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アフガニスタンで亡くなった中村哲さんが、ラジオ番組に6回出演し、語った内容をまとめた本。 サブタイトルに「本当に伝えたかったこと」とあるが、この本を読むとよくわかる。 数年ごとに、アフガンの状況と活動の状況、自分が考えていることを語っているが、全ては人として困っている人を助けたいという信念に貫かれている感じがした。 医療から生活の改善へと活動を変えていった理由や思いがよく伝わる。普通の支援だったら、井戸を掘って用水路を作ってハイ終わり、となるところだろうが、彼はその先の将来まで気にしている。 だからアフガンから戻れなかったのだろう。 逆にそのことが支援のあり方を示す手本になっている。 現地をよく理解することが重要。
中村哲さんの本を読むたびに同じ日本人としての誇りと失った喪失感を感じる。
「人が生きて死ぬことの意味を、日本人は忘れているんじゃないかという気がするんですね。」
彼は宮沢賢治の物語が好きで、自分をセロ弾きのゴーシュに例えている。 人の世話を面倒だと思いながらも、色々やってあげたことが結果的に良いことに繋がる。 ゴーシュは良い例えだと思う。
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荒野に希望の灯をともす を観てこちらも。
今は、人間が生きて死ぬ、ということが直に見えない世界ということ
鷲田清一さんもそんなようなことを仰ってた。
生きてる人が死ぬ、という当たり前の行程が忌み嫌われて隠される。でもそうすることで、私たち自身も生に対する向き合い方が怠惰になるのかもしれない。
去年亡くなった祖父は、最晩年はホスピスで、最期の最期も心電図はなく、私たち家族だけで息をしなくなった様を見届けたけど、ああいう経験は実はとてもとても貴重だったのかもしれないな、と。
「苦労のしがいがある」
こう言い切れる仕事を、私はしていない
仕事は楽しいけど、そもそも私の仕事自体、この世に無くても世界は回る。
ずっとずっと、こんなブルシットジョブやってて良いのかなって思ってきた分、この言葉が刺さった
「この楽しみだけは、死ぬまで離したくないと、こういうふうに思っております」
なんて素敵なんだろうと思った。
そういう楽しみを見つけられる人生は、なんて豊かなんだろうと思った
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アフガニスタンで殺されたペシャワール会の中村医師の
講演録からの書籍化。
病院設立以降の井戸掘り、灌漑の話がメイン。
数多くのインタビューを活字化していているので本の中での内容の重複が多い。
地に足がついた支援とは何かを教えてくれる。
先日映画も見たがほとんど内容が一緒だった。
本当に一本の太い背骨が通っていていたそれが
多少撓んだりしても、つよい背骨だったんだなぁということが感じられた。
人間として生き方のお手本だ。
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https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000818792021.html
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現地の人が何を必要としているのか、どうすることがここで生きる人達を幸せにするのか、また争いのない世の中を作るのか、継続出来るのか。
人として、与えられた命をどう生ききるのか。
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ガンジーといい中村医師と言い、尊い人がなぜ同じ人間の手で殺されてしまうのだろう。
先生のことを知ってから、ずっとその疑問が頭の中にあります。答えは出ません。善悪や道徳で世界は回っていないということを突きつけられる心地です。
そして、私はそんな正しくない世界に生かされているんだな、としみじみ思います。蛇口をひねれば水は飲めるし、近くの川が涸れることはない。職や家を失っても、いきなり死ぬことはありません。何より、生活の中で爆弾が落ちてくる危険はほぼ皆無。
私は前世で何か偉大な功績でも残したのでしょうか?アフガニスタンの人は、何を対価に支払ったらこの生活ができるのでしょう?
誰がどう見ても不公平なのに、これが現実です。
不公平すぎて、“中村医師が殺されてしまうような歪んだ世界だからこそ、私は生きていられるのかもしれない…自分は世界の歪みの一部なのかも知れない…”そんな罪悪感のようなものが、じわりと胸に滲みます。
(だからといって“日々の行いを正そう”的な話に帰結してしまうのは浅薄な気もしますし、アフガニスタンに生きる人々が不幸と言いたいわけではありません)
(日本に生まれたせいで、物質的な欲望をずっと刺激され、当たり前の幸福感を奪われている…という見方もできるので)
とりあえず、全くもって正しくはない世界ですが、私はなんの因果か今日も生かされています。
生かされている以上、冒頭の問の答えを探し続けたいと思いました。
おそらくそれが幸福に繋がると信じています。
※何気に『セロ弾きのゴーシュ』が収録されているので、再読したらゴーシュの不器用な人柄がいっそう好きになりました。華々しく評価される人よりも、隅っこを照らす人の灯りに気づける人でありたい。
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今年 1冊目
すごい人なのに すごさを 感じさせず、ただ目の前の困っている人に手を差し伸べただけ と言い切ることの凄さ
見習えないけど、何が自分にできるのかを考える
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親しみやすく読みやすい文章の中に、心に沁みる言葉がたくさん散りばめられていた。中村医師がなぜ医療者なのに井戸を掘り、用水路を開いたのかがよくわかった。「健康で命があること、三度三度、ご飯が食べられること、家族が一緒におれること」、この幸せがどんなに尊いものかということを教えてもらった。
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国際協力を志す者からすると、中村哲さんは英雄のような人です。そんな人でも、最初から偉かった訳では無く、目の前の課題を一つずつ悩みながら解決していくことで、実積を挙げていったことがよく分かります。話している言葉がそのまま活字になっているので、親しみやすいお人柄が伝わってきます。
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中村さんの穏やかで控え目なお人柄が伝わってくるような柔らかな語り口で、長年にわたって現地で活動した人にしか出てこない言葉が紡ぎ出されているように感じた。アフガニスタンの人々の死生観やその魅力に触れたくだり、支援をする側や先進国への一石を投じるくだりが特に印象に残った。
「天から人への問いかけに対する応答がわたしたちの人生そのもの」は、フランクルの実存主義に通ずる。これほど偉大なことを成し遂げながら「セロ弾きのゴーシュ」に自らを重ねる中村さんの慎しさに、胸を打たれた。
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【まこ記入:2023.4.5】
わたしは「セロ弾きのゴーシュ」/中村哲
快な目的として、どうしてアフガンに滞在したのか知りたい として読み始めました。
3つの質問を快な目的を達成できました。
しかし、自分の質問や目的が、あまりにも、ちっぽけで、近視眼的であったことに気付かされました。
人生やセカンドライフの生きがいを考える上で、
エンドポイントの「死生観」の着眼点を入手できました。
とても大きな大きな思考を始めると、一歩踏み出せなくなるので、
中村先生から、”一つの縁だよ” ってシンプルに考えれば
ってアドバイスもらった読後感でした。
https://www.facebook.com/groups/898247247572913/permalink/1019275075470129/
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中村哲さんのアフガニスタンでの活動を知り、その興味から手に取ってみたが、ご本人の人柄や心根の優しさが伝わってくる。物凄いことをやっているのに、偉ぶるどころか信念さえを掲げるでもなく、自分の成し遂げたことを縁の一言で片付けてしまいながらも、問題点の本質を見抜き、愚直に真っ直ぐ謙虚に振る舞う。
どうしてそういうことができるのか、もっと中村哲さんという人物を学んでみたい。
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まさに中村哲は、セロ弾きのゴーシュであり、雨にも負けずの人。
「予期せぬことが多く、こんなはずではなかったと思うことの方が普通。ゴーシュは、普通の人が遭遇する天から人への問いかけの応答の連続が、私たちの人生そのものである、その中で、人として最低限守るべきものは何か、伝えてくれている気がする。」
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中村医師の「ラジオ深夜便」1996〜2009年6回分の文章化
部分的な言葉だと誤解が生まれやすいけど、その深い考え方などが上手くインタビューされている。
是非とも音声で聴きたいけど、文字だと何回も噛み締めながら読み返せる良さがある。
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ものすごく理不尽です
こんなに貢献されている方が銃弾で命を落とされるなんて
中村哲さんご自身は
「これが生きて死ぬことの意味だよ」
っておっしゃっておられるかもしれません
いつもの整形外科の本棚からお借りしてきました
宮沢賢治を愛しておられた哲さん
『セロ弾きのゴーシュ』も挟まれていて
改めて心をこめて読みました
押しつけではなく、ただ目の前の困っている人に手をさしのべる
世界中が紛争災害の渦
心を平らにして暮らしていきたい
なにかできることを……
≪ アフガンに 真珠の水が とうとうと ≫