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2022/01/11 22:22
投稿元:
カスタマーサービス(流行りのカスタマーサクセスではなく)に関する立体的な全体像を概説している。
書いてあることはまっとうだし、しっかりと網羅されているように思う。指標周りの具体的な事例や抽象化したKnowledgeをもう少し解説してほしかった。
2022/05/01 13:03
投稿元:
カスタマーセンターへの問い合わせを分析する。また分析可能なレベルまでデータを整理する。そこから商品改善につなげる。山下さんに蓄積されているか聞いてみる。
カスタマーセンターの効果的な運用方法が書かれておりサプリの運営にも参考になりそう。特にどうやって声を拾い、統合し、管理するかのプロセス。ここが重点的に書かれている。
ビジネスパートナーとのサービス強化。
同じくジャーニーを作る。責任範囲を明確に。
アンケートではこれまでの声からの改善事例も載せておくことが大事。これはセミナーアンケートにも使えそう。
2022/05/05 17:10
投稿元:
第1章 カスタマーサービスを戦略的に捉える
自らの組織で、戦略的なカスタマーサービスを構築するための最初のステップは、CXの起点から完了までを対象とするカスタマージャーニーを描くことである。そして、顧客が困っているトラブルを理解すること(そこにはVOCとして企業に届かないものもある)、顧客から申し出られた苦情、カスタマーサービスによる対応という3つの側面が、それぞれどのような経済的な影響をもたらすか検討することも欠かせない。
■サービスを構築する上で外すことのできない7つの基本
①カスタマーサービスのスタッフに権限委譲することで即時解決できるトラブルを特定してみる。
②顧客が求めている情報を見つけやすくする。
③カスタマージャーニーマップを作成する。
④顧客が苦情を申し出やすいようにする。
⑤顧客接点を使って、潜在的な顧客価値を強化する機会を掘り起こす。
⑥カスタマーサービス部門を、クチコミをマネジメントする部門として捉え直す。
⑦経済的なロジックを明確にする。
■KEYTAKEAWAY実践のポイント
・トラブルに遭っても、多くの顧客は苦情を申し出ない。その結果、トラブルを体験していない顧客と比較して20~40%ロイヤルティが低くなる。法人顧客は担当者との関係が崩れるのを恐れて不満を口にしたがらないので、BtoBビジネスでも、状況は全く変わらない。
・一般的にトラブルが生じると、カスタマーロイヤルティは20%下がる。つまり、5人に1人が再購買しなくなる。
・トラブルの頻度が増えると顧客の価格感度が倍増し、価格に不満を感じる顧客の割合が倍々で増えていく。
・一般的には、顧客からの問合せに対応するのがカスタマーサービスの主な仕事だと考えられているが、それだけではない。カスタマーサービスへのアクセスをしやすくしたり、顧客の声に耳を傾け学ぶことができるよう、社内のVOCマネジメントにフィードバックすることも重要な業務である。特にVOCマネジメントへのフィードバックによって組織的なDIRFTが強化されてくると、カスタマーサービス自体が顧客の苦情に対処する「火消し役的な存在」から、「予防型マネジメントモデル」へとシフトするだろう。
・カスタマーサービスが顧客の不満に対応するはるか前に、マーケティングや営業が顧客の期待をつくり出しているので、カスタマージャーニーを理解することが重要である。新規顧客のオンボーディングには、カスタマーサービスからのインプットが欠かせない。またはカスタマーサービスがオンボーディングの活動を引き受けることが望ましい。
・企業からの能動的な情報提供を受けたり、問題解決プロセスで満足したカスタマーロイヤルティは、トラブルを体験していない顧客と比較して通常10~30%高まる。
・VOCマネジメントと改善のための投資を怠ると、顧客のトラブルは減少しない。その結果、サービスコストが増大し、収益にはマイナスに作用するだろう。
第2章 顧客は何を求めているのか
■戦略的なカスタマーサービスを実現するために必要な6つの要素
①顧客教育と効果的なオンボーディング
②便利で誠実��アクセス
③正確で、わかりやすく、完全な回答
④最後までフォローしてくれるという信頼感
⑤適切なクロスセル
⑥カスタマーディライトの創出
顧客が受けたカスタマーディライトと必ず推奨すると回答した人の増えた割合
トラブルを回避できる情報や顧客にとって得になる情報をもらった→32%
自分のニーズに合った新製品やサービスの情報をもらった→30%
長期間にわたってパーソルな気遣いがあった→26%
スタッフとの90秒程度のフレンドリーな会話があった→25%
顧客の事前期待をはるかに超えたサービスを受けた→12~14%
■KEYTAKEAWAY実践のポイント
・DIRFTモデルとは、顧客の期待を適切に設定し、それを一貫して満たすための取組みであり、予期しない不快な出来事や困りごとを取り除くことを目的とする。効果的なオンボーディングを含む質の高いマーケティングと販売は、従来のものづくりやオペレーションの品質と同じくらい重要である。
・顧客の不満の原因を探ると、顧客対応時の問題以上に、製品の設計上の問題、曖昧な広告コピー、トラブルが生じやすい業務プロセスなどを原因とするものが大半を占める。
・カスタマーセンターで顧客対応にあたるスタッフが、顧客にとってわかりやすく納得感のある回答を真摯に伝えることは、電話のつながりやすさなどを改善するよりもはるかに重要だ。
・カスタマーサービスの強化は、好意的なクチコミの拡散と企業リスクの低減につながる。しかし、具体的な目標を掲げて定量的に管理している企業は、まだ非常に少ない。
・プロセス指標、成果指標、財務指標という3つの異なったレベルの目標を適切に組み合わせることでカスタマーサービスの有効性と効率性が向上し、結果的に財務部門を巻き込むこともできる。
第3章 戦術と戦略の両面を備えたカスタマーサービスシステム
■3つの目標を達成するための9つの目標
・アクセスの目標を管理する指標
・苦情のコンタクト率
・履歴作成された案件の割合
・効果的な顧客対応の目標を管理する指標
・一次解決率
・カスタマーエフォートスコア
・応対満足度
・スタッフの離職率
・VOC活動にフィードバックする目標を管理する指標
・トラブル率
・経営レベルでのVOC活用度
・VOC案件の解決割合
■KEYTAKEAWAY実践のポイント
・コンタクトしてきた顧客に対する効果的な対応の目標達成と予防できるトラブルへの取組みを優先すべきであり、苦情を申し出る顧客の数を増やす前にレスポンスのパフォーマンスをある程度改善すべきだ。
・「顧客が誠実である」という前提に立って、顧客が求めているものを聞き出し、顧客には求めているものを提供する。速やかな解決をめざせば、必ずといってよいほど、リスク関連のコストが下がってくるだろう。ただし、顧客に解決案が示せない場合、満足してもらえない顧客には、お金よりも、納得できるわかりやすい説明が効果的だ。
・第一次解決は重要な基準であり、それを阻む障害を取り除く必要がある。通常、カスタマーサービスの担当者に必要なツール、トレーニング、権限委譲などが弱いことに起因している。なぜ一次レベルの担当者で解決できず、スーパーバイザーや部門外にエスカレーションする結果になったかの原因を分析し、エスカレーションを回避するためのサポートや解決案を提供すべきだ。
・スタッフの離職率の原因は、支払う報酬額のレベル以上に、業務上のの成功、進歩、表彰などの承認(レコグニション)の不足に起因している可能性がある。ベストプラクティスでは、周辺地域よりも10~20%多く報酬額を設定するのが効果的だが、それだけでは解決にならない。スーパーバイザーは、ポジティブな方向に対する表彰を通じて彼らの成功と進歩を確認し、スタッフのパフォーマンスを称賛し、権限委譲を積極的に後押しすることが、きわめて重要になる。
・VOCへのフィードバックを効果的に活用するためには、顧客の問合せを分類する方法と分類項目の粒度が重要になる。また、各部門とVOCを共有する際に報告書をカスタマイズすることだ。さらに、顧客や従業員の声から何を学んだのかを、再び顧客と従業員と共有するべきであり、彼らからの声やフィードバックを求めていることを強く訴求すべきだ。
第4章 カスタマーサービスをサポートするテクノロジー
■KEYTAKEAWAY 実践のポイント
・カスタマーサービスは、CX強化のためにIT部門と全面的に連携すべきだ。
・カスタマージャーニーを作成し、顧客との取引や対応をシンプルにするためには、ITを導入する際の選択と優先度が重要になる。
・能動的なサービスを実現するためには、メールやテキストメッセージなど、電子的なコミュニケーションチャネルが不可欠になる。
・能動的なコミュニケーションや予知的な先読みサービスを実現するのなら、ERPなどの業務系システムとCRMとの連携が不可欠になる。顧客にとって重要な問題をすぐに解決するためには、カスタマーサービスがウェブサイトの少なくとも3分の1、理想的には全体のコンテンツに関与するのが望ましい。
・ウェブサイトは重要だが、今後は、モバイル端末アプリによる簡潔なコミュニケーション、顧客が必要とするタイミングでコミュニケーションするジャスト・イン・タイムの概念、そしてメールやテキストメッセージが重要な役割を果たすだろう。
第5章 ビジネスパートナーとサービスを強化する
■KEYTAKEAWAY実践のポイント
・リテーラーとアウトソーサーに顧客業務を委託することで、顧客との距離が生まれ、その関係性においてリスクが生じやすくなる。代替として、顧客との直接的な接点を維持するためのコミュニケーションチャネルやツールが必要になる。ウェブサイト、フリーダイヤルの窓口、顧客アンケート、顧客教育のための配布物に加えて、顧客からのフィードバックを求めているという企業メッセージを強調する。
・リテーラー、卸売業者、eコマース事業者などのビジネスパートナーと共同でカスタマージャーニーを描く。顧客の期待を設定する段階から、オンボーディング、カスタマーサービス、顧客からのフィードバックを取得するまでの活動全般において、各自の責任を明確にする。
・リテーラーやアウトソーサーとの契約において、彼らのスタッフを教育し、CXの状態を測定するメカニズムを組み込んだうえで、インセンティブや具体的なサービスレベル���どの要求項目を設定する。
・リテーラーの販売員が顧客に商品を薦めたり、競合商品よりも優先的に案内するようになるには、その企業が信頼できるサービスを提供しており、問題解決を怠らないことが重要だ。
・顧客対応業務のアウトソーシングでは、個々の問合せに対応することに加えて、その原因を特定し、予防や回避の提案を義務づけることが望ましい。同時に、そのためのインセンティブを設計する必要がある。
・アウトソーサーの従業員の離職を抑えるために、平均以上の給与レベルやキャリアパスを設けるなどの取組みを促す必要がある。
第6章 カスタマーサービスへの投資を科学する
カスタマーサービスで一般的に使われている評価指標は、改善活動に大きく役立つと思えないものが多い。サービスの良し悪しが、顧客満足度、ロイヤルティ、クチコミ、利幅に与える影響を把握している組織は稀だが、これらの値は、いうまでもなく収益に影響する。第2章で示したように、ほとんどの企業は間違った指標をサービスの測定基準として使って分析しているのだ。
たとえば、効率性を求めて、顧客からの問合せの通話時間を短縮すればCXを損ないかねないのに、カスタマーサービス部門の評価指標として採用している組織もある。しかし、実際は顧客対応の時間を短くするという方針は、顧客の不満を組織的に助長している可能性が高い。
戦略的カスタマーサービスとは、財務的視点からサービスを定義することであり、その活動自体をCXへの投資として見なす。この見地に立てば、ほとんどの組織は真逆のアプローチを取っている。サービス部門やサービスに関連する活動をコストセンターと捉え、コスト削減が主な活動になってしまっている。
カスタマーサービスは収益維持と収益拡大の役割を担っており、それを戦略的な観点から見ることは、収益への影響を最大化することにつながる。戦略的視点を持つことにより、企業にとっての財務的貢献が数値化できる。そしてその結果は、相当大きなものになるはずだ。
たとえば、従来のコストセンター的なアプローチは、カスタマーサービスの処理能力を上げることに的を絞っている。つまり、応対スタッフが一定時間内に処理する件数を増やすことが、生産性の向上だと考えられている。しかし、この単純な手法では、逆にコスト高に陥ってしまう可能性が高い。
そもそも顧客からのコンタクトは、最初に受け付けた時点で解決すべきなのだが、それができなかった場合、顧客は納得できる答えがもらえるまで何度か電話をかけてくる可能性がある。もしくは、その顧客の問合せをエスカレーションし、上級スタッフの対応への切り替えが必要になる。
私たちが複数の業界で実施した調査では、1回目の対応でトラブルを完全に解決することができれば、2回目の対応で解決することに比べて、顧客満足度は20%高くなり、コストを少なくとも半分に抑えることができた。
私たちが顧客対応を調査する際の標準的な調査票には、「問合せを解決するために何度電話をしましたか」という設問を組み込んでいるがその結果と顧客満足度との間には高い相関性が認められる。2回目の解決になると満足度が20%下がり、3回目ではさらに10~20%の低下が見られた。こうなる��、事後の対応で余計な時間を取られるだけでなく、時給の高いスタッフの対応に頼らざるをえない結果になってしまう。
こうした状況を根本的に見直すため、本章では、良いサービスと悪いサービスの影響をお金に換算することで、組織にどのような財務的影響が出るかを検証したい。この分析によってサービスと収益との真の関係が明らかになるだろう。さらに、収益に最も影響度の高いカスタマーサービスの改善箇所を見つけ出すことで、投資の優先順位を決めるための材料も提供できる。
■カスタマーサービスの基本的な改善策
①トラブルの予防・回避への取組み…製品や事業プロセスの改善、マーケティングや営業における適正な宣伝文句、顧客への教育などを通じて、CXにおけるトラブルの予防や回避に取り組む。
②トラブルの申し出を促す…カスタマーサービスの対応を通じて問題を解決して満足してもらえるように、トラブルを積極的に申し出るように顧客に対して働きかける。
③カスタマーサービスの強化…カスタマーサービス自体のパフォーマンスを強化し、トラブルを申し出た顧客を満足させる。
最初のステップは、①トラブルを体験した割合、②トラブルを申し出た割合、③カスタマーサービスの有効性(顧客満足度)の3つを測る指標を決める。
次に、収益増やコスト削減において最大限の影響を狙うために、改善できる箇所の特定と優先度を決める。
カスタマーサービスの強化によって期待できる収益増は、コスト削減効果の10~20倍にのぼる。これは、これまでに改善に取り組んだ組織のほとんどで共通して見られる結果である。
■KEYTAKEAWAY 実践のポイント
・トラブルを体験しても申し出ず、黙ったままで他社にブランドスイッチしてしまう顧客によって失われる収益を課題にしている企業は少ない。
・顧客の離反によって生じる収益損失を計算する際には、たとえCFOから「この数字は控え目すぎるのでは」という注意を受けたとしても、なるべく控え目な数字を使うべきである。特に顧客生涯価値(LTV)を使う場合には気をつけたほうがよい。数字が正しくても、信じがたいからだ。
・トラブル対応に満足した顧客の購買額が10%増加するという仮説を立てる。応対スタッフへの権限委譲を促進するなど、トラブル対応の解決力を強化すべきだ。
・アンケートなどでポジティブ、ネガティブの両方のクチコミの影響度を測り、損益にどのように影響しているか計算する。ネガティブなクチコミを減らし、ポジティブなクチコミを増やす方法を考えて実践する。
・アンケートで得た顧客の再購買意向と実際の購買行動とを突き合わせて定期的に検証することで、ロイヤルティ指標ともなる再購買意向の数字の信頼度を確保する。
・トラブルが生じた後で顧客対応するよりも、トラブルの再発防止に取り組んだほうが高いROIが得られる可能性が高い。
第7章 顧客の声にしっかりと耳を傾ける
さらに私たちは、2012年の調査結果を再検証する目的で50社を選び、カスタマーサービス部門の運営とVOC活動の評価を過去3年間にわたって実施した。その結果、VOC活動が効果的に機能している企業には、次の4つの特徴が見られることがわかった。
●CXの全体を対象にVOCデータを集めていて、顧客の期待値の設定に始まり、製品の利用体験に至るCXの起点から完了までのフェーズで、全体像を検証することを目的としている。
●社内の複数のソースから取得したデータを統合して活用することで、VOCデータとしての信憑性、影響度分析、それに基づく発見と示唆の中身を強化している。データソースとしては、顧客アンケート、苦情の記録、従業員からの改善提案、顧客との応対履歴(カスタマーサービスと営業部門の両方から)、ソーシャルメディア、CXとひもづく企業内部のオペレーションデータ(たとえば、製品保証クレーム、約束の不履行、請求額の修正、遅延損害金、発送ミスなど)などがある。
●VOCデータの統合化からCXの全体像を作成している。つまり、顧客のライフサイクル全体のフェーズを対象にして、複数のデータソースをもとに、1つの合意された顧客像を描いている。
●財務部門とその責任者であるCFOが、VOC分析とその報告内容の妥当性を受け入れ、支持している。これは、VOCの分析の結果浮かび上がった課題の大半を解決していくうえで非常に重要な要素といえる。
企業アンケートに協力してくれた企業の経営幹部160人以上のうち約2割は、VOCから特定された問題の何パーセントまでが解決されたかを追跡していなかった。これでは、VOC活動全体の有効性を担保することはできないだろう。
■VOCプロセスの最適化8つのポイント
①VOCの担当役員の任命
②データ統合計画の作成
③統合されたデータから描くCXの全体像
④改善につなげる報告
⑤改善に向けた経済的なロジックの組立て
⑥目標値の設定と施策の助言、アクションプランのテスト
⑦結果の測定
⑧インセンティブの構築
■VOCデータソース
①顧客アンケート
②顧客接点のコンタクト履歴と苦情
③社内のオペレーションデータ
④社内の品質指標
⑤モバイル端末のデータ
⑥ソーシャルメディア
⑦従業員の声
ジョン・ロスマンは「アマゾンウェイ」で、カスタマージャーニー全体を通じてすべての顧客対応やトラブルに対して「体験指標」を設定することが望ましいとしている。ここでいう体験指標とは、顧客の苦情やアンケートの結果と実際のオペレーションデータ(たとえば、オペレーションミスのような)とをひもづけて、発生頻度にまで数値化したものだと解説している。
このデータの統合化に必要なステップは次のとおりだ。まず乗数を使ってコンタクト履歴から顧客ベース全体に反映させた推計値を導き出して、次にその値をアンケート結果やオペレーションデータに基づくトラブルの発生頻度と対比させるなどして一連の検証作業を行う。たとえば、配送の遅延が発生した頻度は、過去のオペレーションデータから確認することが可能だ。同様に、配送遅延に関する顧客からの問合せや苦情の件数も確認できる。
■VOC活動の評価指標
●問題の特定とその改善効果を明らかにする目的で活用するデータソースの数…少なくとも2つ(理想的には3つ)の種類のデータを使って、問題に対する改善策の投資対効果を作成することが望ましい。企業内の各部署にプロセス改善を求めた場合、可能な限り、オペレーションデータ、さらに顧客から���意見を活用するべきだろう。
●現状のオペレーションの向上に対して、VOCが効果的に使われているレベル…VOC上の課題として特定されたもののうち、3ヵ月以内に、カスタマーセンターにおける何らかの改善に採用されて実施された案件の割合を指す。
●VOCデータの社内ユーザーのうち、改善策を実行した人の割合…カスタマーサービス部門内だけでなく、社内のさまざまな部門のVOCユーザー(VOCレポートを役立てるために受け取った人)のうち、1度でも何らかの改善策を実行した人の割合を指標とする。年2回のアンケートから作成する。
●製品や業務プロセスの改善策が活用されるレベルの測定…VOCレポートに基づいて提案された改善策のうち、過去12カ月間で実際に採用された割合を指標とする。提案が採用されなかった場合は、VOC活動に基づく提案が十分に説得力のあるものでなかった可能性がある。提案の件数を減らしてでも、説得力を高めて確実に採用されるようにするのが望ましい。
●顧客が体験したトラブルのレベルを下げる…顧客がトラブルを体験する確率の低下率を指標とする。年に1度実施するリレーションシップ・アンケートで測定する。アンケートは傾向が把握できるように、複数年度にわたって実施するうえでの一貫性が求められる。
■KEYTAKEAWAY 実践のポイント
・カスタマーサービス部門が作成するVOCレポートには、製品やサービスの改善、カスタマーセンター内のプロセス改善、顧客対応にあたるスタッフの評価と称賛、という3つの目標がある。
・VOCは複数のデータソースから取得したものを組み合わせることで説得力が高くなる。データソースには、顧客対応のコンタクト履歴以外に、オペレーションデータ、従業員の声などがある。
・VOCを分析するためには、顧客接点で取得したコンタクト履歴やアンケート結果と、オペレーションデータの統合が必要となる。そうすることで、社内的にもデータの信憑性を担保できるはずだ。
・VOCレポートは、全社単位で作成すると同時に部門単位で作成する。各部門のニーズに合わせてカスタマイズする必要がある。
・VOCに基づいて改善を提案する場合、痛点を放置した場合に生じる収益損失を明らかにすることが、改善を促すためには効果的である。
・特に優先度の高い問題に関してはVOCレポートの中で、改善案の示唆、効果を測定するプロセス指標、成果指標、担当する主管部門を明らかにする。
・VOCにおける改善を支援するために、社内の継続的改善チームの助けを借りる。そうすることで、アクションプランニングがスムーズに進むだろう。
・四半期ごとに改善活動の進捗を確認し、VOCレポートで改善後の成果を共有することが望ましい。
第8章 「当社に満足していますか」式アンケートの終焉
■アンケートの5分類
①応対(トランザクション)アンケート…個々の顧客対応の成果を測定するために顧客アンケートを実施する。
②リレーションシップ・アンケート…カスタマージャーニー全体(または、ほぼ全体)を対象として、顧客が体験する点がカスタマーロイヤルティや顧客満足に与える影響度を測定する。
③競合比較アンケート…既存顧客を対象に、自社と競合他社のCXを比較する。
④マーケットリサーチ・アン���ート…主に既存商品または将来的な商品化を対象に、消費者の購買意向を調べる。
⑤パルスアンケート…新しい出来事に対する意識調査を行う一般の消費者だけでなく、従業員を対象とするものなどもある。
■KEYTAKEAWAY 実践のポイント
・顧客へのアンケート調査において最も重要なポイントは、影響因子を見つけ出すことにある。さらに、重要因子にひもづく社内のプロセス指標、特定した痛点に関するVOC、従業員からのフィードバックなどを揃えることで、より効果的な改善策に結びつく。
・カスタマージャーニーの起点から完了までの全体像を対象にしたリレーションシップ・アンケートを少なくとも1年おきに実施する。対象範囲には、営業やマーケティング活動における顧客接点やCXを含めるべきだ。アンケート調査から的を絞るべき箇所が見つかれば、追跡(トラッキング)調査を毎月または四半期で実施する。
・アンケート結果が悪い内容であっても、特にマネジメントは真摯に受け入れるべきだ。そこに企業成長や収益拡大の機会が隠されている。良い結果だけを期待していては、アンケート調査に掛けた費用の見返りは少ないだろう。
・改善活動を加速させたいのなら、CXや顧客満足度の測定結果を、信頼度の高い方法で財務的なインパクトに結びつける。
・アンケート調査の結果を報告する場合には、各部門のニーズに合わせた内容にカスタマイズすべきだ。さらに、短い時間でも各部門との報告会を設けることで、改善への関心を高めることにつながるだろう。
・組織全体において当事者意識を高め、アンケート調査の結果を改善活動へと積極的に巻き込んでいくためには、アクションプランニングのステップが重要になる。対象にする問題点は具体性の高いものに絞り、プランから改善活動に落とし込むうえでの指標管理が求められる。参加者の目的意識を高め、アンケート調査の結果を真摯に受け止め、改善に活かす組織風土をつくり出す効果がある。
・アンケート調査の結果は、社内の従業員だけでなく顧客とも共有するのが望ましい。アンケート結果を受けてどのように改善しているかを伝えることで共感につながり、両者からの貴重なフィードバックを受けることにつながるだろう。
第9章 期待を超えるサービスをつくる
トム・ピーターズは近著『新エクセレント・カンパニー』の中で、従業員の最も大事な特性は「聴き上手」になることであり、また、「好奇心」(この場合は、顧客を知りたいと思う気持ち)がなくてはならないと説いている。
そして、元ニューヨーク市長のマイケル・ブルームバーグが『ヴァニティ・フェア』誌のインタビューで語った次の言葉を引用している。「人が成功するうえで最も重要な特性は好奇心だ」
■エンゲージメントとディライトのための助言
●顧客の過去の購買、サービス対応、購入して利用している製品などの履歴を参照しながら、顧客について理解している状態を相手に示す。
●顧客が求めていることを予測し、能動的にオファーする。たとえば、朝に1杯のコーヒーを勧めるように。
●顧客に無料のアップグレードや無料クーポン券を提供する場合、相手が誰かと一緒にいるところで行い、顧客へのロイヤルティを他の人にも示すとより効果的である。
●非常に大切な顧客については、「家族の友人をもてなす」ように接する。高級ファッションで知られるミッチェルズのCEOジャック・ミッチェルは、自著『顧客を抱きしめよ』の中でこうアドバイスしている。成功している小売店やBtoBのスタッフは、得意客の飼っている犬の名前や、ゴルフのハンディキャップくらいはしっかりと覚えておくものだ。大切にされていると顧客に感じさせる。また、顧客を信頼して接客を楽しんでいる、それを伝えるパーソナルタッチが「顧客を抱きしめること」だとミッチェルは定義している。
●顧客をアシストするための教育や情報提供によって、製品の価値をより多く享受してもらう。さらに、フラストレーションやストレスを避け、CXを快適なものにするための情報を提供するのも効果的だ。旅行でアムトラック鉄道を使った際、途中から乗り込んでくる乗客に対して車掌のアナウンスがあった。「席が混み合っておりますので、お仲間同士で並んで席を取るのが難しいかもしれません。でも、誰かとお友だちになるチャンスですよ」と。乗客には事前に状況を伝え、ユーモアを交えて不満を和らげようとするメッセージは、ディライトを生み出す効果がある。
●顧客への信頼が将来への投資と考える。たとえ顧客の行為にルール違反に近いものがあったとしてもだ。チップ・ベルが自著で引用している例をここで紹介しよう。
スタンリー・マーカスという高級ブティックでの出来事。1935年にダラスで初舞台を踏んだ新人女優がドレスを返品したいと言ってきた。そのドレスはどう見ても使用済みだったが、お店は彼女のリクエに応じた。理不尽な顧客に思えたが、彼女はその後30年以上にわたってそのお店を愛用し、多くの買い物をしてくれただけでなく、富裕層の友人を数多く紹介してくれたという。マーカス自身のコメントが素晴らしい。「彼女を信じたことが、素晴らしい投資になった」
●同様にジーン・ブリスは、『あなたの母にも同じようにしますか?』で、顧客を信頼することの重要性を説いている。顧客と企業との相互的な関係をつくり出すには、顧客を自分の母親だと思って接するべきだと主張している
●善い行いを通じて顧客の気分を良くする。チップ・ベルがフィラデルフィアの地元で愛されているピザのお店を紹介している。その店は、ホームレスの人々を助けるために、客がピザ1切れを1ドルで買うたびに、ホームレスへの1ドル寄付を募っている。寄付者がホームレスの人々へのメッセージをステッカーに書き込むと、それが後日ホームレスの人々に贈られる。そのステッカーがビザの引換券になるという仕組みだ。
●顧客対応に備えて「顧客を理解する」というステップでペルソナを活用する。ペルソナとは、顧客をタイプ別に分類し、顧客との関係構築で最も重要な一面を特定しながら、各タイプのパーソナリティを簡潔に描いたものを指す。顧客応対にあたるスタッフが応対した顧客のペルソナを複数のタイプの中から選んで履歴に残すだけで、次にその顧客に対応するスタッフは、ペルソナ情報を参考にすることができる。
全米でレンタカーを展開するエイビスでは、顧客のペルソナを6タイブ用意し、各ペルソナが好みそうな車種やオプションを設定した。オンラインで予約を受け付ける際に、顧客自身にペルソナを選ばせている。顧客に選ばせることで、企業で顧客をペルソナ分類する手間が省ける。
●顧客への気遣いを示す(トム・ピーターズは、サービスの特質としては2番目に重要だとしている)。まず顧客の状況を訪ね、顧客が話しやすい状況をつくる。
たとえば、高級百貨店のECサイトを運営するニーマン・マーカス・ダイレクトのマネジャーは、次のような例を挙げている。「問合や買い物などの本来の目的以外の何かについて質問することが重要です。たとえば、「今日はどんな1日でしたか」とか、「犬の鳴き声が電話から聞こえますが、犬種は何ですか」といったことです。顧客との会話をパーソナライズしたければ、冒頭から売り買いの話はしないのが望ましい。
●顧客の名前を呼んで挨拶することで、満足度やエンゲージメントを高めることができる。ただし、何度も名前を読んだり使い方が不適切だ(丁重すぎるなど)、マニュアル的なコミュニケーションだと見られてしまう。電話対応の場合、CTIで相手の名前がわかっている状態で「ジョーンズ様でよろしいですね」と切り出すのは全く問題ない。
●顧客はエンターテイメントも求めている。化粧品メーカーのオールドスパイスの動画広告シリーズがYouTubeで大評判となり、なかには200万回以上のアクセスを記録したものもあった。
●「15秒であなたも有名人に」のように、自社のウェブサイト上で顧客を紹介するものもある。ファストフードチェーンのチックフィレでは、「牛感謝デー」なるものを毎年開催している。顧客やそのペットが牛に扮装して来店するのがお約束となっていて、公式フェイスブックには顧客の動画が多数投稿される。扮装した顧客は店員の喝采で迎えられ、無料のサンドイッチが振る舞われるなど、非常に楽しい1日なのだ。
スターバックスもMyStarbucksidea.comを9年間続けた。顧客からアイディアを集め、投票が多かったアイディアは商品化し、顧客の貢献を写真入りで称賛した。その後サイトは縮小されたが、9年間にわたってスターパックスのイノベーションの源泉になったのは間違いない。
●企業の存在目的や顧客のためにソーシャルグッドを掲げる。スターバックスは、エシカル(倫理的に公正な)コーヒー豆を調達していることを強調している。また、社会起業家が立ち上げたブランド「エトス」の水を買えば、1本当たり5セントの寄付が水問題に直面している国や地域の水道インフラ支援に回されると訴えている。
●顧客に有益な、独創的なアイディアを提供する。特に、BtoBの顧客は絶えず新しいアイディアを求めている。ソーシャルメディアを中心としたアナリティクスの専門会社アンメトリックでは、マーケターがインスタグラムに投稿できる23のアイディアをまとめたインフォグラフィックスを発行した。たとえば、そのコンテンツの一部が、ホリデー、スポーツイベント、季節行事などにリンクできる。どれもありふれた題材ではあるが、インフォグラフィックスで紹介されているサンプルは、平凡なテーマでも独創性によって魅力的に見せられることを教えてくれる。
■KEY TAKEAWAY 実践のポイント
・エンゲージメントは顧客との関係を強化するものであり、ディライトは好意的なサプライズをつくり出すことを意味する。いずれも成果としては、信頼、ロイヤルティ、クチコミにつながる。
・エンゲージメントを成功させるためには、まず、「顧客のことをわかっている」という状態をつくり出すことが望ましい。エンゲージメントの前に顧客の履歴を参照できるようにしておくか、それができない場合には、顧客応対の始まりの段階で相手の気持ちを汲み取るなどする。
・能動的な顧客教育やトラブル回避のための情報提供などは、エンゲージメントとディライトに効果が見込めるだけでなく、サービス対応コスト削減にもつながる。
・エンゲージメントとディライトを生み出す最もクリエイティブなリソースは、間違いなく顧客応対の最前線に立つスタッフである。
・エンゲージメントやディライトがロイヤルティやクチコミに及ぼす効果を測定し続けることで、新しい革新的な取組みへと発展していくだろう。
・ディライトがマニュアル的になってしまうと、それが「当たり前品質」となってしまい、効果が見込めなくなるリスクがある。
第10章 顧客中心の企業文化をつくり上げる
■エンパワーメントが進み、実行力のある応対スタッフ育成のチェックリスト
【職務定義】
①「柔軟な解決の余地」を持っておく
②与えられた裁量を使って顧客対応を行う
③顧客とつながるように働きかける(コネクションをつくる)
④VOC活動とカスタマーインサイトへのフィードバックを行う
【採用】
⑤業務で頻繁に使うチャネルを使って面談を行う
⑥同僚による面談を通じて応募者の自信やエンパシー (共感性)を確認する
⑦自らの判断で実行し、革新的なことを行った事例を挙げてもらう
【トレーニングと人材育成】
⑧トレーニングを通じて、必要なシステムやスキルを習得するだけでなく、企業のビジョンや目 しっかりと伝える
⑨難しい対応にフォーカスする
⑩顧客とつながるタイミングやテクニックを取り上げる
⑪顧客にアドバイスするタイミングやテクニックを取り上げる
⑫キャリアパスを成功させる上で必要なことを伝える
⑬集中的なネスティング(OJT成長を見守るプロセス)を実施する
⑭メンターをつける
⑮次のキャリアアップにも向けたトレーニングを実施する
【応対評価とインセンティブ】
⑯自己評価および同僚による評価を加える
⑰スーパーバイザーからのフィードバックと評価を頻繁に実施する
⑱難しい案件対応を評価する
⑲難しい案件対応のアンケート結果をレビューする
⑳顧客とつながり、 適切なアドバイスができたかを評価する
㉑アンケート評価と内部評価の両面からの評価を行う
㉒人前で褒め称える
㉓すべてのパフォーマンスにおいて向上が見られたポイントを称賛する
…顧客対応の中でも例外的で難しい状況における対応ガイダンスをつくるにあたり、2つの注意点がある。
1つは、どのような案件であっても、対応に柔軟性を組み込んでおくことが望ましいからだ。本書でも紹介している「柔軟な解決の余地」をデザインするのである。
2つ目は、すべての状況に対して試みようとするべきではないからだ。そんなことをすれば、ガイダンスが膨大な量になってしまう。ベストプラクティスは、難しい案件の代表的な上位10に絞って柔軟性を発揮する具体的な事例を示し、あとはスタッフの判断に委ねることを伝えればよい。
柔軟な解決の余地をつくるには、複数の解決案が必要になる。ほとんどの場合、1つの案件に4つの解決策があれば十分だろう。この考え方は、応対スタッフが顧客と交渉を行うとき、企業と顧客のそれぞれの言い分に添った解決案を練るうえで、検討すべき条件に幅を持たせようとしている。
個々の顧客の状況に合わせて現場で調整できるように、具体的な解決案の選択肢の幅を広げておくためには、事前に社内のコンプライアンス部門や法務部の合意を取り付けておく必要がある。つまり、現場のスタッフが「ルールに縛られずにルールを守る」方法ともいえる。
例外対応についてのトレーニングは、解決の余地を応用できる状況を想定し、顧客の問題を解決する道筋を、ストーリーテリングの手法を使って訓練するのが効果的だ。訓練を受けるスタッフは10程度の具体的な事例を参考にしながら、自分なりの判断と調整を考えながら訓練を重ねることで、ガイダンスに示された以外の応用力を身につけられる。
カスタマーサービスについて数多くの画期的な書籍の著者であるロン・ゼンケは、5~10の優れた典型事例とガイドラインがあれば、スタッフは必要に応じて実践できると実感するだろうと語っていた。
自らの判断でリスクを取れるようになるには、まずトレーニングにおけるロールプレーイングと、それに加えてスーパーバイザーや経営層からのメッセージがなくてはならない現場スタッフにエンパワーメントを推進する方針を伝える際は、次の4つの要素を盛り込みたい。
●基本的な対応…基本的な顧客対応および標準的な解決方法
●問題解決の幅…問題を解決する条件に幅を持たせていることや、解決または救済のためのシナリオの限界を示す。解決または救済案決定後の、必要に応じたフォローアップ措置などのガイダンスを含める。重要なポイントは、解決策を練るための柔軟性の幅や制約条件は必ずしも絶対的なものではなく、あくまでも参考とすべき事例であり、応対スタッフ自身が自己の裁量で決めていいことを伝えなければならない。もし、応対スタッフが判断に迷った場合は、メンターやスーパーバイザーに支援や指導を求める。
●明確で納得のいく説明…解決の余地を実践するうえで必要なものとして、顧客が言いそうな主張や反論の短いリストを用意する。たとえば、「私は聞いていない」「なぜ私はそんな説明を受けたのか」「このトラブルは前にも発覚していたのではないか」など顧客から想定される主張に対して、スタッフは明確で納得のいく対応ができるように武装しなければならない。
●エスカレーション対応…最後に、顧客が上司や担当部署へのエスカレーションを要求した場合に備えて、スタッフには問題解決の背景情報や参照データ、社内のエスカレーション先一覧などを提供する。
■KEY TAKEAWAY 実践のポイント
・現場の顧客対応にあたるスタッフには、4つのものを与えなければならない。平均的なレベルよりも高い報酬、仕事で成功するためのエンパワーメントとトレーニング、個人に対する正しい評価��キャリアアップできる仕組み。
・顧客中心の企業文化とスタッフの成功を実現するためには、エンパワーメントとマネジメントの信頼が不可欠となる。それがあれば、顧客対応のスタッフは少なくとも95%は解決できるようになるだろう。
・応対スタッフの職務定義には、エンパワーメント、顧客とのコネクションをつくり出す、VOC活動およびカスタマーインサイトへのフィードバックを組み込まなければならない。
・スーパーバイザーはスタッフへの信頼を示す形でコーチングとポジティブな称賛に注力し、能力開発を支援し、同時にサービスシステムのプロセス自体を強化しなければならない。
・経営幹部は、エンパワーメント、応対スタッフに対する信頼、コネクションをしっかりと支援するというメッセージを伝える。スーパーバイザーは、同様にエンパワーメント、コネクション、VOC活動およびカスタマーインサイトへのフィードバックを積極的に支援するためのトレーニングを積み、また、それを評価されるべきである。
・組織として、エンパワーメントとコネクションの活動が適切にマネジメントされていることを測定する必要がある。エスカレーションは、エンパワーメントが弱いことを示す1つの指標になるだろう。
・エンパワーメントの効果を測定するには、定型ではない、エスカレーションされた対応に的を絞るべきである。
・カスタマーサービスの責任者はCX活動をサポートし、CX強化の支持者として活動すべきである。
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