紙の本
いたちごっこ
2020/12/28 15:25
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投稿者:とめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
人々は決してネット情報をうのみにしているわけではないが、公共の福祉等を盾にデジタル監視によるプライバシーの問題やフェイクビジネスの隆盛による民主主義の死といったテーマを通してデジタル社会との向き合い方をまとめた書。
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「デジタル空間に残したデータから自らのプライバシーがあらわになったことに不安を感じつつも、便利さを手放すことはできない」(あとがきより)
これが本書を読み終わった時の正直な感想だった。
NHK取材班が番組作成にあたって取材した様々な人のエピソードや出来事が記載されているが、印象的だったのは、①デジタル断ちをして当局の捜査の手を逃れる香港の若者たち②自殺に関する検索をした結果、自殺関連の記事が次々に表示されることになり、本当に自殺してしまったイギリスの14歳の女の子③高齢者の代わりに意思決定を行うデジタルツインの開発が進んでいること、の3つ。特に①と③については、読みながら伊藤計劃の『ハーモニー』のことがしきりに思い出された。
デジタルは便利だ。デジタルは人間の脳の機能の一部を外部化したものだから、その機能の低下を補ってくれる。それは、分かる。賛成できる。
でも、それって「幸福」なの?
便利は便利だ。幸福の増大に寄与することもある。それは、確かだ。たとえば、液体の常温ミルクが日本でも認可されたこと。それは、子育てしながら社会参加したいお母さんたちの幸福の増大に一役かっただろう。
でも、それが「幸福」そのものってことはないだろう。
常温ミルクの例で言えば、それは資源の消費を確実に加速させるだろうし、どこでも気兼ねなく母乳が飲ませられるんなら、そっちの方が荷物が少なくなって楽になる。
便利は、時に「幸福」を増大の増大に役立つ。でも、それとは裏腹に進行してしまう何かが必ずある。
だから、無知と無関心は、極力、避けたい。このアプリだってデジタルなのだし、こうして打ち込むデータも善かれ悪しかれ、どっかの企業が触手を伸ばして利用することから完全に自由ではないだろう。ただ、知っててそうなるのと、知らないでそうなるのとでは、おそらく、この後が違ってくる。少なくとも、自分の子どもと話し合う素地は、自分の中に作れる。
きっと、農耕が始まった頃にも、こういう二律背反はあったんだろう。地力や水質の低下を招いてでも、人間は定常的に得られるカロリーを選んできた。プライバシーの流出やAIによる人間性の侵害を呑んででも、おそらく、現代人はデジタル利用に突っ走るだろう。何せ、私たちの脳は石器時代から少しも進化していないのだから。自制なんて、少数のエリートにしか許されていない、貴重品なのに決まっている。
だから、考える。可能な限り、考えることにする。疑うことにする。
それって、ホントに「幸福」なことなの?
便利や快感は、幸福と単線で繋げられるようなシロモノじゃない。
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最近いろんなところで話題になっている、ネット上でのフェイクニュースやフェイク動画に関して解説した一冊。フェイク動画を実際に作っているエンジニアや、海外でフェイクビジネスを行っているという「フェイク王」の取材も収録されており面白い。中でも、ある人の9年分のグーグルの利用履歴を解析して、その人の職業・年収・恋愛の有無などを丸裸にした実験が興味深かった(間違った解析結果もあったがほぼほぼその人の情報と一致していた)。
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2020年の一年間で人類は50,000,000,000,000GBのデジタルデータを生み出す
≒YouTube HD動画の57億年分
フェイクが真実へ
インフォデック=情報爆発 SNSユーザー38億人
怒りは好きの3倍拡散、フェイクは真実の20倍速く拡散
ディープフェイク=AIによる動画作成
デジタルにプライバシー無し デジタルツイン
1週間の位置情報で人物像は把握できる 住居→家族構成年収
Google photo:年齢、検索履歴:病歴、趣味、エゴサーチ:本名
未来を予測
明らかにできなかったこと:性格
デジタル断ち
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デジタル世界が今後もどんどん進んでいくだろう。
便利になるが問題点もあらわになっていく。
GDPRがどのような影響をもたらすかだ。
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現在のデジタル化がどこまで進んでいて、いまやプライバシーが丸裸な状態になっていること、そして若者世代はプライバシーがなくなっている状況を受け入れていること。どちらもショッキングな内容だった。
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デジタル上の私と、リアルの私。
検索履歴や位置情報などのデジタル上の情報から、
リアルな私は暴かれる。
※性別、年収、名前、住所、趣味など
プライバシーと情報の売買。
情報を売買すること、個人情報を元にした広告は、
今が全盛期で、今後は縮小していくのかなと思いました。
それはプライバシーの方がより重要になるように思うからです。
AppleとFacebookの関係性の変化に
注目していきたいです。
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前半は「戦争広告代理店」の続編ともいうような内容
あの頃はおもにテレビ戦略だったけど、今の主戦場はSNSなどのソーシャルメディアだとわかる
経済的にも政治的にもどんな人間にどんな情報をどう与えればいいかを探索し続ける、いわば「動機付け」によって人間をしつけていく過程ではと思ったりする
現代的といわれるSNS、ゲーム、広告、陰謀論などは、それ自体はリアルでの実益をもたらさないが、動機に直接働きかけ大きな力をふるっている
そして台湾の例をみても、SNSに既存のテレビや新聞が引っ張られているのがよくわかる
いかにフェイクや世論が作られるかは、アルゴリズムとそれをだます人間のだましあいの様相を呈している
後半はデジタルツインについて
検索履歴から個人情報を推定していく作業は出来過ぎた刑事ものをみるよう
アマゾンのレコメンドくらいのものかと思っていたけど、香港の例をみると国家権力が個人データを監視する危険をはっきり感じた
ある日気付いたら世界中が善き人のソナタみたいな世界になっている、その瀬戸際にいるのかもしれない
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本書は、2020年4月に放映されたNHKスペシャル「デジタルVSリアル/第1回 フェイクに奪われる“私”」及び「第2回 さよならプライバシー」の取材を基に、番組で取り上げられなかった内容を含めて書籍化したものである。
あらゆるもののデジタル化が急速に進む今、我々はどのような世界に住んでいるのか? 取材班は「はじめに」でこう述べる。「SNSに広がりは「真実」と「フェイク(偽物)」の境界を曖昧にし、私たちが「フェイク」に踊らされる事例が数多く発生することになった。文脈を失い、断片化された情報は、それがデマであってもまるで真実のように、「いいね」が付けられ、世界中に拡散されていく。極端な意見に共感が集まり、主義主張の異なる者同士の罵り合いが加速する。デジタル化の波は、人々の分断を深め、真実を見えなくさせ、フェイクの渦に私たちを巻き込んでいった。さらには、ビッグデータに蓄えられた膨大な個人情報は、デジタルの世界のもう一人の自分=「デジタルツイン」となり、プライバシーは丸裸になりつつある。にもかかわらず、私たちは、デジタルの恩恵から逃れられない。そう、私たちの「現実(リアル)」は、すでにデジタルによって浸食され、デジタルを抜きにしては考えられないものへと変わってしまったのだ。」
本書は、番組と同様に大きく二部構成となっており、前半は「フェイク」、後半は「プライバシー」を取り上げている。
番組を見、本書を改めて読んで、「フェイク」については、日々進歩する技術に驚くばかりである。番組が放映された当日にも、ネットに「米国当局が、米国人がコロナウイルスを中国に持ち込んだと発表した」という動画が出て、私の友人の間で話題になったのだが、それはまさにフェイク・ニュースであった。本書で繰り返し述べられている、「私たち一人一人にできることは、「これは本物なのか?」と疑い、偽物である可能性があれば、それを拡散しないという認識を持つこと」、「一番必要なのは、やはり『自分の頭で考える』。そこが第一になる」というスタンスが、今後一層求められるだろう。(前述のフェイク・ニュースは、冷静に考えれば、“仮に事実であったとしても”、米国当局があの時期にそのような事実を公式発表することは200%あり得ない、と判断できる)
また、「プライバシー」については、私も、古くはオーウェルの『1984年』を、最近では『幸福な監視国家・中国』(梶谷懐・高口康太共著)などを読み、大いに問題意識を持っていたが、「デジタルツイン」という概念にはやはり驚きを覚えたし、ミレニアル世代の次に続く「Z世代」(1990年代後半~2000年代生まれ)は、幼い頃からスマホに慣れ親しんできたデジタルネイティブであり、東京、ニューヨーク、ロンドン、ベルリンなど世界の8大都市に住む同世代の2/3が、「デジタルの世界にプライバシーはない」と考えているということには、大いに懸念を感じざるを得ない。
2020年は、米国大統領選挙でトランプ氏(支持者)が「フェイク」情報を多用したこと、また、新型コロナウイルスの広がりを抑えるために(中国のような)強権的な国家がデジタル個人情報を使ったが、それが当該国民の多くに支持されたことなどから、「デジタルがリアルを超えた年」として記憶されるのかも知れない。
アナログ時代に長く生きた私としては、ネガティブな面ばかりが気になるデジタル時代であるが、好むと好まざるとに関わらず、この時代に生きる以上、我々はまず、現実を知らなくてはならない。そのための一助となる一冊と言えるだろう。
(2021年4月了)
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NHK番組の本。フェイクニュース、デジタル監視、デジタルツイン、プライバシーデータ活用の問題など、番組で紹介できなかった部分も含む。 インターネットスマホの普及により便利になった一方で、フェイクニュースが蔓延して社会問題になっている。 フェイクとリアルの境界があいまいになって、ネットリテラシーの低い人は何が正しいか判断できず、自分の嗜好に合う人の情報や誤った情報を鵜呑みにする傾向になってきている。 また、ビッグデータを活用すると、個人の行動を推定することができるため監視ツールに利用することもできる。 読んでいてこの先の展開が恐ろしくなってきた。
昨年中国スマホの情報流出の危険性が話題になったけれども、すでにアメリカの SNS にも個人情報は流出している。中国アメリカ いずれにせよ情報は流れてしまっているわけだから、覚悟して使うしかないと思った。
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テレビで2回の放送したものの補足である。フェイクポルノ、デジタルツインについてはそれほど新しい話題ではないが、例を示しているのでわかりやすい。2020年4月NHKスペシャル、デジタルVSリアルという2回の番組の再放送はないのであろうか?
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スマホとSNSをはじめとするデジタル世界の進歩は日進月歩。その影響力を管理することはできず、当然対応は後手になる。フェイクにどう対応していくのかには時間がかかりそうだ。それ以上に驚くのはデジタルツイン。便利なツールを使えば使うほど、デジタルツインの確立精度は高まる。本書の例ではプライバシーは露わにされていた。おっそろしい技術があるもんだ。不安はあっても便利さは手放せないのが実際のところ。
うーん、そんなに何もかもが便利にならなくてもいいや。
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政治家はみな偽のフォロワーやボットなどを持っている。なぜなら対立する相手広報が偽のおフォロワーやボットを使って世論操作をしかけてくるから。フェイクニュースの役割は政治キャンペーンにおいて非常に重要。非常に拡散力が高いから。
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なるほどな。怖いな。
でも、どうする事も出来ないな。
せめて、踊らされることの無いように。
そんな感じですかね。
読んでおいて良かったと思います。
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【きっかけ・目的】
デジタルは便利だと思う。スマートフォン、人とモノを繋ぐIToO技術であったり。
1995年にマイクロソフトがWindows95をリリースして以降、すごくネット技術は向上した。日々の生活に欠かせないものになった。
個人的には、今年になってからテレビ、新聞、ラジオ、読書、ネット決済(買い物)、銀行手続き、スケジュール管理はては健康管理など大体のことは、スマートフォンを使い常時ネットに繋がっている生活になっている。
いわゆるインフラとして完全に機能しているのでないと困るレベルにまでなっている。
そうなると気になることも出てくるわけである。
ビックデータという言葉が流行った時にデジタル上の情報がIT巨大企業に吸い取られているという事実に鳥肌が立ったが、立っただけでその後はその危険性に気づくわけでもなく便利さに負けてここまで来てしまった。
【感想】
まず、読み終わって鳥肌が立ちすぎて気持ち悪くなった。SFを地で行く時代になったということだろう。ドラえもんの世界観は21世紀になってもできないが、ネット空間を中心に便利さ故に知らない内にあらゆる「しこう」(志向、嗜好、思考など)の痕跡を各サービスのアカウントやメールアドレスに残した結果、デジタルツインが生まれる。
そして悪意の第三者によって完全にすべてが乗っ取られる。
フェイクや詐欺、プライバシーの侵害あらゆる事件の温床になっている。
これを利便性のリスクととり倫理観との狭間で規制をどのように取り入れるのか。政治や行政、民間によるサービス(ショッピング決済など)が対策を如何に取り入れていくのか注視していきたい。
【終わりに】
これを読んで「ハイペリオン」というSF小説を思い出した。敵役に人口知能AIが登場するなかなか手の込んだ小説だった。後、もう一つ思い出した小説があるのだがネット草創期に起きた致死性パソコンウイルスについての海外サスペンスだが、タイトルを思い出せない。
今回読んで思い出したのは図らずもデジタルという仮想空間で「何か」が生まれるという点だ。しかも悪意の第三者という位置づけだ。
デジタル空間は規制のない状態だ。故に悪意が蔓延るということなのだろうか。なかなか興味深い。