紙の本
近現代作家の「刀」
2021/10/04 19:52
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投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
武器と芸術、聖と妖といった二面性、神格化されたり権力の象徴だったり、さまざまな意味を持つ「刀」にまつわる、近現代作家の短編集。
ちょっと「ん?」ってのもあります。巻末の解説が一番面白かったりして・・・。
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加門七海「女切り」は読んでるだけで血の匂いが漂ってくる。恐ろしいけど、心惹かれる。
泉鏡花「妖剣紀聞」の美しさと哀しみが凄い…とはいえ、この文体得意じゃないので、きちんと読めてるかは分からない。悔しい…でも、凄いのは分かる…
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■草薙剣は沈んだ 赤江瀑 ……既読。下関の平家蟹や耳なし芳一や。読後、題が直接で端的だと判る。
■騒ぐ刀 宮部みゆき ……うめく刀。守り刀。え、犬? 意外と現代的探偵ものの論法でもある。
■花の眉間尺 皆川博子 ……★既読。これはやはり最高峰。「重箱の隅の老人©新保博久」とか「ルビをふってください」とかお茶目もあり。
■女切り 加門七海 ……文体が綺麗。
■古刀譚 日夏耿之介 ……★いい小話。
■にっかり 東郷隆 ……
■幽鬼 井上靖 ……
■蛇か、剣か――『播磨国風土記』「讃容の郡」より 東雅夫・訳 ……
■八岐大蛇の執念――『平家物語』「剣巻」より 東雅夫・訳 ……結構古事記をなぞってその後。平家ってそういうテクストなんだと新鮮。
■赤い蛇――『遠野物語補遺』より一四二、一四三、一四四話 柳田國男 ……
■淡路屋敷の宝刀――『佐久口碑伝説集・北佐久編』より 掛川亀太郎 ……民話。
■有馬包国 本堂平四郎 ……
■妖刀記 大河内常平 ……★結構面白い小説。
■妖剣紀聞 泉鏡花 ……★杜若。水に沈む刀。女。大変美しい絵を見たようだ。どうでもいいけど鏡花=総ルビなのにどうして漢数字だけルビがないんだろう。
◇編者解説、著者紹介、底本一覧
どうして刀は濡れているんだろう、どうして刀と水は相性がいいんだろう、どうして刀は水に沈んでいるイメージなんだろう、と読後考えたが、
よく考えれば全篇がそうというわけではなく、赤江瀑、平家、泉鏡花くらいなのだ。
これはアンソロジーの技に快く惑わされたということ。
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2021年発行、筑摩書房のちくま文庫。14編。現代作家の作品から古典作品まで。特に平家物語の一部まで収録されている。古典ものはいずれも短いが、直接的でいいのかもしれない。現代作家ものでは宮部みゆきが馴染んだ作家ということになると思われる。『騒ぐ刀』は既読だが、こういう感じの話だったっけと思いつつ。もっとヒロインが活躍する話だったと思っていたのだが。
収録作:『草薙剣は沈んだ』p9-p50,赤江/瀑‖著、 『騒ぐ刀』p51-p120,宮部/みゆき‖著、 『花の眉間尺』p121-p139,皆川/博子‖著、 『女切り』p140-p173,加門/七海‖著、 『古刀譚』p174-p180,日夏/耿之介‖著、 『にっかり』p181-p211,東郷/隆‖著、 『幽鬼』p212-p227,井上/靖‖著、 『蛇か、剣か 『播磨国風土記』「讃容の郡」より』p228-p229,東/雅夫‖訳、
収録作(続き): 『八岐大蛇の執念 『平家物語』「剣巻」より』p230-p235,東/雅夫‖訳、 『赤い蛇 『遠野物語拾遺』より一四二、一四三、一四四話』p236-p237,柳田/國男‖著、 『淡路屋敷の宝刀 『佐久口碑伝説集・北佐久編』より』p238-p239,掛川/亀太郎‖著、 『有馬包国』p240-p243,本堂/平四郎‖著、 『妖刀記』p244-p265,大河内/常平‖著、 『妖剣紀聞』p266-p328,泉/鏡花‖著、他:編者解説,東雅夫、著者紹介、底本一覧
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怪しい妖しい美しい。
刀にまつわる(関係ないものもあるけど)妖しい怪談が、ひたすら堪能できるお得な一冊。
「審神者」的には、刀工・加州清光が登場する泉鏡花「妖剣紀聞」は必見。
(といっても、彼の名前の由来は史実を照らすとまた違ってくるんだけど)
エンタメ寄りの「騒ぐ刀」、世界や言葉が美しい「女切り」「妖剣紀聞」、鬼気迫るとはまさにこのことな「古刀譚」。
民俗学の伝承も含めて、いろんなバリエーションが楽しめて、
かつ、編者の東先生の仰るよう、収録作は「妖しく」「美しく」「謎めいた」が通底しているので、なんともいえない満足感がある。
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東雅夫さんの新アンソロジーシリーズ〈文豪怪談ライバルズ!〉。刊行は、"刀"、"鬼"、"桜"の順だが、読んだのは、鬼⇨桜⇨刀になった。3冊の中で一番面白かったのは、本書「刀」。
これまで時代小説をあまり読まない上に、刀にほとんど興味がなかったので、本書で初めて知った作者、初めて読む作品が多かったし、刀は人の命を奪う道具であるから、奇瑞・奇譚の魅力ある題材として扱われている。
・赤江瀑『草薙剣は沈んだ』〜安徳天皇と共に沈んだ草薙剣を巡る怪異譚。関門海峡の上空の居るとしか思えない幻視に疲弊する男。彼は以前ある剣を拾ったことがあった。もしやそれは……。謎が謎のままなのがいい。
・加門七海『女切り』〜友人所有の刀、その鋒に夜毎見える女の姿に心狂わされる初老の男。そして遂に…。怪しい女の禍々しさの描写が堪らない。
・東郷隆『にっかり』〜銘刀ならではの奇瑞譚。どこまでが本当の話なのか。化かされているようで楽しい。
・泉鏡花『妖剣紀聞』〜水泳ぎの人の命を奪う怪しい場所を何とかしようと覚悟を決めた法印、決死のダイブで水中を探ったところ、短剣を見つける。不動尊の御厨子に保管したが、無くなってしまう。また潜ってみたら、短剣は同じ場所に。今度こそはとしっかりしまったが、またもや。一体どうしたことか‥。その怪異譚に、若い男女の恋模様が絡む。
編者解説では、本アンソロジーでは、鏡花の幻の名作佳品を、積極的に採り上げてゆく所存とのこと。
その意気や良し!
鏡花の文章は通常であれば切れる文が流れるように続いていくので、誰のことを書いているのか分からなくなってしまうことがある。ただその揺蕩うようなリズムに慣れてくれば、とても心地良い。
(ここからは別次元の感想)
「諸般の事情で復刊が難しかった」と記述されているが、本作『妖剣紀聞』などは、確かに名作だと思うし、簡便に読む機会を作ってもらえてありがたく思う。
ただ、若い男女の悲恋の原因、女性の苦しさの素となっているのが差別意識、差別問題であり、その点について本作品の解説として何ら触れられていないのはどうなのだろうかと思った。今の時代は、敢えて触れない方が良いということなのかもしれないが。
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・まず紗久楽さわ女史の装丁画が妖美過ぎてびっくりするでしょ…
・「草薙剣は沈んだ」、平家の怨念を書いても赤江瀑はどっか上品だった…
・何度読んでも皆川博子先生の「花の眉間尺」、幻想文学の極みで好きだ…
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にっかりが読みたくて購入。
私の知ってるにっかり青江(刀剣乱舞)のエピソード違った。
泉鏡花を何気に楽しみにしてたんですが、何書いてるかよくわからなかったです。
文字が読めるだけで、意味が分かりませんでした。
妖刀記が面白かったです。