『崖の下の魔法使い』
2021/09/21 19:24
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投稿者:百書繚乱 - この投稿者のレビュー一覧を見る
崖の下にあるふしぎな家「おもいで質屋」
そこに住む魔法使いは思い出をあずかってくれるという
ただし、家も魔法使いも見えるのは二十歳まで
6年生の6月に2組に転校してきたミケ(未希=みき)
2組の中心でカッコいいめの男子大河(たいが)
相撲が好きな祖母の世話をしている1組の夕紀(ゆうき)
クラスになじめないミケは大河に崖の下の家に連れてきてもらう
大河は思い出をあずけてはお金をもらい、夕紀は大好きな祖母が入院して落ち込んでいる
ミケは前の学校の思い出をたいせつにしてきたが……
「あのね、あずけたい思い出があるの。」
友だちのこと、家族のこと、好きな人のこと
“思い出”をモチーフに友情を育み成長していく物語
「わたし、どんな思い出も、もうあずけないと思う。」
卓球を題材にした23万部の人気児童書「チーム」シリーズを生み出した吉野万理子×宮尾和孝×城所潤が最強タッグを組んだ最新刊、2021年9月刊、「ティーンズ文学館」レーベルから
三びきのカタツムリが窓のそうじをしていたり、ふわふわのシッポのリスがたなのそうじをしていたり──中学生の里華の二十歳までを描いた『想い出あずかります』(新潮社/単行本2011年、文庫2013年)を小学生にスライドした設定
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ミケは6年生。転校してきたけど、今ひとつ学校に馴染めない。前の学校、友達の良かった事ばかりを思い出してしまう。
そんなときに思い出を預かる不思議なおもいで質屋に行く。20歳すぎると見えなくなるその店は思い出の対価にお金をくれる…。
話の主題は人の心のすれ違いなど、心情描写なのですが、不思議な能力のある魔法使いが出てくることで、ファンタジーっぽい味わいが加味されたお話です。個人的に吉野万理子さんの作品はファンタジー色あるものより、現実のものの方が好きです。これも今ひとつな印象でした(良かったけど)。
吉野万理子さんは小説に良くスポーツを書かれていて、以前お相撲が好きと聞いたことがあったのですが、今回、少しだけ取り入れられていたのが興味深かったです。そのうちガツンと相撲を中心に据えた小説読んでみたいなぁ。
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2022県課図高学年■
思い出のよしあしの扱い方が一貫したテーマになっているのだろうが、友達関係と家族と命と幼い恋愛と、と、日常的なものを色々放り込んで何かとりとめのない話だった。
普通のカフェのように疑問も違和感も特別感もなく普通にそこにあるファンタジーが特別な働きをするわけでもなく、本当にそこにあるだけだった。
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おもいで質屋、吉野さんだなぁ…と感じるお話だった。思い出って、どんなものでも消えはしないんだよね。忘れちゃうかもしれないけど、なくなることはない。
消したい思い出ほどずっと残ったりするから、私も思い出預けたいなぁ。でもそんな風には思わない子どもだからこそ、行ける場所なのかな。
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2022年の高学年課題図書。
思い出を魔女に預け、お金に換える。もし、その思い出が必要になったら20歳までなら返してくれるという。
小学生だった私なら、たくさんたくさん預けたい嫌な思い出がある。消してしまいたいけど残念ながら今もくっきりと残っている。
物語の子どもたちは、預けたり、預けたけど返してもらったり、預けようかと思ったけどやめたり…と、誰もが陥るであろう気持ちを味わっていく。
感想文をかくなら、比較的書きやすい内容だろう。誰しも思い出については、何かしらの思いがあるはずだからだ。
他の方々のコメントを読んで、2011年発行の同じ設定の話が、同じ著者によってなされていることがわかった。小学生向けに書き直したということなのだろうか?元の話も読んでみたい。
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思い出を預かってくれる魔法使いの質屋さんと、そこを訪れる少年少女のお話。
途中までは、タイトルになっている割には魔法使いさんの存在が薄すぎやしないかと思ったけれど、全部読んでみたら結構納得できた。
おそらく主役であると思われる、ミケや大河よりも、その友達になった夕紀のほうに感情移入しやすかった。しかし、それは私が大人になったからで、ミケや大河、星南のような子(とても良いところがありつつも不安定で見てるとモヤモヤする未熟さも目立つ)のほうが、子どもには自然であるだろうから、これで良いんだろうな。
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自分の思い出を魔法使いに預けることができるカフェ。思い出を預けると少しのお小遣いが貰えるが、思い出はすっぽりと記憶からなくなってしまう。
そこに集う小学生の3人少年少女のお話。
悲しい思い出、楽しい思い出と様々ある中で、悩みながらも素直に思い出に向き合う主人公達の姿にサラッと爽やかな思春期の始まりを感じて可愛らしい心温まる気持ちになりました。
小学校高学年向け課題図書。まだ字がうまく読めない幼稚園の娘から一緒に行った図書館で「代わりに読んで」と急に渡され
え?これ読み聞かせるの!?と思いましたが、特に希望がなかったためなぜか私が読むことに。
表紙や挿絵の可愛さに惹かれたんでしょうが、字が多すぎたので私に託したらしいです。
なのでいつも読まないジャンルですが、もちろん読みやすくほっこりさせて頂きました。
ティーンズ文学ってファンタジーものが多いイメージは元々ありましたが、本書は小学生の日常にさりげなく添えられるように魔法使いが淡々といる感じなのでなんとも不思議な気持ちで読みました。
魔法使いってもっとどデカい存在じゃないの?ってつい大人は思いますが、案外子供にとってファンタジーなものでも隣人のようにすんなり素直に心に入ってくるものなのかもしれない。
意外なところから娘に新しい世界に連れていってもらい面白かったです。
ちなみに私がこの世界に行ったら、きっと思い出全部売っぱらって小遣い稼ぎしてただろうな…