紙の本
『キャンドル』
2020/12/12 20:05
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:百書繚乱 - この投稿者のレビュー一覧を見る
眠そうなキャラでぼんやりしている穂村螢一(ほむらけいいち)6年生
学校祭のおばけ屋敷でワニの着ぐるみを着たのが螢一なら、親友の皆本翔真(みなもとしょうま)はメイド服を着て登場
二人のボケとツッコミに幼なじみでしっかりものの石川瑠璃がからんで展開する典型的な友情と成長の物語、ではなくて……
翔真の願いはひとつ──自分らしくあること、ただそれだけだ。
翔真の“自分らしさ”を軸に、幻想小説風味に謎解きスパイスを加えて和え、生きづらい世界と対峙する子どもたちを描いた新感覚の児童文学……その実はやっぱり王道の友情と成長の物語
前作を読んだ子どもが「同じような本を読みたい」と司書教諭に頼みにきたという、その子たちに自信を持って薦めることができる傑作の登場
くすっと笑える小ネタも仕込まれて、おとなも楽しめる一冊に仕上がっている
著者は29歳の新人“ひよっこ”児童書作家
第2回フレーベル館ものがたり新人賞(2019年)大賞を受賞した『あの子の秘密』でデビュー、同作が第49回児童文芸新人賞(2020年)を受賞、本作が2作目、受賞後の初作品となる
遠田志帆の装画と挿絵、城所潤の装丁が子どもたちの内面を鮮やかに描き出す、ジャケ買い必至のハードカバー
粟船駅近くにある甘縄小学校を舞台に、青少年会館にコンビニに児童公園という場の設定は大船在住の著者ならではの地元感満載
以下、ネタバレにならない範囲で、名セリフ集
「おれがおれらしく生きることのじゃまなんか、だれにもさせるもんか」
「おとなになるって、あきらめることなのか?」
「だいじょうぶ。まあ、なんとかなりますよ、世の中」
「あきらめるって、すっげえエネルギーがいるんだよ。そのエネルギーがあればな、あきらめないことだってできるくらいに。闘うことができるくらいに」
「ちゃんと言えばよかったんだ。現実がどうだとか、世の中がどうだとかじゃない。ぼくがどうするかを、どうしたいかを、言わなきゃいけなかったんだ」
「今がいちばんだよ。残りの人生で今がいちばんはやい」
*まさ、いい本ができたね!
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自分らしく生きるって難しい
それは大人も子供も変わらないと思う
自分らしくより、周りに合わせてしまうことが多いから
だからこそ真っ直ぐ自分らしさを貫く翔真君に惹かれてしまう
蛍一君の優しさや強さ、翔真君への想いら見習わないといけない
蛍一君と翔真君、時には喧嘩をしながら仲良く成長して欲しい
キャンドルに火が灯るように、あたたかい
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前作「あの子の秘密」がとてもよかったので。
前作の題材も踏み込んだなあ、と思っていたけど、
今回の題材もかなり踏み込んでいて(ネタバレになるので多くは触れません)、かなり重ためな題材なのに、それをすっと、さらっと、読ませてくるのが本当にすごい。めちゃめちゃ上手いです。そして面白い。
仕掛けが多いので、中身にはあまり触れられなくて、、もどかしいレビューになってしまう。笑
読み終わってから扉絵や目次の挿絵を見てまた泣けるのです。
自分らしく生きる、ということ。
どんな生き方をしてもいいんだよ、ということ。
大事な友だちと、ずっと一緒にいたい、ということ。
小学6年生のそれぞれの視点で描かれています。
自分らしく生きるって、難しいんだよね。
『おとなになるって、あきらめることなのか?』
作中での問いかけが痛かったです。大人の私には。
読後感が爽やかすぎる。
現代の小中学生に積極的にすすめていきたいです。
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幼い頃母を亡くした6年生の螢一は、何かに期待することをやめぼんやりと毎日を過ごしていた。親友の翔真は、「自分らしく」生きるために女の子の服を着ていたが、中学校でガクランを着ることにどうしようもない嫌悪感を抱いていた。ある日、螢一が用具室で誰かのプレゼントらしい箱を見つけて拾い上げたとたん、知らない女の子の記憶が流れ込んできた。螢一と翔真はその記憶の主を探すうちに…。
何かと真摯に向き合う時、切ないほど成長する子どもたちを描く物語。
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何かで紹介されていて読んだ本。
主人公が小6だということを忘れてしまいそうになる。
テーマは重いのだろうけど、テンポのいい会話と、主人公螢一のぼんやり天然キャラに救われる。
今は二人の子どもの母親になっている姪が、小学生時代はスカートをはかず、私の結婚式にもパンツスーツで出席、中学校でセーラー服を着るのを嫌がっていたけれど、ジャージもあったせいか馴染んでいったことを思い出しました。
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重い感じの内容です。でも重苦しい雰囲気は全然なくて、登場人物のぼんやりした部分が柔らかくしてくれているのかなと思います。でも、考えさせられる内容だと思います。
これはとてもおすすめ。
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間違ってはならないことを間違ってしまえば、もう取り返しはつかなくて。
決定的な断絶。
それこそ大人はたくさんのそれを経験してきている。
それは本当に恐ろしくて。
たくさんの断絶を避けようとして、本当に大切なたったひとつのものを失ってしまったりもして。
本当に取り返しがつかないのか、未練はたくさんあっても、その未練がまた相手を不幸にしてしまうのであれば、そんな未練は持ってはいられない。
だから置いてきたんだろう。
置いてこれたらよかったのにと思うこと本当にたくさんあるもの。
決定的な断絶の修復…。できたらいいのにね。
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幼いときに母を亡くした僕は死を理解して泣かない子どもになった。
小学校六年生になり親友は元気な女装男子の翔馬で、今日も二人、しっかり者の委員長に叱られながら、学校生活をおくっている。
中学校になると制服を着なければならない
翔馬にいつか自由に制服を着られるよう、自分と3年間戦って欲しいといわれた。
準備室で箱を見つけてから、知らない女の子の体験をトレースするようになって…
〇“わかってほしい”“なんでわかってくれないんだろう”“変わりたくない”がすれ違いぶつかり合う物語
〇なんというか、上のほうをさらっと掬っていった感じで、もっと深く考える場面があると良かったかな
記憶のトレースかジェンダーな悩み、どちらかに絞ったほうが散漫にならなかったかも
〇登場人物が小学生というのに違和感が
学校行事とかが、高校生っぽい
考え方も
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小鳥遊=たかなし
きっとどんな物事もなんとかなる。
ぼんやりしている螢一と女の子の服を着ることが好きな翔真
ある日誰かのプレゼントに触れた螢一は誰かの記憶を見ることになって…