紙の本
「学校の基礎の基礎」をスマートに解説
2021/10/16 22:47
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投稿者:広島の中日ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
そもそも学校ってなんなの?という「学校の基礎の基礎」から、懇切丁寧に説明した1冊です。
さながら、大学の教育学部に入学後、最初の最初に学ぶ講義のテキストみたいな内容です。私情は最低限に抑え、極めて学問的に学校について文章で示した、実にスマートな仕上がりだったことに、読んでいて感心しました。
紙幅は300頁弱なので、少々分厚い新書になっています。
電子書籍
学校の役割を変えていくために
2022/06/19 21:05
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:けんけん - この投稿者のレビュー一覧を見る
学校のこれまでの文脈の既知と未知が記述してあり、個人的に楽しめました。一人ひとりが学び方を体得していく方向性は間違ってはいないのだろうなと励まされました。
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疑問に思うこと、感じることがあればその都度ツイッターに書き込みながら読んでいたので、かえって読了が遅くなった。でも、こうでもしていないと、前半に何を読んだかすっかり忘れてしまう。とりあえず全体を読んでの感想は、なんかもう現場の細かいところをよく分かっていただいている、ということだ。私自身は学校の教員ではない。妻が中学で教員をしており、その話をいろいろと聞く。(聞くのが私の仕事)たとえば、スクールカウンセラーやソーシャルワーカーも、いろいろと相談に乗っていただけるのには感謝するが、ずっと学校の状況を見られているわけではないので、来られたら時間をかけて報告する必要がある。常駐というかたちにはならないものだろうか。そして、職員が増えれば業務が軽くなるかというと、そうではなく、使えない職員の場合はかえって手間がかかる。病欠が続く職員がいれば、そのしわ寄せは今いる職員に及ぶ。もちろん、しんどいときに休める体制は欲しいが、有給で長期欠勤が続くと他の職員を入れるわけにもいかず、なんだかなあという感じなのだろう。もっとも、こういったことはどこの職場にでも起こりうることなのだろうが。教育関係の本はちょくちょく読んでいるが、高校入試に関わる話とか、塾の話とかはあまり見たことがなかった。そういう意味でも新鮮であった。それと、前半にあった官僚制組織のこととか、フォードシステムと学校経営との関係とか、社会学的な見地を学んだことがなかったので、大変勉強になった。一条校ということばも、別の本では読み流していたのだけれど、本書を通してその意味をきちんと知ることができた。うちが二条校なので、もう少し北にある学校のことかと思ったり(これは冗談ですが)していた。
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【背景】
①一教員として学校の役割を捉え直すことが目的。
②過剰業務の原因を知り、根本的かつ具体的な解決策につながる知識を得たい。
③読後は、その知識を実践し労働と私生活のバランスを改善したい。
【著者】中澤渉、ちくまプリマー新書
【重要語句】
社会学、官僚制、パノプティコン、協働、経済的機能、人的資本、学校化社会、多様化
【メモ】
P112、L6「日本では学校にきわる専門職スタッフの八割が今日いんで、それ以外の専門家は2割」
アメリカ教員6割、イギリス5割。ただし、役割の分化や教員増が単純に多忙かを解消することには繋がらない。
P122、L9「学校に余裕が失われ、次々生じる問題を解決したかのように見なそうと、機械的にやり過ごす形式合理性を有線せざるを得ない、というのが幻日」
まさにその通りである。見なし解決は根本的には解決ではなく、再発の可能性が高い。
【感想】
学校の役割を社会学視点から分析している一冊。学校は社会と相互的に影響し合うものである。つまり、民主主義や資本主義の上に築かれた官僚制の組織であると言える。
学校の役割は、一言で言えば
市民としての素養を育てること
とまとめられる。
しかし、市民としての素養は変化し続けており、さらにその速さは加速度的に増加している。また、学校が社会から要請される内容も増加傾向にある。その結果、社会における学校の重要性も増している。だが、現場はその要請に対応しきれていない。
読後、私は教育の第一義的責任と家庭について考えた。家庭の教育力を奪ったのは他でもない学校ではないのだろうか。それでいて、教員の負担が増えているのはおかしな話だ。家庭との連携が叫ばれているが、それは本来叫ぶレベルのものでは無い土台だ。
個人的には、学校の役割について、市民が考え話し合っていくことが最も重要に感じた。
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全てを教員が行うのではなく、教員は授業だけ、生徒指導はそれだけの担当者、部活動はもちろん外部、早くそうなってほしい。日本の教育現場、海外に目を向けようよ(これは文科が動いてほしい)。とりあえず、これ以上教員になりたい若い人が減らないためにも少しでもブラック体質を改善してほしい。現在の教員が「教師っていい仕事だよ!」と胸を張って言える日が来ることを願って。
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【現役教師です】
現場のリアルな様子を踏まえながら、沢山のリソースから意見を出しています。私が感じていた違和感や疑問を代弁してくれており、少しスッキリした気がします。現場は、もう手一杯です。求められることが多すぎます。
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学校と社会の関係、学校の役割を問い直す。
特に目新しいことが説かれているわけではないけど、客観的なデータで体系立って説明されるとストンと落ちてくる。
要は社会が学校に求めすぎなんだよなぁ。そしてそのくせお金をかけない(予算をまわさない)。OECD諸国の中で教育にかける予算配分は最低なのだという。もっと違う選択をしたいけど…。選択肢もないのが現状ではなかろうか。
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学校の置かれた状況や問題点などを、データに基づいて示している。
惜しむのは、本書の中にも書いてあるが、解決策について、著者なりの考えを示して欲しかった。それを基に我々が別の解決策を考えたりすることもできるはずだ。
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学校教育をめぐる現状と問題点を、教育社会学の視点から分かりやすく解説している。5章、6章がもう少し理論的根拠が入っているとなお良かったと思うが、学齢期の子どもを持つ保護者にぜひ読んでもらいたい1冊。
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https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480684080/
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教育業界全般ということで、幼児教育から大学まで最初に触れるが、特に制度としての教育に主軸を置いていることから、義務教育に関する議題が多い。
平等に提供されるべき教育ということから、それ故に格差や競争の面を生んでしまっているなど、避け得ないジレンマなどをよく表現している。
他の業界と比べて論理的な評価が難しく、またちゃんとした調査についても多面的に見ていろんな捉え方があり、何事も名言が難しいところを十分考慮して本書を記載できている、この著者はすごい科学的に考えることができている。
業界をどうにかしたいというより、業界に対して客観的な視点を各人が持ち、教職員に負担をかけすぎたり、また一方的に要望を押し付けるようなことがないよう、その大切さを説いていると思う。