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伊丹さんや野中さんをはじめとする日本発の「世界標準研究」がどのようにしてなされたかについて、丁寧なインタビューを踏まえて、まとめてある。
研究裏話しみたいな感じで、仕上がった本を読むのとは全く違う知的なスリルがあって、とても楽しく読んだ。
といっても、これはたんに裏話しをまとめただけの本ではなく、イノベーティブな研究がどのようなプロセスのなかで生み出されるかというケーススタディのようなもの。
大きくは4つのケースが紹介されて、そこから導き出される洞察をもって、本書は締め括られる。(その後に長いエンドロールで、ユーザー・イノベーションのプロセスの紹介がさなされる)
結論部分を紹介すると、読む楽しみがなくなるので、そこは読んでの楽しみということで。
個人的には、知っている人、会ったことのある人、本で読んだことがある人がときどき出現して、おおおお、あれはそんなにすごい人だったんだ!と驚いてしまったりした。
そして、大学時代に商学部という経営系の学部にいたにもかかわらず、授業はつまんなくて、学校にはほとんどいかなかったのだが、ここにでてくる先生方も授業はつまんなかったらしく、学校には行かなかったとか、もっとイノベーティブな研究、実証を重視した研究、そして授業をよりよいものにしたいと思っていたということに共感した。
その動きがしっかりと実現化したのは、わたしの卒業後。つまり、わたしが授業がつまんなくても、それはわたしのせいではなかったのだ。
そういう意味で、ちょっとスッキリした。