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目次
・P活地獄篇
・グローバルリングのぶつかり男
・巣鴨トリプルワーカー
・炎上フェニックス
コロナ禍の池袋が舞台。
アルコールの提供ができない、8時閉店、首切り、副業…。
外出自粛、コミュニケーションの不在。
日本人の当たり前の生活が、一変した2020年春から物語は始まる。
パパ活という名の売春もどき、ストレスを弱い者にぶつける若者、副業を重ねないと生活できない現実、そしてSNS上で日々行われる、正義を気取った匿名の弱い者いじめ。
このシリーズは、時代を切り取ったテーマがウリではあるが、『P活地獄篇』が雑誌掲載されたのが2020年8月号から。
ということは4月か5月には書き始めているということだ。
早い。
簡単に大金が手に入るというのは、絶対に何か裏があると考えたほうがいい。
が、コスパだタイパだと手早いことが重要であるかのような世の中で、手早く金が手に入る手段に疑いを持たない人が増えているような気がする。
行き着く先は手早くひったくりとか、手早く強盗とか、手早く麻薬の密売とか、手早く詐欺の受け子とか…。
”優秀な自分は損ばかりして冷や飯をくい、社会からないがしろにされてきた。つねに被害者で、常に正義の側にいるつもりの小心な男。”
自分はないがしろにされているから、誰かを踏みつけにしていい、という考えは、結局自分がないがしろにされていることも肯定されなければならなくなる。
そういうことも考えないで人を責めてばかりの社会は、自分で自分の首を絞めているようで苦しいなあ。