投稿元:
レビューを見る
第1部 問題提起(怒りについて)
第2部 応答と論評(暴力の選択;損害の王国;被抑圧者の怒りと政治;怒りの社会生活 ほか)
第3部 インタビュー&論考集(ラディカルな命の平等性;怒りの歴史;被害者の怒りとその代償;誰の怒りが重要なのか ほか)
投稿元:
レビューを見る
怒りについての提起と応答
カラードによる応答と論評
怒り自体が存在するかぎり、関係の修復を試みたところで終わりのない悪意を誘発する。
あまりにも長く怒り続けると疲労する。
この辺りは大変納得であった。
哲学者の中には
怒りは道徳的反応の適切なひとつだと考える人もいる一方でで、怒りはないに越した事はないと
ゆえに、恨みから復讐を果たす事は合理的かつ正当な事だと言う結論を導きだすための論議を展開。
いずれの怒りも感情の反応なんだとしても後悔のない怒りでありたいものだ。
投稿元:
レビューを見る
アマゾンにおすすめされるがままに買って、読んでみた。
「怒り」に対する哲学的な議論で、まずは、第一部は、怒りや復讐を肯定的に捉えるアグネス・カラードの挑発的な論文がだされ、第二部では、それに対するレスポンスとレスポンスに対するカラードのレスポンスが示される、第三部では、カラードの議論からすこし離れて、怒りや暴力などの歴史や社会的な課題などの観点も踏まえた論考がしめされる。
もともとのアグネス・カラードの議論は、面白くはあるが、やや極論な感じがして、どうかなと思いながら、読み始めたのだが、それに対する共感や批判がいろいろな角度からなされていくとだんだん面白くなってくる。第三部になると、sらに面白い。
結局、怒りについての一つの共通理解が生まれるものではないのだけど、まさにそこのところが面白い。
ある意味、どの著者が言っていることも正しくて、でも、それらは両立しないものもある。
こういうのを多様性、複数性というのだろうな〜と思った。まさに哲学的対話だな。
怒りというテーマであるわけだから、この議論自体のあり方がある種の答えなのだ。
ちなみに第三部で、ジュディス・バトラーの「非暴力」に関するインタビューがのっていて、面白かった。バトラーというと、「ジェンダー・トラブル」のポストモダーンな論争好きなフェミニストというイメージが強いわけだが、近年の彼女は、ある意味、普通になってきている感じもある。この「非暴力」の議論もかなり真っ当なもののように感じて、翻訳が早くでないかな〜と思って、確認したら、なんと数日後にはでるようだ。グッドタイミングでした。