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#読了 2021.12.20
私が23歳の頃。2007年に入社したリクルートで最初に5人の営業チームに配属された。そのメンバーのひとりが入社歴1ヶ月先輩で同い年だった山野さんでした。今や観光を代表するアソビューのCEO。社会人1年目とは思えないほど、当時から目的意識がハッキリしてて、まさに荒削りと言えるがむしゃらさだった。
本書読んでて当時のこといろいろ思い出したー。山野さんに言われてナオトインティライミの着うたDLしたなぁ(笑)
--自分語り含めて当時の思い出をかき殴る--
私は大学時代にバイトしていたユニクロが職場として大好きで、地元にユニクロができると聞き、就活せずにユニクロのオープニングスタッフとして社会人1年目をスタートさせた。そして翌年、もっと成長できて稼げる場所を求めて2007年の5月。3年の契約社員としてリクルート(当時、リクルートHRマーケティング)に転職する。職種は求人広告の新規営業(商材は転職媒体:リクナビnext、B-ing、ガテン、とらばーゆ)。
一方、山野さんは一浪して大学入学してるので2007年4月に新卒正社員としてリクルートに入社し、リクルートHRマーケティングに配属になる。
1ヶ月先輩とはいえ、同い年で、なんなら私の方が社会人1年経験があったわけだが、学生時代に就活もしなかった私は、業界研究や3Cなんて考え方も知らず「RMC(リクルートの広告制作)落ちたから、紹介会社に言われるままこっちきたけど新規営業なんて…」と思っていた。そんな私に比べたら、むしろ学生時代にフリーペーパーというビジネスモデルで大きな成功体験を積み、まっとうに就活をして、将来起業するんだ!リクルートの花形HR領域でトップ営業マンになるんだ!という意気込みでリクルートに入社した山野さんとでは、早くも雲泥の差があった。営業成績云々よりも「この子、伸びるだろうなぁ」っていう空気というのかな?そりゃ違うよね(苦笑)
時代の変化でリクルートもちょうど労働時間の是正があり22時には退社しろというルールになったのだが、不夜城と聞いて入社したのに!と上司にぶつかっていたし、「え?だれ?」って思われる関係性の他部署の先輩たちにもどんどん話を聞きに行ったり、ロープレお願いしに行っていた。無茶な営業をして上司に怒られたりもしていた(笑)。
社会人1年目前半の山野さんはなんとなく私の中では「なにしても営業成績あげりゃいいんですよね?」っていう、まだルールを全部把握してないのにルール破っちゃう、それを「あれ?すんません(笑)でも僕間違ってませんよね?」って感じの、自分ロジックで郷に従わず、やる気が抑えきれない乱暴な営業マンってイメージだった。本書の中で「僕もメンタルは強くない方で」なんて書かれてて、え?そうだっけ?って思っちゃったw社会人経験や背負うものが大きくなるにつれてその辺は変わっていくのかな。
でもひとつひとつの壁や反省を無駄なく取り込んでいく山野さんは1年目後半にはMVPを取り、発言や行動もロジカルになっていく。
全容の分からん敷地内を全力で走って壁にぶつかって「あ、ここに壁があるのね。こうゆう壁ね。」と自分の体を張り、時に仲間への迷惑も顧みず(笑)、その場所の広さや特徴を誰よりも早く把握して攻略していく。そうしてどんどんナレッジと信頼をためていく。それを惜しみなく共有・発信していく。1年目が終わる頃には一目置かれる営業マンになっていた。
今思えば、山野さんと机を隣に並べている頃にもっといろんな話を聞けば良かったと思うけど、あの頃すでに「この人は私と飲みに行っても、私からはこの人への有益なもの与えられない。そういう無駄な時間を嫌う人だな」って思えて誘えなかった。山野さんがMVPを取る一方で、私はまだ一度も目標売上達成できずに泣きながら飛び込みやってた頃だもの。あの頃の私がもっと図々しければなぁ(笑)
社会人2年目。私も山野さんも銀座から大宮に移動になった。私は拠点が移動になっただけで業務内容は変わらなかったが、山野さんは大手担当になった。従来の大手担当営業マンはベテランの先輩たちが多く、社会人2年目が配属されるなんて大抜擢だったと思う。1年目当初の乱暴さはもうどこにもなくて、営業先の担当者にも自分の先輩や上司にも、営業マンとして有能さ(頭の回転の早さ、行動力、顧客の採用成功への執着)と、いかにもスポーツマンらしいハキハキした爽やかさと笑顔で、頭角を現していった。でもそんな有能な山野さんは女子の細かな(めんどくさい)気持ちを汲むのが苦手なのか時折、事務の女子スタッフとはちょいちょい揉めてた(笑)配慮の足らない仕事の振り方をしたのかなぁと思う。売上&顧客が第一優先なんだから理解してよーっていう営業心理は分かるものの、スタッフさんがいないと仕事が回らないのも事実。でもそれくらいリソースすべてを営業という仕事に全振りする人だった。
あー。女子スタッフさんに私もよく差し入れしてたなぁ。台東区担当だったんで浅草の揚げまんじゅうとか(笑)
私も大宮に移動して半年経つ頃にはブロックMVP取って、日本青年館ホールで1000人越える従業員の前で表彰されたりして、入社して1年半、遅ればせながらやっと営業マンって言えるようになった気がする。その直後にリーマンショックがあってなかなか売上達成できなくなっててんやわんや。地方拠点も潰して都内に集約。3年目から大宮拠点は無くなり東京八重洲に移動になった。
3年目。山野さんはHRを離れて、新規事業の部署に大抜擢。たしか首都圏の2-300人のHR部門長だった人がその部署を任されて、その直下で5人くらい?のチームだったと思うから、相当貴重な経験をしたんじゃないかなと思う。着実に雲の上の人になっていった印象。ほとんど接点はなくなった。私も3年の契約社員だったし、山野さんもそのあとくらいに退職されて、カタリズム社を立ち上げて2011年3月にはアソビューをリリースされている。
私から見た山野さんとの3年間はこんなかんじ。
2012年あたりに銀座線渋谷駅でばったり会って、翌年結婚式二次会に呼んでもらって以来、直接の接点はほとんどないけど、山野さんのSNSや各メディアでの発信を拝見したり、アソビュー利用者として陰ながら応援しております。
私から見た山野さんは本当にバランスのいい人。ビジネスマンとしての能力がめちゃくちゃ高いのにそれをひけらかさず、謙虚な部分は謙虚だし、自信を持つべき場所はちゃんと自信を持っている。バイアスかけずにフラットに自分の能力を把握しているように見える。普段は圧をかけない人当たりで等身大なかんじ。ただロジカルな話をしだすと圧が強くなっちゃうから、ロジカルな話したのと同じくらいパッションの話もしないと語弊がありそう。それくらい説得力のある人。
あと物事のカテゴライズが的確で、それが例え流動的であっても、その予見すら的確。ってかんじ。もちろん今までのことは結果論といえばそれまでだけど、ここまでうまくいってればそういう能力があるといっていいのでは?
でも、だからこそカテゴライズとは逆の属人的心理には弱い印象。山野さん本人もロジカルな理由の方が納得できるタイプだし、自分の中での「なんか嫌!」って衝動的なものも分析して納得したいタイプだと思うから、他人の「なんか嫌!」を予見するのが下手くそというか(笑)他の能力が優秀なだけに、そこ分からんのかい!みたいな(笑)
それに加えて、人とのコミュニケーションも努力してる分、天性の人たらしの部分を自分で自覚しきれてないというか。努力してるところに成果が出るのは自覚できるけど、してないところは気付かないというか。落としたい女にアプローチして脈アリ無しの反応には敏感だけど、全然意識してない異性の好意には全然気付かないみたいなね?(笑)
本書の中のXさんとZさんの件はなんとなくここの部分かなぁと思いました。「カテゴライズされたうちのn1へのメッセージは聞いたけど、個人としての私をほんとに見てくれてるの?!」っていう不安とか不満っていうかね。いや経営者にそれを求めるのは甘えという考え方もあるけど、そこが山野さんの人たらしたる所以で、なんか求めてしまうし応えてくれる気がしてしまうのよね。わかるわかるぅ!(←誰w)
ってことで楽しく読ませていただきました。
いや、たぶん普通はV字回復が〜とか有事の時のリーダーシップが〜とか感想に書くと思うんだけど、まぁそれは各々読んで確かめてください(笑)普通にすごい経営者です。
◆内容紹介
体験型レジャーの予約サイトを運営し、急成長していたベンチャー企業「アソビュー」。ところが新型コロナウイルスの影響で売上はゼロに、投資家からも見放された。
しかし経営者の山野智久さんは、「事業を継続し、一人も社員を解雇しない」と決意。頭をひねってさまざまな手を打ち、社員を一時的に出向させる新たな仕組み「雇用シェアリング」を作った。
さらにコロナ禍で生まれたあるビジネスチャンスに気づき、新事業を開始。売上ゼロから大逆転し、わずか4か月でまさかの過去最高益を達成する。ピンチをチャンスに変えた目からウロコの秘策とは?
企業が危機を乗り越えるためのノウハウを公開する。大企業・中小企業の幹部・リーダー必読!
リーダーとしての責任感と、経営者としてのしかかる重圧。予想外の展開に苦しみ、彼は追い詰められる。
しかし決して諦めなかった。腐ることなくあの手この手を打ち続け、ついには大逆転を成し遂げる。
冷静な先を読む力と判断力、そして心から仲間を思いやる熱いハート。
2つの相反する心理と戦いながら、苦闘の末に彼が手に入れたものとは何か?
「リーダー」と呼ばれる立場の人ならぜひ読んでおきたい感動ドキュメンタリ��。
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未曾有の危機を前に、リーダーは何をしたか:
「最悪の最悪を想定して準備をしましょう」
不安、孤独、葛藤、無力感
メンタルの弱さをカバーする「技術」
「考えない時間」を確保
「在籍出向」で社員の雇用を守り、会社も生き残る:
出向によって成長した自治体職員
出向基準をオープンにする
感情ではなく、ロジックの話だ
武士な食わねど高楊枝
「社会のリーダー」として何ができるか:
「自社の利益」につながる範囲の「大義」
今あるもので今できることを何でもやる。泥臭くてもやる:
ミッションに立ち戻って考える
「雨の日」はずっと天敵だった
ささやかだけれど大きな成功体験
起死回生の新規事業を最速でやり抜く
起業の原点と「点と点がつながる」瞬間
平時が有事を左右する。危機のリーダーシップ:
絶対に必要なこと以外は「やらない」
メンタルのセルフケアは極めて重要
平時に無駄だと言われていることが有事に生きる
すべての打ち手は「顧客起点」に基づいていた
「井の中の蛙」の成功体験
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アソビューCEO山野さん。
有事の時こそ、思考停止にならず、いかに動けるか。勇気と希望を与えてくれる一冊。改めて、経営者の苦しみとチャレンジをリアルに追体験できました。本当に凄い。
そして、衣食住+"遊"の4大要素に大いに共感!
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非常時はトップダウン。平時にどれだけいろいろやってあったか。
社会のお役に立つ、成長産業業界、世の中にないサービスを提供する、顧客ファースト。顧客は従業員と発注者を含む。
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p153 日時指定電子チケット
p165 情報の非対称性 売り手が持っている情報と買い手が持っている情報に差があるため、市場が効率的に回らない
p180 成長しているマーケットは手をかけなくてもどんどん仕事が舞い込んでくる
p205 VUCA volatility, uncertainty, complexity, ambiguity 先行きが不透明で将来の予測が困難な状態
p211 平時に無駄だと言われていることが有事に生きる
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備忘録
▼未曾有の危機を前にリーダーは何をしたか
・リモート勤務でも常に出社し社長がいつも会社にいる安心感を醸し出す
・メンタルが折れないように考えない時間(ドラマや料理に夢中になる)を作る
・毎日10キロ本気で走る
・軍略会議で事業の継続と社員を解雇しないことを宣言する
・戦術リストを活用し、出るお金と入ってくるお金を整える
・事業の継続と雇用の維持を社員の別会社の出向で両立させることを発案
▼在籍出向で社員の雇用を守り、会社も生き残る
・先輩経営者に相談
・事業は継続し解雇しない意思決定をする
・休業した場合の会社の負担額や社員の生活を想定
・在籍出向システムの具体を検討
・出向する人を決めるため社員を3つのグループにわける
・メンバーの感情にも丁寧によりそう
▼起業の原点と点と点がつながる瞬間
・届ける側と受け取る側の情報の非対称性に気づく
・ショップを回って広告費を集めフリーペーパーを作成
・営業でトップになり自信をつけるために就職
・成長産業で起業する
・100人にアンケートを取り、事業内容を探る
・できる仲間を口説きメンバーにする
・顧客との対話から核となる事業のテーマを知る
▼平時が有事を左右する。危機のリーダーシップ
・有事の経営判断は合議制ではなく、トップダウンとする
・絶対に必要なこと以外はやらないと意思決定をする。
・平日には無駄と思われる準備をしておく。
・顧客起点で経営の全てを考える習慣をつける。
・起業家に向いているのはやり抜ける人
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・ミッション:遊びを通じて幸福を実感する機会を増やす
・旅行(観光)とは、移動・宿泊・食事・遊び・お土産という5つの要素から成り立っており、それぞれの消費額が観光産業の基盤となっています。宿泊をすることだけが旅行ではありません。日帰りであっても観光としての経済効果はちゃんとある
・平時の準備が有事を左右する
・なぜ自治体とベンチャーの協業は難航するのか。それは二社の価値観が全く違うからです。自治体にとって重要なのは「公平性」「公共性」「公明性」です。しかしベンチャーにとって重要なのは「経済合理性」「成果」「スピード」です。だから協業するにはどちらかがどちらかに歩み寄るしかありません。
・コロナ云々は関係なく、元々レジャー施設は敷地に人を入場させすぎだったのではないか。施設側からすれば人がたくさん入っていた方が利益率は高い。でもゲストの満足度は混んでいないほうが高いに決まっている。
・Connecting the dots
未来を見通して点をつなぐことはできない。できるのは過去を振り返ってつなぐことだけ。だからいつか何らかの形で点がつながると信じるしかないんだ。信じ続けよう。直感、運命、人生、カルマ、何でもいい。この考え方が僕を裏切ったことは一度もない。
・情報の非対称性:売り手が持っている情報と買い手が持っている情報に差があるため、市場が効率的に回らない
・それまでは「現地に行ってみないと何があるかわからない」状態だった
・「休日なんか楽しいことないかな」は人類共通のテーマ
・(ファーストペンギンになることで)一企業としての経済合理性を追求できなかったかもしれませんが、一時代を生きるリーダーとしての役割は果たせたんじゃないか
・幼少期にある集団、あるカテゴリの中で圧倒的なトップに立って自信をつけることはものすごく大切です。
・鶏口牛後:大きな組織の末端にいるより、小さな組織のリーダーになるべき
・幸せを実感するには素敵な思い出が必要。