空っぽになって白人系の人で空白が埋められたような感覚になるが、実際は「頭の上で国境が動いただけ」でそのまま住み続けた人がいるんだと言うことを、そして彼らが今までどう生きてきたのかを教えてくれる本だった。ヒスパニック=中南米から国境を越えてきた人、じゃないんだ。ずっと同じ場所に住んでいるのにアイデンティティの定まらない存在。こういう集団の人がいることを知らなかったなあ。少し訳がぎこちなくて読みにくいのが残念。
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不均衡と差別の歴史のなかで抗いながらも、逞しく生きる南部の女性たち。
若さと貧しさのなか不器用に暮らすさまは、生きることの大変さを詳らかにするけれど、と同時に生きぬくことはそう悪くもないんだって改めて感じさせてくれる。
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短編集11編
デンバーを舞台にヒスパニック系の女性を主人公にした物語.年齢、時代は色々ながら,貧しさや偏見などを抱え生きていく中で,伝統文化の底力のようなものが例えばおばあちゃんの知恵といった形で支えているところなどが良かった.
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デンバーに住むヒスパニック系の女性達。短編集のほとんどの話しに死がまとわりついている。
積年の貧困や差別が、襲いかかる不幸を軽く受け流すクセでも付けているかのように、彼女たちは淡々と暮らす。
過去を受け継ぎ未来を見据え、生きて生きて繋いでいく彼女たちの人生。その脆さと危うさの奥にある高潔さが心に刺さる。
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遠いアメリカの日本とは全く違う文化、環境、人々の話。
背景を知らないと分かりにくい部分もあるが、自分も登場人物と似たような経験をしたり、共感することも多かった。
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西加奈子の裏表紙コメントに惹かれて読んでみたら、とてもオモシロかった。著者はチカーノ系でデンバー在住らしい。多くのアメリカの小説や映画を見てきたけど、この組み合わせの風景を見たことがなく新鮮だった。デンバーと聞くとなんとなく山間部みたいなぼんやりしたイメージしかなかったけど、ここにもジェントリフィケーションの波が訪れていて、その風景が何度も出てきたので生まれ育った筆者としては相当思うところがあるのだろう。
本作は短編集でどの話もハズレなしでかなり完成度が高い。そして本作の最大の特徴はどの短編も女性が主人公で、しかもそれが大体二人という点だと思う。友人、家族とさまざまな女性同士の関係性を描きながら、その結果として男性の不在を描き出し彼女たちが社会でストラグルする姿がカッコよくて魅了された。物語として大きな展開はそこまでないものの何気ない風景描写が多く、生活がそこにある感じがしてぐいぐい引き込まれる。個人的には「ここで終わるの?」みたいな断絶タイプのオチが好きなんだけど、この作品はドヤ感を抑えつつ良い雰囲気でしっかりオチがついていて好きだった。これは訳者の方の力だと思う。全体にかなり読みやすい訳でもあった。
タイトルになっている「サブリナとコリーナ」は傍若無人だったあいつが自死してしまったその後と過去の関係を描いている作品。よくある設定だけど人物描写が丁寧でまるで映画を見ているようだった。好きだったのは「チーズマンパーク」という短編。カルフォルニアからデンバーへ出戻りした女性が階下の女性と仲良くなっていく過程が微笑ましいなと思っていたら思ってもないエンディングを迎える。愛されたり、愛したりの関係について短編でこれだけ考えさせられる点がオモシロかった。最後にその短編から引用しておく。
「世界が変わったのよ。あんまり差し迫った感じがしなくなって、なんとなく広がって、そしてあたしは、愛されてるのだろうかってことをあんまり気にしなくなったの」
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具体的な背景はわからないのだけれど、理不尽に感じる人種差別的な状況で、たくましく生きている人たち。
悲しみを抱えながらも人は生きていくのだと、
生きるとはそういうことなのかもしれない。
生き抜いたばあちゃんたちが強いのはそういうことだ。
生まれながらに人は平等ではないし、何かを抱えながら生きていくのだから。
でも、哀しいね・・・
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この本の繊細さと静けさが好き。悲しい話だらけなのに、それが珍しいことではなく、彼らにとっては日常の一部だということを認識させてくれるトーンだなと思う。
「西へなどとても」の引っ越し先で恋人を作る母とその娘の話や、「シュガー・ベイビーズ」の時々しか帰ってこない母とその娘の物語は、娘を思うととても切ない気持ちになり、「姉妹」の姉に待ち受ける結末には腹がたった。
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バックグラウンドを一言で表すのが難しい女の子たちの話で、繊細な感情が文から滲み出ている感じ。訳者あとがきにもあったが、それぞれの話に出てくるおばあちゃん達が、どこか諦めも含めて人生を達観しているよう様子がまたリアル。