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上の子(新高2)から借りて読んでみた。イズムィコ先生についてはTwitter上でのおもしろ全裸中年男性としては知ってて、いちおうウクライナ情勢等もあり、とは言うもののこの本自体はウクライナ侵攻以前の刊行。
全面戦争というものが減ってゲリラ戦なりサイバー戦争なりが増えてるってのは何となくイメージあったけど、まとめて文章で読むとおもしろい。
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現代ロシアの防衛戦略、軍事力の解説書。そしてロシア政治の考え方、ロシアの思惑等が良くわかる本。ウクライナ侵攻以前の著作であるが、ウクライナ侵攻に至ってしまう思考も分かる気がした。
どうしてロシアが他国に侵攻するのか理解できないという人は、本書を読んでロシアの価値観、考え方に触れることがお薦めである。
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ロシア-ウクライナ問題につき有益な情報を発信している小泉氏の本を書店で発見、読んでみた。
近年のロシアは情報面からのアプローチの印象が強いが、この本を読むと単に兵力など物理的な力だけで戦うのは予算面などから無理があり、結果として「ハイブリット戦略」にならざるを得ないのだと感じた。
軍事演習から何が見えるかなど普段あまり意識してなかったが、出てくる範囲でも色々と解釈ができるのだということを知ることができ、その点でも大変勉強になった。
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メモ
経済、科学技術、軍事でもはや米国と並ぶ超大国ではなくなったロシアが2014のウクライナ、2015のシリアなど攻勢をしかけ、成果を収めたのは何故なのか? そこには古典的な軍事力の指標「ミリタリーバランス」では測りきれない要素が働いているのではないか? それを様々な角度から検証した。出版が2021年5月。そこまでの時点でのロシアの「領土」への考え方が示される。
2014のウクライナ介入では、劣勢にみえたロシアの軍事力が見直された。特殊部隊、民兵の動員、人々の認識を操作する情報戦、電磁波領域やサイバー空間での「戦闘」、これらでクリミアを瞬く間に併合した。
ロシアが暴力の行使=軍事的闘争に訴えずに政治的目標を達成するという思想は1990年代に浮上し、2010年代は西側との「永続戦争」という文脈で大きな地位を占めるようになった。
だが、実際の軍事戦略においては依然として軍事的手段は後退したとはいえない。・・ドンパチである。
<「状況」を作りだすための軍事力>
○2014のクリミアやドンバスにおいて軍事力が作りだした「状況」はウクライナを紛争国家化することだった
○ウクライナを征服して完全に「勢力圏」に組み込むのではなく、同国が西側の一部となってしまわないように(NATOやEUに加盟できないように)しておけばよかった。
○「勝たないように戦う」ことがウクライナにおけるロシア軍の任務だといえる。
ロシアの軍事演習からみると、ロシアの想定している様々な戦争の形態は、最終的には大国との軍事紛争である。イスラム過激派や非合法武装勢力の背後にはそれらを「手先」として操る大国が存在し、最終的には核兵器の使用にもつながりかねない、というのが現在のロシアの戦争観である。
しかし正面戦力ではロシアは劣勢なのである。まずは「損害限定」戦略。これでも劣勢を補えないと「エスカレーション抑止」に訴える。限定的な核攻撃や「警告射撃」で戦闘停止を強要したり、第三者の参戦を思いとどまらせる。
●まとめると、ロシアの軍事戦略はクラウゼヴィッツ的な戦争をそのコアとしつつ、非クラウゼヴィッツ的なそれにも備えた「ハイブリッドな戦争」戦略である。
・クラウゼヴィッツ:プロイセンの軍事学者(1780-1831)「戦争とは他を以ってする政治の延長である」「戦争の本質は単なる『強制力』ではなく、物理的な破戒をもたらす『暴力』である」
・国に直属した軍隊が一番強い。上の命令が下まで届くし、それを守る。民兵や軍事会社はそれぞれ個人の思惑や思想があるので、まとまらない。
・ドローン兵器など新しい兵器が出てきて戦い方は変化するが、さらにそれを阻害する兵器や方法が考え出される。
・・テレビでは分かりやすい解説の小泉氏。兵器や軍事、ちょっと難しかった。
2021.5.10第1刷 2022.3.30第5刷 購入
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ロシアが「弱い」ということが意外だった。サイバー空間含めた非軍事手段を含めたハイブリッドな戦略が意識されつつも、軍事手段の重要性は落ちていないという。現下のウクライナ情勢、それから北朝鮮を見るにつけ、自らが非合理的だと相手に思わせる戦略がもっとも合理的ということが現実に即して理解できる。
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ロシアの軍事戦略がわかった。現在のウクライナ戦争でもこの考えに基づいて行動しているように思う。本に書いている通り、最終的に核使用に至らないことを祈る。
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軍事情報の機密性はどの国でも高く、他国が正確な必要十分な量のそれを得ることは難しいだろう。
しかし本書では、ロシアの公的な軍事関連の発表や実際の演習•紛争行動や、それらに関連する米国含めNATOの分析を幅広く集め、さらにそれを分析し考察されている。
ロシアの軍事専門家である著者。ロシアのウクライナ侵攻を契機にメディアに引っ張りだこである。
著者が自身でロシア軍事の「オタク」と評するように、本書はその「オタク」的知識が、テレビとは異なり十分に発揮されているように思われる。あまりの筆のノり具合に、多少の軍事知識を持っていないとその疾走感に振り落とされそうになってしまうので注意が必要です。
ロシアは虚実織り交ぜ冷静に戦略的に行動している程度が他国に比べて強いと思われ、また何を考えているのよくわからないという漠然とした恐ろしさを感じさせる。
本書のような(高度な)分析をしている人間やその分析を理解して戦略を立てている国家、組織が存在している一方で、それすらも承知の上でロシアは軍事戦略を立てているのではないかと思わずにはいられない。
ロシアの軍事戦略に関して、本書を通じて理解はかなり深まる。しかしその理解は不十分であり今後もそうであり続けるだろうという認識を持っておくのが無難そう。
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ロシア軍事の専門家、ユーリーイズムイコこと小泉悠先生のロシア軍事戦略本であり、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻の直前に書かれた(2014年のロシアによるクリミア半島強奪よりは後)もの。
ソ連崩壊後、東欧共産圏があるいは民主化し、あるいはカラー革命を起こしてきたが、ロシアから見ると、これらは全て西側による謀略であり、正規軍を用いたクラウゼビッツ的戦争ではないが、しかし、情報戦世論戦などを取り入れたハイブリッド戦争を仕掛けられているように見える、と。
この時期のロシアは勢力圏の縮小、経済的社会的混乱から国力を落としてきたが、それでも仕掛けられた戦争に勝利して生き残るためにハイブリッド戦争の手法を鏡面措置として採るのだ、と。
こうして俯瞰すると、クリミアやドネツクへの侵攻は、現地の親露派の分離運動から始まりそれでは勝てないとなると特殊部隊投入から正規軍投入と、徐々にエスカレートしていくのも、まさにハイブリッド戦の要領である。
この辺りのロシア的発想ロシア的行動を読み解くには本書は大いにおすすめである。
本書では時期的に触れていないが、しかし、ロシアによるウクライナ侵攻はあまりに手際が悪いのは何故だろうか。続編を待ちたい。
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曖昧で追いつけていなかったクリミアから今回のロシア侵攻までの流れを学ぶことができた気がする。
特にハイブリッド戦争と目されるものがどのよな位置付けであったかについても。初期対策をされてない状況では、初見殺しになるのだなと素人ながらに。
今回のロシアのウクライナ侵攻が特に東側で古典的な戦闘になっていると聞いていたことも、この本を通して腑に落ちる気がした。とにかく、使えるものはなんでも使って成果を上げるのが大事、という姿勢なのかなと素人ながらに思った。
一般回線を使わざる得なくなったり、情報戦で撹乱されていたり、今回のロシア軍側で聞いたような話もあり興味深かったです。
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筆者自身も言っているが、「オタク」が書いたロシアの軍事に関する本。内容は、流石オタクと言ったところ。
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ロシア政府・ロシア軍が自国をどう認識しているか、それによりどういう戦い方をするべきと考えているか、とてもよくわかった。
軍備・兵力的に劣勢の状況で、非軍事手段に注力しつつ、主力をどこにしているか、重要人物の発言から丁寧に読み解いている。
組織や兵器の話は、筆者が相当好きな分野だと思われ、充実している。が、私はついていけず振り落とされた。
組織や兵器の説明について図や表が少なく、「これなんだっけ」とか「これとこれの関連はどうだっけ」と思うことが結構あり、理解が難しい。好きな人はすらすら頭に入ってくるのかもしれないが、素人の私には辛い。
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本書の発行はロシアによるウクライナ侵略の前だが、テーマといいタイミングといいドンピシャではある。
著者は「人」とも「夜」とも知られるこの道の第一人者。
書名の通り現代ロシアの軍事戦略を多角的に分析、解説したもので非常に参考になる。
ソ連時代からのしがらみを拗らせつつ、経済的資源に劣るロシアが自らの文脈の中で必死に生き残ろうとしていると読めるが、どういう結末に向かうのだろうか。
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ロシアの軍事戦略の本質は核兵器と中国流超限戦のハイブリッド。元帝国が必死に自己を大きく見せようと足掻いている姿が示されている。自身に魅力がない乱暴者と気付いていようが、変えられないんだろう。
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ロシアによるウクライナ侵攻以降、非常に読まれている本として図書館の予約も後をたたないが、思ったより全然難しい(専門的)内容で驚いた笑
これが浸透してる日本、いいなぁ笑笑
表層でなく、深く知りたいと考えている人がいかに多いか。そして所々ついていけなかった私。
唯一わかったことで大事なのは、2022年の侵攻が両国にとって突然始まった出来事ではないこと。クリミア侵攻しかり、その前から、むしろソ連時代から、続いている関係性における今回の侵攻であるということだった。
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ロシア・ウクライナ戦争勃発の前に書かれた本書。いまはほとんど予言の書のようになっているはずだ。
研究の営みはここまで物事を明らかにできるのかと感嘆した。