紙の本
ちょっとイタいけどスッパイあの頃
2022/11/26 12:18
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:GORI - この投稿者のレビュー一覧を見る
何も無い田舎の村、その村で早く村を出たいと思っている天。その天に思いを抱いている幼なじみの藤生。都会から転校してきたミナ。
3人は30歳になっていた。
当然のように、あの頃に思っていたことなど忘れてしまって生活している。
何者かになりたいと願い村を出て、アルバイトをしながら小説を書き続けている天。
大学を出て地元のケーブルテレビ会社で働いている藤生。
東京で結婚して暮らしているミナ。
3人は中学生時代に、それぞれに宛てて手紙を書いていた。
地元で会って手紙を読もうと連絡が入る。
憧れ、嫉妬、後悔
手紙には矛盾した気持ちが書かれていて、恥ずかしくて読まれたくない。
でもあの頃の思いに触れて、3人はそれぞれ救われた気持ちになり、また歩いて行こうと思える。
紙の本
モデルありそう
2023/06/24 20:03
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
なんだか、作者の日記みたいな印象を受けました。実際に、作者と作者の同級生二人とのエピソードじゃないかなと。ただ、読んでいて、違和感はあります。これは、14才思春期の心が揺れるから、こうなるのかなぁ。
投稿元:
レビューを見る
親でも子でも、友達でも異性でも、自分と比べて羨ましく思ったり、わかってもらいたいのに態度に出せなかったり…、田舎の閉鎖的な大人達の中でもがく中学生の天、ミナ、藤生。人の心はわからないし、上手くやろうと思ってもできない、そういう描写が本当にうまくかかれている。自分の事って、分かってるようで分かってないのかもしれないなぁって、本当に思う。
投稿元:
レビューを見る
田舎の閉塞感、都会への憧れ、10代の葛藤、そして少しずつすれ違う心情といったものが、圧倒的なリアルさ、緻密な心理描写でつづられています。
また、読み進めるごとに明らかになる登場人物たちの心の動きや、最後に記されるタイトル回収には、推理小説のような気持ちよさがあります。素晴らしい作品でした。
投稿元:
レビューを見る
凄くわかる!と思いました。まるで身に覚えのあることばかりの作品。
九州の田舎、全くこんな感じだよなぁ!って、思いながら読み進めました。都会から見たら、人との距離がちかくてすごく暖かいイメージがあるのかもしれないけれど、確かに近い!近いゆえに凄く過干渉。
祭りの周辺に渦巻く人間関係なども、私の周辺見てました?!みたいに同じで、どこも田舎はこんな感じかなぁって思いました。
そんな中、夢をしっかり見据えて前進している天ちゃん、変えられないものをそのまま受け入れている天ちゃんが、本当にありのままで綺麗に見えました。
ただの仲良し3人組の成長物語じゃない、それぞれの視点から見るお互いが痛くもあり、歯痒くもあり、凄く共感できる物語でした。
投稿元:
レビューを見る
複雑な思いが交錯する、キレイなだけではすまされないお話はとてもリアルでした。
田舎ならではの生活や考え方は、東京や大都市とは違うなと時々感じます。
投稿元:
レビューを見る
寺地はるなさんの書く物語はど田舎に住んでいる私にはどんぴしゃにヒットします。
田舎に住んでいることの息苦しさみたいなものがよく分かる。
東京に行きたい天の気持ちがよくわかる。私も行きたかった。
東京から来た人がうらやましくなるのもわかる。東京からなぜこんな田舎に?と思う気持ちも。
良い面もあるけれど、ご近所さんの目というのは本当にしんどいもの。何言われるか、どこで見られているかわからない、この息苦しさ。
天の言葉がひとつひとつ私にも刺さりました。
投稿元:
レビューを見る
田舎の、今日誰かとしゃべった話が次の日には近所の人みんなが知っているような、そんな村で暮らす14歳の天、ナミ、藤生、の三人。
自分のことが嫌いで、自分がいる狭い世界から逃れたくて、でも、それを友だちにも話せなくて。
そばにいる誰かをうらやみ、憧れ、と同時に憎みもする。
強がってカッコつけて、ここじゃないどこかへ、と自分じゃない誰かになりたい、と思い続けたあの頃。
16年後、30歳になって再会した3人。つないでいたのはあのときそれぞれに書いた手紙。
いやぁ、もう、これ大好きです。寺地はるなは裏切らない。ホント裏切らない。
14歳の精いっぱいの、まっすぐでこわれそうな自尊心。そばにいる友だちへのあこがれを素直に認められない、好きなのか嫌いなのかわからなくなる、そんな自分を持て余す。
オトナの汚さも見えてくる。オトナになんかなりたくないと思い、でも早くオトナになってここから飛び出したいと思う。あぁ、もう手に取るように伝わる自分にもあった幼い自我。
自分の14歳をめいっぱい抱きしめたくなる。今は素直に息ができなくても、大丈夫、と背中をさすってやりたい。
読み終わった後、自分のことが少し好きになっている、きっと。
投稿元:
レビューを見る
この本にもっと早く出会いたかったな。すぐそばに居る自分の理解者にもっと早く気づけたかも知れない。もう少し上手に恋愛出来たかもしれない。
正解がこの中にあるわけじゃないんだが。
チクッとしながらも、読み終わると心の中にうずまく何かが晴れて行くような気がした。
近くの誰かが羨ましくて卑屈になりそうな時に、また読み返したい。
追記:
ふと気になって「大人は泣かないと思っていた」を読み返した。共に肘差が舞台の別の話だが、(多分)共通する登場人物も居て、あ、あの人の人生にはこんなことがあったんだと発見できて楽しかった。
改めて「どうして…」を読み返してみよう。違った面白さを見つけられるかもしれない。
投稿元:
レビューを見る
この物語と、天や藤生やミナと出会えてとてもよかった。見えていたり感じていたりするものが、相手の全てじゃなくて、自分の気持ちは自分のもので。羨んだ気持ちも、憧れも、好きも嫌いも、怒りも優しさも、全てが正しい。間違いだと自分で思うことも誰かに思われることもあるけれど、それでも。そのすべてを彼らは受け止めていたように思った。
羨んでもいいし、ずるわるでもいいんだよ。
だから天、そのときの気持ちも忘れずにいてね。忘れてない今の天が、そして藤生が、ミナが、みんながみんなだから、わたしはとても好きだよ。
私も、あの頃の気持ちを覚えておこうと、そう思った。
とても大切にしたい一冊に出会えて幸せ。
投稿元:
レビューを見る
思春期のそれぞれの葛藤と、
個の時代だからないものを求めてしまうけど、
私は私にしかなれないという事は忘れてはいけないと思った!
投稿元:
レビューを見る
幼い頃、本を読むのは『此処ではない何処か』へ行くためだった。
本の中では誰にだってなれるし誰とだって友達になれるしどこへだって行けた。(わたしは自分で自分の機嫌をとれるなかなかに早熟な子どもだったのかもしれない。)
しかし、そんなわたしも大人になり、自分で何処へでも行けるようになってしまった今、本は『歩いていける隣り合わせの場所』に行くためのものになった。
自分が生きているこの世界と歩いていける距離の世界の物語が心地よくなったのは、成長なのか退化なのかわからないけれど、とにかくそんな近頃のわたしがいちばん居心地のいい世界が、寺地はるなさんの作品なのです。
決して遠い場所じゃなくて、そこかしらに自分を見つけてしまう。
それは時に安心感を得るけれど、時に吐きそうなほどの嫌悪も感じてしまう。
身近だからこそ、ほっとするし、ゾッとする。
はるなさんは毎回異なるアプローチでそれを突きつけてくれる。
たとえば今回は治りかけた傷口を鋭利なナイフでこじあけられるような気がした。
痛い痛い痛い痛いやめてえええ!と叫びつつも、その刃先はちゃんと滅菌処理されていて、残っていたガラス破片を取り除いてくれたんだなとわかるし、なんならその新しい傷口にオロナインまで塗ってくれた。
痛めつけられて抱きしめられるなんて、タチの悪い男じゃあるまいし、と思うしそこを居心地がいいと感じるなんてしっかりしろ自分!と言いたくもなる。
でも、やっぱりわたしは寺地はるなさんの世界にまた足を向けてしまうのだろう。(なんて罪な人かしら!)
天もミナも藤生も、それはかつてのわたしであり、きっとあなただ。
誰ひとりわたしになれない。
そう思えたら、きっと瘡蓋もとれて、綺麗な皮膚が見えるはず。
ハロー、新しいわたし!
そんな清々しい気分で新年を迎えられそうです。
投稿元:
レビューを見る
女の嫉妬とかの話かと思ったけど、意外と爽やかで読みやすかった。
誰もが一度は「どうして、私はあの子じゃないの」と仲が良ければ良いほど心が焼けるような感情を持ったことがあるだろう。
それは目には見えないだけで、当たり前だけどそれぞれの立ち位置で見えるものは変わってくるのだと再認識。
遠藤さんの「神様は人間みんなが弱くてずるいものだと知っている。その弱くてずるい生き方にいちいち目くじらを立て、罰を与えるようなことはしないのでは。ただ見てるだけなのでは。だからズルくても良いのでは」という趣旨の言葉が良かった。
投稿元:
レビューを見る
隣の芝生は青い。
周囲の人が羨ましい、自分を卑下してしまう…
そんな気持ちは、多感でむずかしい10代でも、大人になっても、抱いてしまう。
寺地さんの作品は、そんな気持ちをどこかに吹き飛ばし、「あなたはあなたのままで大丈夫」と優しく支えてくれる。
今回は今までの作品に比べて、重い感じがしたぶん、主人公の天がなぜ吹っ切ることができたのか、少し慌ただしく終わってしまった感じがした。
じっくりどっしりしたかったかも。
投稿元:
レビューを見る
登場人物たちの思っていることが読み進めていくうちに、どんどん自分の考えと重なっていくようなときがある。主人公がわたしはわたしでよいと思い始めるところの表現の仕方がとても穏やかな感じですきだなあと感じる。