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印象に残る文章がいくつもあり、男女の差と共生について考えさせられた。
ただ、ズバリフェミっぽいタイトルとかわいい表紙で、男の人はよっぽど意識高くないとなかなか手に取らないだろうなあ。読んでみてほしいけど。
今より少しジェンダー意識が進んだ世界線の物語という感じ。
・父乳の夢
父親も治療すれば授乳できるようになった世界での夫婦の話。
父が授乳する描写、条件反射でちょっと気持ち悪いと思ってしまった自分がいて、めっちゃジェンダーのバイアスかけちゃってるわ、とハッとした。
お父さんの方が、妊娠・出産を経たお母さんと子供の間に「僕には入れない親子関係」があると感じて「僕だっておなかで薫ちゃんを育てたかった」と嫉妬することがあるという発想は私にはなかったけど、実際世の父はひっそりそう感じて、子育てに協力的じゃなくなったりしてるのかもしれない。
新生児が母乳を飲まなくなるまでの成長が事細かに書かれていて、勉強にもなった。
・笑顔と筋肉ロボット
筋肉ロボットが発達して、日常で女の人も重いものを持てるようになった世界での夫婦の話。
「誰だって力仕事ができる」「人間同士の差がなくなっ」た世界で、「この世に生きている誰も彼もが、必要とはされていない」「必要とされていなくても、生きていかなくちゃいけない」という時代、すぐそこまで来ているのかも。
作中で主人公が、何かをやってもらって「ありがとう」と言わなければならない圧力が女の人に集中してしまっていると感じるが、私も時々そう思う。
男の人が特に「相手にできないことを自分がやるという仕事でしか自分の存在価値を確認できないと思い込んでいるから、『できない人』を捻出しようとしちゃう」という論、なるほど。
・キラキラPMS(または、波乗り太郎)
高山病とPMSの症状が近いとして、感覚を男性陣に疑似体験させる発想が面白いと思った。
ネットなどで得た知識を元に、やたら「わかるよ」と言っている太郎に、妻の床は「わからなくっていいよ」と返す。
最近読んだ『深夜特急』にも、バンコクに長く駐在する御主人が「外国というのはわからないですね」というシーンがあったけど、男女間も、よくわからないと思っている方が、結局は誤らないのかもしれない。
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おもしろかった!
装丁の新しそうさと、タイトルで手に取ったけど正解だった。山崎ナオコーラ先生はじめて読んだ気がするけどきっと好き。
育児、性差、生理(PMS)など自分が興味ある題材だったのもあるかも。
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一つひとつの小さなジェンダー項目にこれでもかといちゃもんをつけるこういう人物がたくさんになると本当に大変なことになりそうです。きっとワタシの考えが古いのでしょう。親父のオッパイで育てられる?それだけはまっぴらです。どうか勘弁してください。
服を作るのもカバンを作るのもある程度以上の需要があって業として成り立ちます。あなただけのために作るのならそれは趣味か芸術かのどちらかでしょう。
まだ初めの方ですが早くも読み続けるのがしんどくなってきました。さて、どこまで読めるものやら…
3日目 面白くない…もう挫けそう。
8日目 やっと3分の2くらい…遅々。せっかくここまで読んだんやから。
10日目 おつかれさまでした。
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日常のちょっとした違和感を言語化するのがうまいなあ。モヤモヤしたけどおもしろかった。一気に読了。
男ってまじで女のこと分かってないな~~~!って思ってたけど、きっと逆もそうよね。父乳の話で父親の気持ちに、なるほどな~。そういう人もいるんかな~~~と。
でも「妊娠出産は育児のメインじゃない」「妊娠して具合の悪そうなのを自慢げに言っていた」なんて言われたら、育児に熱心な夫とはいえ傷つくわ…だって命がけじゃん…やっぱ分かり合いないかも…と思った…無理…
キラキラPMSの太郎みたいに「わかる、わかるよ」ばかり言われてもやってられないしな~~そもそも生理の話の対になるのが射精って、なんでなん???まじで太郎、そういうところだよ!
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かなり突飛な発想で進む物語、現実に本当にあるのでは?と思うくらい現実味があった。近い将来父乳が出せるようになるのかも。
もうひとりの親に聞いてみます、というセリフが良かった。山崎ナオコーラさんの性観は私の好み
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LGBTQについて考える…というより
性別そのものについて普段考えないような視点で
描いてあって全部がわかるわけじゃないからこそ
私も性差別きっといつのまにかしてるんだろうなあって思わされる作品でした。。
ジェンダーってなんなんだろう
一生考えなければならない問題で
人と接する時に考慮しなきゃいけないこと
だけど明確な答えは出ない
こういう作品にたくさん出会いたいなあ
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4つの短編から成る本作もナオコーラさん自身の思いや考えが詰まった一冊で大好きでした。
面白くて、考えさせられて一気に読んでしまった。
『父乳の夢』は、もし男性も赤ちゃんにおっぱいをあげられるようになったら…という物語。
世の中には、家事や育児に参加しない男性が蔓延っており、家事や育児において、女性は男性をいくらでも糾弾しても良い、というような世の風潮があるけれど、私はそれがすごくイヤだった。
この小説では、自分もできるなら妊娠・出産したい、自らおっぱいをあげたい、という男性に焦点を当てている。こういう男性にはなかなかスポットが当てられないけど、きっといるんだと信じたい。
自分のパートナー氏にこの話をしたら、自分で赤ちゃんにおっぱいをあげられるなんて、究極の幸せだろうなぁ、と言っていてすこし嬉しかった。
SNSの影響も手伝って、ミスが許されなくなっている現代。親も間違えることもたくさんある。だけど、一度のミスで『毒親認定』されない世の中、『毒親認定』しない子どもたちが育っていく社会になれば良い。みんな悩みながら親になっていく。
『笑顔と筋肉ロボット』は、装着型ロボットの活用で誰もが力持ちになれたら…という話。
性別によって得意不得意は線引きすべきでないし、便利なものが増えて、ひとに頼らず自分でできることが増えたら素敵だと思う。
「誰にもできることを、僕もやるんだ。それを仕事とするんだ」そんな時代になれば良いな。
『キラキラPMS(または、波乗り太郎)』は、フラットを重んじる太郎が、波のあることも悪くないと思えるようになるまでの話。
こちらも、生理があるかないかで性別は分けられ、生理のある性別の人たちのことは優しく包んであげないとならないし、大変で可哀想な人たちというかなり偏った考え方を持つ主人公・太郎に、読みながらイライラする。(そしてこういうことをいうと太郎に、わかる、わかるよ、PMSなんだね、とかきっと言われるんだろう。癪だ。アンタはなんにもわかっちゃあいねえ)
可哀想とか大変とか、もちろんズレまくってるんだけど、そこにああだこうだと言及するんではなくて、波も乗りこなせられれば結構楽しいよ、と思わせてくれるナオコーラさんが好きだ。
ラスト『顔が財布』は、自分の顔が気に入っている主人公葵の物語。まるい頬、薄い唇、一重。本人は気に入っているのに、ある日自分の顔を「陰毛」と形容されてから(パワーワードを安易に使うことにとにかく面白さを感じる人がたくさんいる)、写真嫌いになる。
どの物語もどのキャラクターもユーモアたっぷり、過剰に描かれているように思うひとがいるかもしれないけれど、私には現実の世界と相違ないように思えた。
真面目に不真面目に、集団に溢れている型にとらわれず、柔軟に面白くこのひとみたいに真摯に向き合えたら、と思う。
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前知識なく読み始めたので、なるほど子育てにおける夫婦の役割を問いかける話なんだなと思っていたら父乳を出す話になったので、なかなかぶっ飛んだ話だな!?と思ったけどやはりテーマとしては前述のとおりで、自分も乳児育児を経てきた身として興味深く読んだ。その他の作品も男とは女とは、性別による差別、区別、分類、偏見等に切り込む話で、極端が過ぎる感がありつつも面白かった。
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父乳ってほんとに出るのか?
これをおかしいと思わない社会になると平和かな。
それを受け入れる妻も冷静でよい
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「拘らん事にゴリゴリに拘ってるやん。」って思いながら、、、。
すんごい嫌そうな顔で読んでたらしいwww
うん、ちょっとイライラしながら読んでたもの。
☆父乳の夢
☆笑顔と筋肉ロボット
☆キラキラPMS(または、波乗り太郎)
☆顔が財布
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ジェンダーについて考えさせられる作品。
他の読者の人も言ってたけど、父乳は…やっぱりちょっと気持ち悪い感じがしてしまった…
でも、読み進めていくうちに受け入れていく自分がいた。受け入れて、理解していくには、時間が必要ということか。
やっぱり寛容さって大切だよなぁと感じた。不適切にも程があるを観終わったばかりだったから尚更。
どんなものにも賛否があり、言い分があり、真ん中の考え方があり、グラデーションがある。決めつける事が嫌いだ。
ひとは、人に「あなたってこういう人だよね」って決めつけられるのって誰でも嫌なのに…なぜ、決めつけるようなことを言ったりしてしまうのか…
正義を振りかざし…
正しさなんて相対的。
偏りがある考え方とか、趣味趣向は、ほんと人それぞれ。お互いの違いを受け入れて、尊重し合える世の中になってほしいなぁと感じさせられる物語。
4つの中短編集。
まだ途中。
読了。
まぁまぁかなぁと思いながら読んだけど、やっぱり、何か、新たな視点を感じた読書に。
キラキラPMSがよかったかな。
フラットな人生を標榜し歩んできた主人公の平太郎が、富士山、エベレストへの登山を経て、生理になり、波がある人生を歩み始めるって話し。
4つのお話全般に言えることだけど、性別と肉体、精神などがごちゃごちゃで、???ってなる人もいるかも知れない。太郎はエベレストで生理になる。物語だからなのか、例えなのか…
いずれにしても、常識を外してこそ
だと思った。