どの話もなんとなく分かると思える
2022/05/12 20:52
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投稿者:まなしお - この投稿者のレビュー一覧を見る
恋人たちの間でちょっとしたすれ違いや違和感がだんだんと膨らんで、どうしようもない亀裂になっていく様が描かれている。そのような話が11話収められている。希望が見える話もあれば、亀裂が決定的になる話もある。どの話もなんとなく分かると思ってしまうことばかりだ。多分それを拾い上げるのは作者の感性の鋭さなのだろう。
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人間って いろいろあるよね。11の短編の全てが恋人たちの話。めんどうで風呂に入らない女、万引きがやめられない女、お菓子が主食の女、買い物依存症の男、酒がやめられない女……極端なんだけと、笑えたり、共感できたり、なんだか考えさせられる。話がおもしろい。それぞれの恋人たちがその後どうなったのか興味津々なのですが
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【不完全な恋人たちの、ちょっと毒のある11のラブストーリー】一見幸せそうに見える恋人たちにも、ふとした瞬間に訪れる微かな違和感や、不信感。「角田光代の隠れた傑作」といわれる恋愛短篇集。
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この作品のあらすじを見てみると、
“一見幸せそうに見える二人に、ふとした瞬間に訪れる微かな違和感や不信感”
“不完全な恋人たちの、キュートでちょっと毒のある11のラブストーリー”
くぁぁぁぁぁーー!
これだけでビール3杯はいける。
また、帯にはこうある。
“大好きなのに、どうしても許せないことがある”
くぅぅぅぅぅーー!
レモンサワー追加だ。
芦沢央さんの解説の言葉をお借りすると、ここに詰まっているのは、「ドレッシングが分離した後、互いに混ざり合わない存在として向き合わざるを得なくなった油と酢たちの物語なのだ」。
この、「ドレッシング」を使った表現は、本作品の中の「二者択一」に出てくる表現だ。主人公が35歳でわたしと同年代というのもあり、この「混ざり合わない存在」同士で生きていくことの難しさの表現として、群を抜いているように思う。
好きだー!って気持ちで付き合い始めたものの、一緒にいると、付き合いたてでは見えてこなかった様々なことが見えてくる。
・風呂に入らず、腋毛も剃らずに生活することが平気なキタハスマコとその彼氏おれの章「サバイバル」
・記念日フェチのクマコと記念日大っ嫌い彼氏おれの章「昨日、今日、明日」
・買い物依存症のリョウちゃんと折り合いがつけられない彼女あたしの章「お買いもの」
・公表していいことと悪いことの区別がつけられず、なんでも人にぺらぺらしゃべってしまうナミちゃんと暮らす彼氏ぼくの章「57577」
・ハルっぴの迷信に振り回されて、過去の罪悪感と向き合い続ける彼氏おれの章「雨と爪」
・”たかだか”野球の一勝に生活の全てを支配される木幡敦士と彼女あたしの章「100%」
・万引きをやめられないカナエと、それを認めていくべきかどうかで揺れ動く彼氏ぼくの章「共有過去」
・お菓子を食べ続ける仁絵と、”たかが”お菓子につっかかってしまう彼氏ぼくの章「糧」
・下戸の上野くん(34)と酒豪の私(35)の章「二者択一」
・長年付き合っていた者同士が嘘みたいに海外旅行でいがみ合う章「旅路」
・周囲に反対されながらもいわゆるダメ男ミネオと付き合い続ける彼女私の章「未来」
この11編、順序なんてつけられないほど、ひとつひとつが愛おしくて痛々しい。大切な人と一緒に生活をするということ。そこにあるのは決して、嬉しい、楽しい、大好き!だけじゃない。同時に、たくさんの違和感と傷つき、不信感も同居している。それらは、P295「できうる限り好意的に解釈して受け入れようとする。だが、時間が経ち、激情が薄れ、相容れないものが日々の生活にじわじわと入り込んでくる中で、その受け入れがたさが浮かび上がってきてしまうのだ。」
わたしには11編全部別れちまえ!と思えたけれど、それは、わたしの器の小ささなのだろうか?
嫌だって気持ちとそれに対して器が小さいと思うことは別のこととして考えるよう、先日カウンセラーの先生に言われたけど、わたしの中に存在する理想の自分が、誰かを受け入れられないことを許せない。
この、他人を受け入れられない自分を許すとするならば、わたし自身がP201「世界で一番自分が正しいと思って」いる、「ナルシストでファシスト」であることを認めることなのかもしれない。
そこで顔を出すのは「他人を受け入れる仕事をしている自分」である。その自分は、小さなことを許せないわたしを、はるか上空から見下(くだ)している気がするのだ。“そんなことも許してあげられないの?”と。わたしは、他人との距離感を考える前に、自分の中にある正論(理想の自分)と、上手に距離をとることができていない。人生に折り合いをつけて生きていく前に、まずは自分の中で折り合いをつけることが必要なんだろうか。
お菓子、お酒、野球…
他人からしたら笑ってしまうような、バカバカしいものたち。
たったそんなことで。人は言う。だから「たったそんなこと」と、その時は思う。小さな違和感なんて、見て見ぬふりをしてしまう。
けれど、2人で過ごす日常の中にどっしりと横たわるそれらを、どうしても見て見ぬふりはできない。
これは、受け入れていくべきものなんだろうか。それとも、受け入れられなくとも、仕方のないものなんだろうか。その答えは、個人の中にのみ存在するし、出した答えが、個人の中の答えと合致するとは限らない。
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二者択一に出ていたセリフのように男女が一緒に暮らすということはドレッシングのようなものかもしれない
お互いが譲歩と変更をすることで混ざり合うことでやっと混ざり合うのだろう
この短編ほど極端な欠点ではなくとも誰にでも欠点はあるその欠点を二人の関係が落ち着いた頃に嫌気がさして拒絶するか受け入れるか次第ではないか
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普段短編集はあまり読まないけど、角田光代さんということで目に付いたや否や購入。
何なんだこの可愛いらしい恋人たちは!!いや、寛容すぎか!、、ちょっと引くんだけど。くるくる変わる主人公に目まぐるしくツッコミを入れながら読んだ11のストーリー。だけど、わかるんだよな。めっちゃくちゃしょうもない違和感が大きくなっていくところとか、ちっさいキッカケが受け入れ難く、嫌いになりたくないあまりもう見たくないと背向けてしまうあの気持ちも、大好きだからこそ許したいのにどうしても許せない感覚と、それでも擦り合わせようと歩み寄りながらもすぐ分離してしまう虚しさも。本の中で、過去のダメになってしまった恋愛全部が再現されているようで。キッカケだけがフィクションとして変えられているだけで。
彼女がお風呂に入らない物語にも出てくる「何のために僕らは恋愛するのだろう」という旨の言葉が残る。めちゃくちゃダサい恋人が嫌になった友達はきっと人類が全裸で歩いてればずっと幸せでいられただろうというエピソード。その通りだと思う、そう思えば、洋服が何?お風呂入らないから何?自分たちだけの世界がただ幸せであれば良いやんって思うけど、そうじゃないのも確かで。それを感じてしまう自分にも自己嫌悪する。
まあ、兎に角、11のストーリーの恋人たちに、幸せな未来があるようにと願わずにはいられなくなる〜笑
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角田光代の本初めて読んだけど、1ページ読んだときにこの人の本好きだわって思った。
なんで自分の恋人はこうなんだろう?変だよね?っていう語り口ですすめられるストーリーで、たしかに出てくるキャラは割と極端。でも、自分の恋人を変だと感じるように、自分も恋人から「なんで?」って思われてることが多くて、そこが面白かった。
つまり2人っていう世界の中ではどっちが普通とか、どっちが正解とか、そんなのはなくて、多数決しても決着つかないんだから。
まあ、小さいことから大きいことまで、どんな恋人や夫婦にも、理解できないと感じることはあるはずで。
それが良さでもあり、登場人物の誰かが言ってたけど、自分が正しいって決めつけるのは間違ってるよなぁと思う。
吉野弘さんの「二人が睦まじくあるためには」にあるように、完璧であろうとしないで。
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かなり前の短編集。
角田さんのイメージは、最近では事件を扱ったような社会的な長編も多く、過去にはこんな感じの恋愛小説系がよくあった。
この短編集、さすが角田さんと思った。
心理描くの、うまい。
途中から坂道を転がるように加速して悪化していく感じ。これは今も変わらない。
恋人同士が、お互い完璧な相手だと思いながら続けていくのは難しい。
妥協が必要だ。
他の人から見たら、そんなヤツとは別れた方がいいって思っても、人によって許せるところ、許せないところは違うのだ。
1番共感できたのは『旅路』
共感できるから、なんだか最後に椅子を譲ってくれた青年の優しさと自分の狭小な気持ちが情けなくて、泣けた。
普段の生活なら、この相手は間違いないって思てたのに、旅の仕方の違いで、その旅行のスムーズにならない環境下でお互いがイライラして、相手を責め立てるような気持ちで充満する。
最近、読んだ短編集で、ウィリアム・トレヴァー『異国の出来事』の中の『三つ巴』でも、夫婦の旅での苛立ちが書かれていて共感できた。
旅は計画的に余計なイライラをしないように準備しておきたい派と、行き当たりばったりになってもそれを楽しむ派に分かれる。
私は計画派で、行き当たりばったりになってイライラして時間を無駄に過ごしたくない。お金を無駄にしたくない。
でも、行き当たりばったりで旅を楽しむのも楽しそうだとは思う。
ただし、それはあらかじめ行き当たりばったりで旅をすると決めてからじゃないと嫌だ。
角田さんは、両方の気持ちと心理をうまく描いていて、すごいなー。
1番共感できなかったのは『未来』
若いうちはありがちだけど、30過ぎるとちょっとやめた方がいい。自分のこと棚に上げて人のやってること悪口言ってる。くだらない生活で生きてるのに、人のことを悪く言うのだ。そんなふうにずっと生きていると、くだらない人しか周りにいなくなるだろうなぁ。目標とか、充実とか追い求めないから、人のそういうものを馬鹿にして生きていくしかないんだろうなぁ。
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ひとの恋愛のいざこざを盗み見る感じ。
しかも外側からではなく内側から。
個人的に共感はなかったけど、
こんな風に悩んでる同世代がいるかもと思うと少し安心する。
完全な野次馬として楽しんだ。
このあとも続く人たちもいれば、そうじゃない人たちもいるんだろうという
投げられたままの最後が良い。
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角田光代の描く11組のラブストーリー。
きっと一癖も二癖もある男女の恋模様が読めるのだろうなと思って手に取ったが、見事に期待を裏切らない作品でした。
好きだから何でも許してしまう面もあれば、好きだからこそ許せないこともあったり。
『太陽と毒ぐも』とはよくつけられたタイトルだなと思いつつ、世の中のカップルを表すぴったりの表現でもあるな。と思わされました。
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相手に対して不満を抱いているカップルの短編集。角田作品では好きじゃないタイプの奴(ごめんなさい)。
なんていうか、若者たちが下品なんだよね・・・。
それぞれいろんな不満や違和感を抱いていて、結婚するか別れるか逃げ出すかを決めるお話。
あんまり、うーん、どの話も好きじゃなかった。
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最初の1ページ目を読んだだけで、ああ、やっぱり面白いと思ってしまう。
俺は角田光代の文章が本当に好きなんだとあらためて実感する…
旅行やら出張に出かけて池袋(個人的に思う場所ですが)に着くとものすごく安心して、帰ってきたんだけと感じるのと同じ感覚だと思います。笑
11の様々な恋人たちのとてもリアルな関係が描かれていて、自分の今までの恋愛と共感する部分も沢山あってとても面白かったです。
この小説の帯に芦沢央さんが書いている
「じぶんの欠片たちが口々に騒ぎ始める。
これは私のための物語だ、と。」
さすがですね!まさにこの言葉がこの小説という
感じでございます♪
「サバイバル」の中で
俺たちは何がほしいんだろう?
俺たちって、健吾や俺だけじゃない、目の前の女の子たちも、北原すま子も、あのセンスのぶちこわれた彼女も、いったい、何がほしくて人を好きになって、恋人なんかつくって、いっしょにいようとするんだろう?
この言葉は、彼女がいる時には全然考えないんだけど、しばらく彼女がいない(現状…)に考えてしまうんですよね、見た目の美しさ、可愛らしさ、ファッションのセンス、笑いのツボ、嫌いなものが一緒、
何をもって人は人を好きになるんでしょうかね…
最近本当にわからなくなってきました。
40歳もすぎたので、恋愛ぐいぐいって感じでも無くなってるのは勿論ありますが、
「二者択一」の中で
サラダ油に酢を入れて、ぐるぐるかき混ぜる。
なかなか混じり合わない両者は、数秒でちゃんと融合してどろりと白濁したドレッシングになる。
三十四、五年で培ってきたそれぞれの生活は、
油と酢のようにくっきりと独立した何かで、両者を混ぜ合わせるにはそれ相応の気負いと行為が要る。
けれど白濁したドレッシングを放置すればまたすぐに分離してしまう。
譲歩も変更も、新しい習慣も入り込む余地のない何かを、私たちはそれぞれ相手の中に見つけ出してしまう。新鮮で興味深い新発見の連続ののちに、
さほどよろこばしくもなくどちらかというと厄介な新発見が、さらに発掘され続ける。
誰かと暮らすとは、そういうことらしい。
とても長くなってしまいましたが、この部分は
三十代以上の人なら納得のいく真理みたいなものだと思ったので、抜粋させてもらいました。
また、しばらく角田光代から離れて他の作家さんへの旅に出ようと思います。
すぐに安心できるホームに帰れるようにちゃんと
積読してありますので…
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たくさんの、いろんな、多種多様な男女恋愛模様が、それぞれの短編の中で繰り広げられ、短編の中で的確に男女のズレを炙り出しつつも、綺麗に、整理整頓された、理屈の通ったようには落着せずに、だけど何となく、ふと気づいたら、穴にすっぽりハマる。
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もれなくすべて
「別れたほうがいいんじゃない」
と思う恋愛小説というのが面白い
彼女がお風呂ギライで不潔 とか
記念日に執着する とか
旅行中にけち臭い男とか
買い物依存 とか
そりゃね 愛の前では
些細なことかもしれませんよ
愛してるなら受け入れるべき
いあいあ そうとも限らない
やっぱり 受け入れられない
許せないことだってあるんです
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短編集。世の中にいる、変わり者みたいな人が次々でてくる。友達どうしの会話がたくさん出てきて日常っぽくて笑えるか、愚痴を本で聞くのはつかれるか、、。リリーは後者でした。