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怖い…怖すぎる…
一見無理がありそうな設定ながらも、もしかしたら本当にありえる?と思わせる描写。
いつの間にか引き込まれて、続きが気になって気になって寝る時間も忘れて没頭しました。
マッツ先生の勇ましさ。お茶目さ。
気づけば先生と一緒になって、安堵したり怒ったり怯えたり。
最後の最後。おちと三上の協力を得てついに脱出に成功。空気がおいしいというマッツに対し、おちの、最後なんだからいっぱい吸っとけよ、的なセリフ。
嫌な予感がふつふつと…
桐野夏生さん久しぶり過ぎて忘れてたよ。
このままハッピーエンドで終わるはずなんてなかった。
あーこわい。過去に自分が読んだ小説の中で、間違いなくトップレベルのこわさだ。
どうかどうか、こんな世の中にはなりませんように。
大好きな小説が、ずっと自由に読める世界でありますように。
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作品に猥褻な表現が含まれていたとして、エンタメ作家が拉致され、「矯正」される。
書くべきは「正しい」作品だと告げられる。
1984年などにも通じる表現の自由への制限。
最近この類のテーマが続いている(個人的に)。
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期待して見たのにガッカリした『世にも奇妙な物語』って感じ。
桐野さんの作品としてはとても絶賛はできない内容。
訴えたい事はすごくわかる。今だからこそ書くべき本だったのかもしれない。
だけど主人公はもちろん、他の登場人物の描き方が浅すぎ。肝心のストーリーも最初と最後以外はほぼ同じような流れが繰り返される。
終わり方も個人的には好きじゃない。
桐野さんならもっといい作品書けるはず‼︎
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久しぶりの一気読み作品。
表現の自由と、法規制の問題がガチンコ。
星5つかな?と思いつつ、エンディングがなあ、、、4.5かなあ。
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桐野作品会心作。休日に一気読みさせて頂きました。近未来に有り得そうな表現の自由に対する法規制を鋭く描いた本作。エンディングの非情さも含めてストレートに素晴らしい作品だと感じました。桐野作品としては読み易く主題もハッキリとしているので、今から桐野夏生を初めて読むには最適な書かと思いました。
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かぎりなく半端なく桐野夏生は容赦ない。
政府の機関である「文化文芸倫理向上委員会(ブンリン)」からの召喚状が届いた小説家マッツ夢井の極限の収容生活。小説家にとって表現の自由を認められないこと、「悪い小説」を書かないように強いられることってそれは小説家の死を意味するのではないのか。
でも、刑務所の方がまだましだ、生きてここを出るより死んだほうがましだと思わされる劣悪な環境。そもそもここを生きて出られるのか…という不安に「転向」も頭をよぎる。そりゃそうだろう。
なんだこれ、そんなアホな、いや、これはひどすぎる、こわいこわいこわい、と他人事のように読んでいるけれど、本当にこれは他人事なのか?
そもそも「ブンリン」の存在そのものも、架空のものなのか?なんとなく不安になる。すでにあるんじゃないか。もしかするとすでに何人もの作家さんたちが本当はブンリンに強制収容されているんじゃないか。なんて。
でも、これはある意味すでに別の形で行われていることだよな、とも。
この表現によって誰かが傷ついています。この表現は倫理的に問題があります。この表現は反社会的です。だから私が正してあげます。
そういう強い意志の元、眼に見えない場所から投げつけられる石。どこかで標的の名前が上がったら徹底的に攻撃する言葉たち。「更生」されるまで続く「正義」という名の暴力。
「悪い」小説はその小説そのものではなく、書いた本人に責任があるのだから責めて叩いて矯正するべきらしい。でも、「良い」と「悪い」は誰が決めるんだ。それが、怖い。
何か大きな力でもって知らない間に都合のいいレールに乗せられている。同じ方を向いて、同じ考えをもって、同じものに頭を下げて。そういう社会に、もうなっているんじゃないのか。日は、沈んでしまったのか。
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国家による文学や芸術の統制など
割とよくあるテーマなのかもしれないけれど
今こんなことあるわけないよなー
と思いながら読みすすめていくうちに
もしかしたらあり得るかも…
と次第にリアルに恐怖を感じるようになる。
巨大な組織に対して
個人の力など微塵もないことを思い知る。
とにかく
物語にぐいぐいと引き込む力が凄い。
ただ、重要な結末が
あまりにも唐突ですっきりしなかった。
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結構キてるねこれは。私の心中はカオス。小説家のマッツ夢井は、自身の著書が「害悪である」という理由で刑務所同然の施設に閉じ込められ、改心するまで出られないという。とんでもなく不愉快な架空世界のようでもあり、昨今のすぐに目くじらを立てる表現の不自由さに一石を投じるような風刺のようでもあり。しかし終盤の怒涛のバタバタ感の説明プリーズ。何故ああなるんだ??ラストも恐ろしく後味悪し。それでも抜群のリーダビリティ、ハラハライライラドキドキできて、近年の作品の中ではかなり桐野さんっぽかったので私的には大満足だ。
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何者かによって自由を奪われる恐怖や怒り、絶望が生々しく描かれた作品。
ラストシーンまで一縷の希望を求めながらの一気読み。刺激を欲している方にお薦めします。
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近未来というかもしかしたらもう始まっているかもしれない言論規制。書物だけでなく、作家そのものを「改心」させるというブンリンによる人権を無視した隔離、収容の過程をリアルに描く。桐野さんだから面白いのはまちがいないのですが、どうにか打開してくれるという期待が。。。。だから☆4つ。もう、無理なのかもしれない。。。。
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女性作家・マッツ夢井の元に突然届いた総務省文化局・文化文芸倫理向上委員会(ブンリン)からの召喚状。彼女は疑念を持ちながらもそれに従う。誘導されたどり着いたのは孤絶した海辺の療養所。
所長の多田は彼女の小説の性描写が社会に害を与えるため、彼女に宿泊研修を受けさせるという。
療養所には、ブンリンが正しくないとみなした作家たちが収容され、外部との連絡を絶たれ食事時間も監視下におかれるなど、自由を奪われていた。職員は狡猾で暴力的、素直でない者、反抗する者は強制入院でベッドに縛りつけるなど、あの手この手を使い、徹底的に締め上げる。挙げ句に、精神的に弱い者は崖から飛び降りての自殺に追い込まれるが、それもブンリンにとって好都合だった。
マッツは表現の自由を訴え、反抗的な態度を見せるが、その都度、束縛度は強められ、やがて多田の指示通り、更正のための作文を書くようになる。
だが、自室に以前の収容者の遺書を見つけてから、また、反抗するようになり、強制入院、さらに拘束着を着せられ縛りつけられる。
ネット上での誹謗中傷、ヘイトスピーチが横行し、コロナ禍での同調圧力が高まる御時世、それが差別や犯罪につながることもある。国家はそれを防ごうと法律などで制限をかけるが、それが拡大解釈されると、文学、音楽、美術、演劇、映画等あらゆる分野の表現に規制が及んでいく。そんな事態に作家としての立場から警鐘を鳴らすというスタンスで書かれた作品。
だが、携帯や食事など当たり前の自由がなくなり、抵抗すれば処罰を受ける収容所の様子があまりにも恐ろしく、そこから主人公が脱出できるのか、力尽きるのかというホラー&サバイバルの色彩が強かった。そういう意味で一気に読んでしまいたくなる作品ではある。
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怖かったー!ハラハラしながら一気読み。
自分には関係ない犯罪者を取り締まる法律が施行されたと思っていたら、それと一緒に通った法律によって、出版した小説の表現が「穏当ではない」と判断されて収監される。訓練によって考え方を直す為と称され自由を奪われ、尊厳を奪われ、追い詰められて迎合しようとしたり反発したりする心の動きもリアル。
新たな法律が出来て、解釈の拡大なんかで気付いた時には、取り締まられる対象になっているってありそう。そうした動きにもっと敏感でいないと・・・なんて色々考えさせられるずっしりした読み応えでした。
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自由を奪われる恐怖に駆り立てられ、一気に読んでしまいました!
読了されたみなさんが、ラストをどう捉えられたのかが気になります。
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帯に書いてあることは仰々しいけど、Twitterの表現の自由論争に慣れてると「ああ、そのレベルか。そうだよな、そのレベルだよな」と落胆する。
1984年を後半から読むようなもので、オチも最初から読めてしまった。
とにかく、主人公を収容する側の人間が軽いのだ。実際に表現規制を目論む側と同じ軽さでどうする。
性や差別を描く作家から狙い撃ちにされるところまで、表現の自由論争では見飽きたパターンで残念だった。
図書館戦争をオススメする。
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小説家・マッツ夢井のもとに届いたのは「文化文芸倫理向上委員会」からの召喚状。「講習」を受けるという名目で指定された場所に行くと、マッツは「療養所」に軟禁されてしまう。そこは倫理的・道徳的に「問題がある」と国家が見做した、もしくは読者から告発された小説家を、「正しい」小説を書くよう矯正・再教育する秘密裏の国家施設だった。
外界との一切の交流を禁じられ、残飯のような酷い食事を与えられ、監視カメラで四六時中監視される生活。職員に反抗的な態度を取れば「減点」。「減点」がひとつ増えるたびに、収容は一週間伸びる。収容者のなかにも「ブンリン」のスパイがおり、何が本当か嘘か、誰が信じられるのか信じられないのかすら分からない。
主人公マッツは抵抗したり、「退院」できると信じて職員におもねってみたり、けれどやはり抵抗したり、諦めたりと、作家としての自分の信念を曲げるのか、自分の生存を優先するのかの間でつねに揺れ動き、ひとり闘い続ける。
この話は表現の自由をめぐる対国家権力だけがテーマになっているわけではない。小説とは何か、小説を書くとはどういうことなのかという作家の矜持と、虚構と現実、事実と規範の区別を読み取ることができないほどリテラシーの低下が著しい読者をも問題化し、読む側につきつける作品である。