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紙の本
ここは何処?私はだれ?
2021/06/08 17:01
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投稿者:ジャンク・ヘッド - この投稿者のレビュー一覧を見る
近未来のSFであった。
思い出したのはマッカーシーの「ザ・ロード」
「ザ・ロード」では主人公の語りはない。第三者が物語る訳だがこの本は一人称。
私の感情と思考表現でしかない。
私は歩いている。線路上を歩いている。枕木の上を歩いている。
存在する感情は喪失、虚無、空虚。そして私の思考が始まる。個人的脳内世界。
私の家族はみんな死んだ。妻も子も親も。生きているのは私だけ。大戦前の回想がランダムに。回想すればその時の感情が蘇る。人付き合いのいい義兄。善人ぶりが鼻に付く。多分死んでしまった。記憶で生き残るは嫌悪だ。
私は歩いている。枕木の上を歩いている。鳥が摘まんでいるのは人間の死骸だ。みんな死んでしまった。私の記憶の中でしか存在しない。
嫌悪感、憤り感が蘇る。しかしそんな感情が蘇ったところで何だというのだ。
そうだ。刺激的な事を回想しよう。 ひろ子ちゃんの陰核。
精神病院から脱走して来た美人のきょうこ。きょうこは普通の女性だった。普通に私と目合わった。私は歩いている。きょうこに会いたい。
青い錯乱、青い裂傷、青いコスモス、誰の体にも咲いて空気に滲んだ、青い花。ポラノン欲しい。ポラノン欲しい・・・
辺見庸 初読み。なかなかの読書体験。ここは未来の大戦中なのか?
終戦したのか?
何故線路上を?
一体ここは何処?
私とは何者?
私は難民?浮浪者?脱走兵?
この本の前に「人間失格」読んだので自虐告白が類似感。初っ端はなかなか「私」のランダムな回想に入り込めない。峻烈なイメージが次々と点滅する暗い言葉。狂気の内的恒常性、正気の本質的虚妄の同居。読み続けるとイメージは繋がって来る。また気に入った作家発見しました。他作品読んでみたい。
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