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芸術、そして海外諸国それぞれにまつわる短編集。絵画や造形物、写真を通じて、海外の諸問題を通じて、展開される物語。特に「ハングルを追って」では偶然拾ったJのアドレス帳の住所を訪ねて韓国へ飛ぶ。Jが不在なまま、Jを探す旅にでる。それは主人公の友人のルーツを探す旅でもあったのだ。アドレス帳を頼りに、知らない人の人生を垣間見る、それが探偵のようでもあり、諸外国の問題をも垣間見た。全編を通じて、ゆったりとして、かと思えばどっしりとした、そしてどこかつかみきれないあやうさのようなものを感じた。
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芸術で物語を描く、全5篇からなる短篇集。
① ハングルを追って
② 人形師とひそやかな祈り
③ 香港山水
④ 写真家
⑤ 光をえがく人
どの話も海外が、関係している。
そして、全てのアートも簡単ではなくて、いくつもの苦難があって、みのりがあると感じた。
生きてきた時代の歴史を知り、自分らしく日常を見つめるためにある。
誰かの心を動かすもの。
人形師は、自分が腹を空かせていても、人の喜びで空腹を満たすもの。
水墨画では、描かれたものを見るのではなく、描かれたものを通して、自分の心を見ることが大事。
写真は、たくさん撮らなきゃ、なにも見えてこない。
一枚撮っただけでは、それはただの音。
いくつも撮るから、リズムになる。
リズムがやがて、メロディになって、その人の哲学や生き方をあらわす。
長い目で見ればいい方向に向かっていると信じたい。
どれもが心の奥底にある何かを揺さぶり、大切なものとは何かを気づかせてくれた。
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アートが軸にありつつ国籍、民族、文化における様々な問題が絡みあってて面白かった、目を背けちゃダメだ。多様化って難しいよね。
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「ハングルを追って」
ハングルが書き込まれたアドレス帳を拾った美大事務職の江里子は、油画科の親友に相談し、ソフィ・カルにちなんで韓国へ行ってアドレス帳の持ち主を探すことに……。
「人形師とひそかな祈り」
伝統の御所人形を作り続ける正風は子どもにも弟子にも恵まれず、そろそろ工房を畳もうと考えていた。
そんな折、フィリピンからの留学生を紹介され心を開いていく……。
「香港山水」
現代水墨画家の成龍は、コレクターたちのパーティに駆り出される。
そこで地元実業家の夫人・美齢と出会い、デモ隊と警察が衝突する混乱のさなかに二人は再会し……。
「写真家」
有名な写真家だった父が、記憶をなくして海外から帰国。
娘は世話をしながら、母から写真家としての父の話を聞き、生涯を辿ることになる。
知らなかった真実がそこに……。
「光をえがく人」
ミャンマー料理店の店主に、自国の政治犯についての話を聞くことになった。
学生のころ反政府運動に加わって投獄され、劣悪な監獄生活のなかでの奇妙な体験とは……。
(アマゾンより引用)
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アートをテーマにした5篇からなる短編集。
どれも全然違ったテイストで楽しめたけど、中でも「人形師とひそかな祈り」が感動的で、物語ならではの不思議さもあり一番好きだった。
ハングルで書かれた落とし物のアドレス帳を頼りに、本当に韓国に旅行してしまう「ハングルを追って」も面白かった。