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恩師・松井先生が「尊厳死」(深刻で、回復不可能な病気、疾病、傷害を負い、永続的で著しい耐え難い苦痛に苛まされているような患者が自らの意思で、医師に死ぬための薬物の処方・交付を依頼し、医師がこれに答えて処方・交付した薬物を用いて死ぬこと)、「安楽死」(上記の状況における患者が医師に死ぬための薬物を投与してもらい死なせてもらうこと)が認められていない現状を憲法に違反する、日本国憲法は「尊厳死」「安楽死」の権利を保障していると説く重厚な論文です。
憲法13条から、これまでの通説的見解を前提にしても、尊厳死、安楽死の権利を導くことができる、松井先生唱導にかかるプロセス的憲法観によればなお直截に導けると力強く論じています。久しぶりに松井節に察することができて、幸せでした。
長く、松井説に傾倒して、司法試験の論文もプロセス的憲法観を展開した私ですが、その延長上で、価値相対主義に親和性を感じて来ましたが、政治哲学の観点で、それでよかったのかと、近時は揺らいでいます。しかし、その点はさておいて、憲法観は松井先生のお考えでいいなあと改めて思いました。