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趣味どきっ!人と暮らしの台所で、その暮らしぶりを拝見して、ステキだなと思い著書を検索したら、直近で本書が出たのを知り、早速読了。自然体で、自身の言葉でしっかりと噛みしめながら描かれているのが良かった。
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栄養価が高くてもおいしくない本もある。高山さんのように、自分の体を通していい!と思った本だけを摂取したい。
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料理研究家、文筆家の高山なおみさんの本と言葉にまつわるエッセイと対談。
高山さんは料理とご本人から醸し出される空気感がすきです。
飾り気なくて素朴で、野生味が少し残っていて。
文章は初めて読みました。
やっぱり素敵なひとでした。
対談は絵本編集者の筒井大介さん、写真家の斎藤陽道さん、画家の中野真典さんの三人。
本の仕様が面白くて、対談ページが三人とも紙の色と質と文字のフォントが違うのです。
それぞれの人物像の違いを表しているようで楽しいです。
斎藤さんは耳が聞こえない方だそうで、対談は筆談で行われたのだそうです。
大きな紙に交互に互いの思いを書き連ねてゆく様子を想像すると、なんだかほんわかしました。
高山さんの料理を食べながら、というのも贅沢!
ひととひと、ひとと本との出会いは特別なものになり得るんだと改めて感じました。
高山さんの絵本、読んでみたいです。
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「本を愛しなさい」長田弘
長田弘さんの「本のおくりもの」というページだけは、何かいいことが書いてありそうな、いつだって香ばしい匂いがしていた。文章なのに、詩みたい。耳ざわりのいい音楽みたい。よく意味が分からないところにつき当たっても、何度も読んでいるうちに、体の中にしみ入ってひとつになれた。
粉と卵とバターの匂いのしみついた私が、さぼり続けていた学校を卒業し、三年近くも(若い私には、とてつもなく長い時間に感じた)働いた喫茶店を辞める決心をしたのは、「人生で一番大切なことの一つは、とウルフ氏は言ったのだった。人生を派手にやるのではなく、わずかな元手でやるということだ。わずかな元手というのは、じぶんで、ということである」というところを、くり返し、くり返し、よく噛んで食べるように読んでいたからだ。
「ゼロになるからだ」覚和歌子
遠くに置いてきたような私の体。
体の奥の方で、ちろちろと流れる川。
その川に小舟を浮かべ、静かな心だけになって、夢を渡り歩いているような読み心地。微熱のせいでぼんやりした頭が、本の世界と入り交じります。
もしかしたらゼロになるからだとは、こんな感覚のことをいうんでしょうか。詩のような、物語のような一篇一篇は、まったく違う話のようでいて、川底ではつながっている。不思議なのに不思議でない世界。
「リスとはじめての雪」
動物を擬人化している絵本はたくさんあるけど、この絵本は少し違う。読んでいると人間の方こそが、擬動物化されているような感じがしてきます。それにしてもどうしてこんなにはちゃめちゃなのでしょう。著者のゼバスティアン・メッシェンモーザーさんが描いた動物たちは、デッサンのように精密で、真面目くさった線なのに、笑いも、切なさも、ダイナミックさも、夢も、現実すべてがそこにあり、雪の場面では本当に世界から音が消えます。