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書き下ろし〈短文〉アンソロジー、全18編。
ほんのわずかなズレから日常が様相を変えていく。立ち上る夏草やら土やら血の匂い。なかでも薄荷の匂いが良い。
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内容を頭で考えるよりは、感性で読む本……なのかな。
単体では好きなものがあったが、本としての一貫したテーマがよくわからなかった。
読み込むと何か見えてくるのだろうか。
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風の短文というシリーズ名のとおり、さわさわと吹きぬけていくようなアンソロジー。
冒頭の小山田浩子「コンサートホール」。コンサートホールに行くと受ける、少し秘密めいた、わくわくするようなでも少しこわいような気持ちが描かれていてよかった。
藤野可織「セントラルパークの思い出」。のんびりとした雰囲気ではじまりつつも、藤野可織さんなのでただじゃすまないと思っていたらただじゃすまなすぎてさすがだった(笑)
西崎憲「病院島の黒犬。その後」西崎憲さんの作品を読むと、いつも文章を読むことの愉悦みたいなものを感じる。ストーリーとかじゃなく。少しふしぎなその世界の空気を吸うのが楽しいという感覚。
皆川博子「夕の光」 91歳の皆川博子さんのエッセイ。「雑事を他人に託したホームには、「生」はうっすらとあるけれど「活」が欠如している」という1文の切れ味よ。そして最後のこの文。「五体の力衰え寂寥に蝕まれながらも、ふみを読み、ふみを綴る力だけは未だ残されていることを夕の光に謝すとき、禱りに、それは似る」
涙ぐみそうになった。美しく切実。
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西崎憲さんプロデュース•《短文》アンソロジー
深緑の布クロスに金の箔押し。
夕暮れのようなオレンジのスピン。
佇まいが美しい。素敵な装丁。
岸本佐知子さんの『メロンパン』に喰らいつく。
タンポポを摘む時の中空の茎の感触が過去から指に戻る。
感覚や記憶を楽しみながら、ゆっくりと味わう。
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日本の物書きの名手たちが集い、その手腕を時に競い合い、時に讃え合うような。
短編なので、読むのに負担がかからず、色々なタイプの作品も楽しめた。
この本をきっかけに、アンソロジーではなく個人の著作を読んでみたくなった作家も何名か。
布張り・金箔の装丁も素晴らしい。
百年後の図書館で本好きの読者が、思わず手に取ってしまう事を夢想する、後世に残っていくであろう作品。
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青木淳吾の名前をみつけて手に取った(やっぱりこの人明るい人だ!)。
どの話もじわっと沁みるのにちょうど良いボリューム。
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木下古栗「ぼくの人生の物語」収録。
職を転々とした末、ZOZOTOWNの倉庫業務を経て広告代理店の社員に落ち着き、妻子と安定した暮らしを送る男。将来、娘と妻から嫌われ、辞職してアフリカの大地に立つのを想像する。タイトルからもわかる通り、テッド・チャン「あなたの人生の物語」のパロディ。
ほかに面白かったのは、
ケーブルテレビの影響でセントラルパークに憧れ、ドラマでよく起こる殺人まで真似をする、藤野可織「セントラルパークの思い出」
「たうぽ」と名づけた娘の成長を描いた、松永美穂「たうぽ」
亡くなった祖父母や父の思い出を回想しながら祖母の家に行く道すがら、昔骨折した祖母を助けた光ちゃんと偶然出会う、滝口悠生「薄荷」
岸本佐知子「メロンパン」も収録。
(評価は木下古栗作品について)
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紹介文のように『作品同士が響き合い、さらに余白に配された超短文「エピグラム」によって一篇の物語のようにも読め』…たりは、しなかった。
雰囲気ある装丁の、ふつうの短編集として、それぞれ楽しみました。
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滝口作品は読んでおかないと。
全体的にホラーテイストな作品が多い印象。
どれも短いながらもピリッとしている。