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数多の人物が登場する『幕末』という時代を、オランダ人商館員と丸山遊郭の遊女との間に生まれたハーフの少女・花を主人公とした、545ページにも及ぶこの物語の世界に、暫くの間、自分もまるでその幕末の時代に居るかのように入り込んでいました。
花が通訳として、オランダをはじめとする西洋各国の要人たちと、それぞれの言葉で話し、一緒に軍艦に乗り込み同行し、航海するところに浪漫を感じ、とても面白かった。
***少しネタバレ***
ただ、最後、なぜ花も函館に行く必要があったのかが、よくわからなかった。流れをあまり理解できませんでした。五稜郭で、新政府と旧幕府軍の戦いが終わるのを、最後まで花の視点で語られるべきということだろうか?
函館で招かれたイギリス領事館で、もしやオリファント氏と再会するのでは!?と期待したけど再会することもなく、淡々と進み、無事に江戸に帰ってきたのはいいけど、何か物足りなかった。
でも、とにかく、日本が大きく変わろうとする幕末の時代に、勝海舟の右腕となり、4ケ国語を扱い通訳として活躍する花の姿は、浪漫があって惹き付けられるものがあって、凄く面白かったです。久しぶりにはまった作品でした。
前半の舞台となった長崎・出島とその周辺を、ぶらぶら歩いてみたくなりました。
また、作品の最後に、ずらずらっと載せられた参考文献の数に圧倒されました。これだけの文献を参考にこの『満天の花』という作品を描かれたのかと、著者が作品に込めた思いを感じ、感動しました。
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幕末の長崎·出島を舞台にした女性通訳が主人公。
作品の筆致が素晴らしく、一気にストーリーにのめり込んでいます。
何気なく、書店で買いましたが、この作家の本は初めて読んでいるのに別の作品も手に取って読みたいです。
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幕末の動きが詳しく書かれている。詳し過ぎて、ちょっと飽きる。そこで花という人物を登場させたのだろうが場面転換の黒子でおわっている。
あまり感動はない。
まぁ幕末を語りたかったのが主目的なら、しかたないか。
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幕末の様子を日蘭ハーフの青い瞳で詳細に描かれているが、榎本武揚らとともに箱館へ向かった動機があまり理解出来ない。
たぶん艦船を通じて幕末を描く事に拘りすぎたのだろうか。
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花ちゃんが創作の人物と、読んでいる途中に聞いたせいか読むペースがガクンと落ちた。それでもめげずに彼女らのお供を続けていくうち、気づけば架空だった存在に命が吹き込まれ、彼女の青い目から見える景色がより生き生きとして見えた。
士農工商のどこにいても運命が決められていた時代にハーフだからと酷い目に遭うこともなく、むしろ良い具合に好転しているところに筆者の理想が垣間見れた。
(江戸時代であろうと)出自・年齢・性別に縛られず思う存分能力を発揮できることもまた筆者の考える理想なのかな。そういう意味で時代小説とは別のジャンルに思えた。
2ページにもわたる人物らが彼女らの旅路に現れるけど、どの人もキャラクター性が強かったからかさほど混乱はしなかった。(キャラクター性の中で一番の驚きだったのはヒュースケン氏の思い切った感じ。あれは今思い出しても異色すぎて頭がついていかなかった)
訪日外国人問題も彼女の前に度々立ちはだかる。
一口に言っても背景や思惑がそれぞれ違うから調査するのも相当苦労されたのでは?
花ちゃんの(こっちからしたら気の遠くなるような)語学学習もそうだけど、作者の苦労も偲ばずにはいられなかった。ここで感情移入するとは、此れは如何に…
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オランダ商館員の父と丸山遊郭の遊女のあいだに生まれた青い眼をもつ少女の物語。八歳の秋から出島のオランダ商館に通い、小間使いとして働いていた花は、オランダ通詞として幕末の日本で活躍する。その後、英語やロシアも習得し、尊敬する勝麟太郎とともに、新しい日本の夜明けを迎えることになる。
オランダ・アメリカ・イギリス・フランス・ロシアなどの大国を相手に、活躍する女性通詞の姿が目に見える。幕末から明治初期までの幕府や薩長などの重い歴史の歯車に翻弄される日本人の姿が痛ましい。
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時代は幕末。
長崎の出島のオランダ商館員と遊女との間に生まれた青い瞳を持つ少女「花」が主人公。
出島で働くうちにパン焼きを覚え、オランダ語を覚え、勝海舟との出会いから通訳として海舟と行動を共にするようになると、英語、ロシア語の通訳もこなせるようになる。
当然のことながら、政治、外交に詳しくなっちゃうんだな。
日本が開国し、江戸幕府が崩壊し、明治政府が誕生する、そんな怒涛の時代を、花が大活躍する。
幕末好きにはたまならい一冊。