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ページをめくるたびに、10人の登場人物に考えを揺さぶられるようで面白かったです。前作と同じく、読み始めると世界観に引き込まれてどんどん読めます。
所々難しい用語が出てきますが、何度も反復して説明しているので非常に読みやすいです。
ただ、ここには絶対的な正解はありません。あくまでこの本を通して各々読者が考えることです。
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地の文ほとんどない。人間は滅ぶべきかいなか、色んな立場の人たちが議論する話。私自身もかつて反出生主義者だった。反出生主義は完璧だから反論がとても難しい。今は違うわけだけど、だからといって反出生主義に反論できるほど人を産むことを肯定できない。反出生主義は完璧だから。けれど本書ではその凝り固まっていた考えを別の角度から考えさせてくれる。面白かった。議論の中身がかなり難しいので地の文がなくてちょうど良い。
表紙可愛い。
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自分は反出生主義者というわけではないけれど、同じような事を何度か考えたり想像した事はある。
作中の人物たちにとっては、考えて話し合った先に人類の存続か滅亡かが決まってしまうという明確な意味があるけれど、僕らはこういった事をいくら考えたところでどうにもならない。
それでも考える事が無意味な事だとは思わないし、何より結構楽しい。
最後に書かれていた通り、この作品の一番の楽しみ方は自分も会議に参加しているつもりになって色々な主義主張に耳を傾けて「なるほどなー」とか「それは違う気が…」なんて思いながら自分の意見はどうなんだろうと考える事だと思う。
絶対に間違っているものなんて無いし、その逆も然り。
だからこそ考える事は楽しいなと思えるそんな作品だった。
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読んだ。あー……読み物として最後のシーン凄い感情を搖さぶられたーー。読んで良かったーー。こういう表現に弱いです私。
内容としては、よくわかんない「反出生主義」ってどういう主義・主張なの?というのを一般的だけど偏った主義の8人と一緒に議論していくのが3/4ぐらい。その解釈の仕方で各主義がどういう理論・感情(理想?)で行動するのかが解って「そもそも〇〇主義ってどういう考えなの?」というのも見えてくるのが主義思想の入門編としてお得な感じがしました。
「議論」の楽しさというか、ちゃんと「議論」やってるなーこうでありたいよね「議論」。って感じ。
あとがきの引用になるけど
「食い違う主張について「どちらが正しいのか」ではなく
「異なる種類の"正しさ"がそれぞれどんな水準で成立しているのか」を考えることをおすすめします」
これがこの本の一番主張していることなんだと強く思います。正しさ概念の入門書って感じ。
読み物として良いなと思うのが、残りの1/4。まぁ、解説が終わって物語が動き出すんだけど、「そうそう!引っかかってたのそこ!!」って所を解してくれるので気持ちよかった。そして最後の立ち回りがとても良くて……最後のシーンで一回本を閉じて天を仰ぎました……台詞が良すぎるのよ……
いやぁ……こんなに感情揺さぶられたので、本当すぐ買ってよかった……ありがとう品田遊先生。
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議論形式で反出生主義を読んでいく・またそれに対立する意見を読んでいく、という形式で面白かったです。主義主張にそれぞれの根拠があり、道徳・善悪の概念などのくだりは言語化されるとなるほどな〜という感じでした。
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人類を滅ぼすべきか否か?
の命題を反出生主義を中心に議論が進んでいくという小説。
以前ネットニュースで反出生主義のことを初めて知って、何となく理解は出来るが、うーん…、というモヤモヤした感じだったので、疑問を含めて言語化してくれていたので、少し解消されました。
ただ、登場人物が全て色で分けられていたので、最初はどの色がどんな主義だったっけ?と迷走してました。
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人類を滅ぼすべきかというか問について、10人の人間代表が議論する形で進められる。
作品の形式としては『よいこの君主論』が近いと思う。
勿論恐山…いや、品田遊のファンなので手に取った。こんな作品も書けるんだな。恐山…恐ろしい子っ…!
品田先生のファンならばおすすめです。
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デカルトの方法序説「我思うゆえに我あり」のような論理的思考で、わかりやすい具体例を用いながら半出生主義について書かれた本。
人を傷つけながら生きていると自覚を持って、自分の気持ちの良い生き方をしたほうがいいんじゃないかなと思わせてくれる。
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この本の良かった点は
・前提知識が無くても楽しめる.
・反出生主義以外の主張をみだりに下げていない.
・単純に小説として面白い.
そもそも反出生主義のことを字面でしか知らなかったので,ブルーのような悲観主義や虚無主義的なものだと勘違いしていました.その誤解が無くなっただけでも読んでよかったなと思います.反出生主義を唱えるブラック以外の主張も共感が持てるものだったしその上で説得力のある意見がブラックから提示される.その流れが反出生主義ありきでないので前提知識が無くてもスラスラ読めました.ただ,我々読者はすでに生まれてしまっている人間なので反出生主義の論理は理解できてもそれを首肯し実現のために行動することはしないだろうなと言う感想もあったり,その意味ではグレーの方が今を生きている人間にとっての反出生主義に対するアンサーの中の説得力のあるものの一つかなと私は思いました.
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反出生主義を知る導入としてうってつけ。
手っ取り早く読みやすい。
私は「生死に「べき」という価値判断を持ち出せない」という信念のもと生きているので、フラットな立場で読めた気はあんまりしない。が、自己の内部に既存の認識を改めて問いただし、同じ議論の席に座るような体験はできた気がする。
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読みながら何十億年後には地球は太陽に飲まれるんだし今議論しなくてもほっとけば滅亡するかもしれないのにと思ってたけど後付で作者が子供の頃のきっかけとして書かれてたのであらまぁとなった
生まれてきたら苦痛があるはずだというけど、保坂和志のエッセイで病気の人がずっと胃瘻かなにかで食べ物を食べられなくて、初めて口から飲んだ薬が苦かったのをものすごく喜んだという話があって、普通に生きてたら苦痛は嫌だけどそういう感覚を覚えられるというだけで幸福だと思う人もいると思うので勝手に決めて生まれないほうがいいって自分以外に言えるのかな
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一見誰にとっても絶対的で唯一の結論があるように見える問いについても、考える人のバックグラウンドによって、さまざまな主張がされ得るんだと感じた。
自分の価値観は凝り固まってしまってるなぁ。
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読みやすいけど考えれば考えるほど難しい、哲学。私はもともとブラック寄りの考えだけど……やっぱり難しいなぁ。面白い本だった。
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著者の前2作が面白く、また小説としての文章が読めることを楽しみに本書を開いた。
結果として期待は裏切られたものの、良質な時間を過ごせたように思う。
なぜ裏切られたと感じたのか。
本書が「反出生主義を題材とした対話篇」であったからだ。
地の文はほぼなく、10人の異なるペルソナを持った存在が反出生主義を主題とした議論を行うという内容に終止する。
小説風の解説本のような体裁に近い。
一方で内容には満足感がある。
極端にも見えるそれぞれのスタンスから見た主義主張、論点は読み進めながら感じる疑問に近く、ページをめくる度に確かにと思わされたし、理解も深まった。
もし著者の次作が刊行されることがあれば、小説らしい長編小説を読んでみたい。
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2021-09-26
ほぼ一気読み。不出生主義についてざっくり知るには最適の本。なるほど、そういう事か。ある意味徹底して論理的だし倫理的。
結局、「何に価値を認めるか」ということなのかもしれない。その価値を他者に押し付けるのは良くないとしても、価値を共感してくれる(かもしれない)と期待して新たな存在を生み出すのは是が非か。
不幸の回避と価値共有の期待では、どちらがより重要か。
まだまだ考える価値はありそうだ。(あ、ここにも価値が)