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スペイン内戦と国際旅団 ユダヤ人兵士の回想 みんなのレビュー
- シグムント・ステイン (著), 辻 由美 (訳)
- 税込価格:4,400円(40pt)
- 出版社:みすず書房
- 発売日:2021/07/26
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紙の本
慰安所のある「売春が廃止された正義の共和国」
2021/08/09 15:55
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本はソ連と共産主義に裏切られた反動で反ソ、反スターリン主義的な記述が目立つ。スペイン共和国がソ連から金で勝ったT-26戦車やI-16戦闘機などは当時、最新式の兵器なのだが、著者は目にした事がないらしい。
この本の筆致で同じ版元から出ていたガリーナ・ヴィシネフスカヤの自伝を連想した。この本は彼女の一家から故国を奪った共産主義(まだソ連市民権を回復する前に出た本)に対する憎悪が目に付くが、少なくとも地に足をつけて書いていた。
おぞましいのは「売春を廃止した」という事になっている共和国の軍隊には慰安所があって、著者が病院で出会った「ブルジョワ」出身で、弟が国民戦線側に投じたので刑務所の中で囚人達から輪姦された末に慰安所送りになった女性が出て来る事。つまり、「民主主義を体現している」事になっているはずのスペイン共和国は二枚舌だという事だ。おそらく共和国軍の慰安所にいた慰安婦は似たような境遇の女性がいたのだろう。「政治民兵」と描かれているのは、おそらくスペイン共産党員ではなく、アナーキストの民兵なのだろうか?時期的に見て、そんな気がする。
ここで「軍隊のための娼家」だから慰安所としか訳せないのに「娼家」、慰安婦としか解釈出来ないのに「街娼」と訳されている。まるで「慰安婦」とか「慰安所」は日本軍の「専売特許」だから使えないのか?、と言いたくなる。
ドロレス・イバルリについての注釈で1977年に「第二共和制」でのアストゥリアス州の議員に選ばれたかのように書かれているが、亡命共和国政府がファン・カルロスの王制を認めて解散した年だ。フランコ体制の後継者として即位したのにスペインを民主化した名君から人間としての資質すら問われるような失墜した暗君として亡命するに至ってしまったファン・カルロス個人や王制に対して如何なる意見があるとしても、これではフランコ没後のスペインは「第二共和制」が復活したのだろうか?、になる。
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