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ここ数ヶ月新作のラブコメを読んでいたのですが、ラブコメはキャラクター設定もさるものながら、シチュエーションが大切だなあと気付かされました。
個々の作品の魅力を支えるものとして、謂わば個性としてのシチュエーション。どのようなシチュエーションにキャラクターを配置するか。
現実社会の学園ものとしてのラブコメだと、ある程度シチュエーションは限られてくる。そう思っていましたが、なんのなんのあれだこれだと様々なシチュエーションが用意されるのです。
今作のシチュエーションは廃屋となった古民家のリフォーム。手先の器用な男子高生劉生と、料理以外は不器用な女子高生扇奈の、不器用な恋模様。
家庭での居心地の悪さを感じているふたりが、放課後を如何に過ごすかを考えていた時に再会した祖父の家。ふたりの思い出の家が廃屋となっていることにショックを受け、修理してふたりの居場所とすることを思いつく。
単なる思い付きから始まったリフォーム。でも家が蘇っていく様子に心打たれ、それとともにふたりでともに過ごす時間の楽しさに気付く。
なんてことを、ドタバタのコメディタッチで描かれるから楽しいです。扇奈の劉生への想いは暴走し猛烈にアピールするが、劉生にはからかわれていると捉えられてしまう。そんなすれ違いのイチャイチャが物語を彩ります。
ラノベラブコメを読む時は、二重三重に客観性を求められます。これを中高生が読んだらこう感じるのかも知れないという目を持ちながら読むのです。
そんなこと思いつつ、ふと気付くとごく自然に楽しんでいる部分もあるから面白いのですよね。