紙の本
星野道夫の写真から生まれた絵本
2020/11/15 07:35
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投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「それを見つけたのは十月初旬のことだった。」
こんな文章で、写真家星野道夫が綴ったのは、『アラスカ風のような物語』所載の「あるムースの死」という短いエッセイだ。
「それは絡まった角と頭蓋骨だけが残った、二頭のムースの姿だった。(中略)静止した風景が、ひとつの物語を語りかけていた。」
この文には一枚の写真がついている。いや、写真があって文があるというのが正しいだろう。(写真はこの絵本の裏表紙で見ることができる)
その写真に誘発されて、絵本が生まれた。
書いたのは星野さんの友人でもあった鈴木まもるさん。
「ムース」は「ヘラジカ」の別の呼び方で、同じ動物。
星野さんが見て、感じた「ひとつの物語」を、鈴木さんもまた星野さんの写真で追体験することになる。
闘う二頭の巨大な雄のヘラジカ。角がからみあい、やがて疲れた二頭を待っていたように襲うオオカミ。さらにそのオオカミを追い払い、冬季の栄養にありつこうとするヒグマ。
さらには小さな動物たち、厳冬の地で冬を越そうとする鳥たち。
鈴木さんは、最後に骨になったヘラジカの角の片隅にアメリカタヒバリの巣とひなを描いて終わる。
「ヘラジカを追いながら、ぼくはまたさまざまな動物たちに出会った。ヘラジカがドラマをもっているように、それぞれの動物たちもまたそれぞれのドラマをもっているに違いない。」
星野さんはまた別のエッセイにそう書いている。
一枚の写真、一冊の絵本が読者に語りかける、それはドラマだといえる。
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働く車の絵本を多数書いている鈴木まもるさんが星野道夫さんと友人で、鳥の絵本もたくさん書いているなんて知らなかった。
星野さんの撮った1枚の写真。ツノを絡ませたヘラジカの頭蓋骨。その写真を元にアラスカの大自然で生きる動物たちの命の物語を描いた絵本。
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絵本作家の鈴木まもる氏が、同い年の写真家星野道夫の写真に触発されて描いた大自然の中の生命のつながり。大きなヘラジカの肉や骨が、様々な動物の生命となっていく様がよくわかる。
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アラスカで1枚の写真が撮られた。角をからませた2頭のヘラジカの頭蓋骨をとらえたその写真から、想像力の翼は遠いアラスカへと飛び立つ。なぜ2頭は角をからませたのだろう。その2頭はどのようにして死んだのだろう。その死体はどうなったのだろう…。
大自然の営みの豊かさを確かな筆致で描く絵本。
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写真家・星野道夫さんが撮った一枚の写真をもとに作られた絵本ということで読んでみました。
2頭が動けないことで、生きながらにして他の動物に食べられて行くの?と思ってしまいました。
ストーリーに理不尽なものはないのでしょうが、今一つ馴染めないような印象を受けました。
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朝日新聞書評で知り、角がからまったまま死ぬとはなんてこと、と驚き、図書館で借りました。
星野道夫さんの1枚の写真が圧巻。
そこから私が感じるのは、今なお続く二頭の困惑。
絵本は出来すぎたお話のような気が。
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ヘラジカがたたかっていて、角がからまってはずれなくなって、ずっとたたかいつづけなくてはいけなくなったのが、さびしい。ヒグマはオオカミよりもうんと大きくて、すごい強いなと思った。
ヘラジカはみんなに食べられて、ほねだけになってしまった。ほねだけになった後も、食べられて、さいごにはひばりのすになった。さみしいけど、からまってそのまま死ぬだけじゃなくて、みんなに食べられてえいようになって、ヘラジカもよろこんでいるかな。お父さんが「人間もしぜんの一部だよ」と言っています。
あとがきに、写真をとっていた星野さんがヒグマにおそわれて死んでしまったということが書いてあった。さびしいなと思った。(小3)
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アラスカに残された角がからみ合ったオスのヘラジカの頭蓋骨から想像を逞しくして書き下ろした物語。ヘラジカは一夫多妻なんですね。群れを守ろうとしたオスと群れを奪おうとしたオスの戦いは文字どおり死闘になりました。あとがきが衝撃です。ところで、あのメスの群れはあれからどうなったのでしょうねぇ。
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2020年度 5年生 寄贈本
星野道夫が遺(のこ)した1枚の写真から
生まれた物語。
アラスカのデナリの山のふもとで、
ある日オスどうしのはげしい戦いが始まった。
2頭は何度も体当たりをし、角をぶつけあった。
戦いは、長い時間続いた。
ガキ! 大きな角と角がぶつかってからまった。
そしてはずれなくなった。
2頭は戦い続けるしかない……。
大自然で暮らす動物たちの生命のつながりを描いた絵本です。
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裏表紙の二頭のヘラジカの頭蓋骨の写真。『二頭のヘラジカはなぜ角がからまったまま、骨になったのか…。』
生きるために戦った証でもある。
命が繋がっている。自然の摂理を想像させるこの写真と、そこから生まれた絵本。
自然ってすごい。
原案の星野道夫さんの本を読んでみたい。
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自然の厳しさ、たくましさ、力強さが描かれた絵本。生存競争の中で生じた「死」が自然の営みの中で「命」を繋ぐために生かされていく物語。
背表紙にこの物語の原案となった一枚の写真が載っています。
アラスカで撮影されたこの写真は、ヒグマに襲われて命を絶った星野道夫さんが撮影したもの。
自然はとても厳しい。
しかし、無駄なものが何一つ生じないようにできている。
全てを受け入れ、全てが生かされる、自然の偉大さを感じます。
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「第2回親子で読んでほしい絵本大賞」
を受賞されたとフォロワーさんのゆうママさんに教えていただきました。
迫力があり命の厳しさ、尊さが胸に迫ります。
裏表紙の写真
アラスカの清流に残された絡まったままのヘラジカの角
亡くなってしまわれた写真家の星野道夫さんと親交のあった著者が着想を得て、この絵本を世に出しました。
何一つ無駄のない生命のつながり
それがひしひしと伝わってきます。
ラストのヒバリのヒナたちのなんと愛しいことでしょう
≪ アラスカの 命をつなぐ 風・光 ≫
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厳しい生き物の世界の現実をまざまざと見せられる。
残酷なようで、鳥たちにとってはヘラジカのつのも有用であること、最後のヒナが育っている場面で少し心が温まりました。
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この一枚の写真を見てきっと最初は「可哀想」と思うはず。でも物語を読むと、その気持ちが変わってくるのを感じられる。幼少期からこういう絵本を読むことで、物事を多面的に深く考えられるようになるだろうなと思った。
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星野道夫さんがアラスカで撮影した絡み合った二頭のヘラジカの骨の写真。鈴木まもるさんは『この写真の絵本を作ろう』とアラスカに行って、星野さんの奥様の了解を得て、この絵本が作られた。大自然の『いのち』のつながりの物語。