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冷蔵庫の陣地争いと、心配になるくらい貧相なインスタグラムの話が特に良かった。小さな世界って意外と真理がひととおり揃っているなと思う。
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津村さんのお話は、どこか自分の日常でなにげなく見過ごしてしまっている、やり過ごしてしまっている、とても大切だったはずのなにかを思い出させてくれるような、そっとしたやさしさを感じることが良くあります。
冷蔵庫の食品の配置だとか、上司のありえない指示だとか、他愛ない十代の果てしない想像力だとか。どこかいつか自分が触れたかもしれない、触れなかったかもしれない、そんな絶妙な親近感が、素朴なのにいとおしいような温かい気持ちにさせてくれるのかな、などと思ったりします。
大きな突飛な事件が起こるわけではない、悲喜劇のカタルシスがあるわけでもない。それでも人々はそっと不満を抱えたり抱えなかったり、絶望したりほのかに期待したり、ゆるりと日々を歩んでいく。歩んでいこう、と思わせてくれる、そんなお話たちばかりでした。
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【収録作品】レコーダー定置網漁/台所の停戦/現代生活手帖/牢名主/粗食インスタグラム/フェリシティの面接/メダカと猫と密室/イン・ザ・シティ
仕事に倦み疲れながら、どうにか生き延びている人々の日常生活に焦点を当てた短編集。しんどい心に効く気がする。
「フェリシティの面接」は、ミステリ風味。フェリシティの正体(?)を考えると楽しい。
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2021.01.30
なんか独特の短編集だった…。
読みやすいような読みにくいような、共感できるような共感できないような、なんとも言えない登場人物たち。
数行読んでみてよくわからないテーマのものは読まずに飛ばした。
前に一度、津村記久子さんの本を読んだことあると思ったんたけど何を読んだか全く思い出せないのがなんか悔しい。
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本屋さんで関西弁丸出しの帯に惹かれて、手に取りました。
この帯、関西だけ?地域によって違うのでしょうか。
書店員さん達の言葉に納得!
「この感覚、なんかわかるわ〜」な短編集。
特に1つ目の「レコーダー定置網漁」。
これ、私やないか!(笑)
ひたすらダラダラして、見るつもりなかったけど見たテレビ番組で紹介されてたことをやってみて、何か気が晴れちゃったりして。
特に事件は起こらないけど、平凡な毎日が一番心地良い。
そんな1冊。
ゆるゆるな気分な時、ダラダラしたい時にオススメです。
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相変わらずうまい、そつがない。
期待通りの読後感だが、退屈することはない。
「イン・ザ・シティ」が特に好き。中学生を書かせたらほんとピカイチ。
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冒頭の1行からうなずきすぎて笑ってしまった。思わず本を閉じる。すぐに再び、すごい期待を持って読み始める。また笑う笑う。そもそもタイトルの「レコーダー定置網漁」っていうのがおかしいではないか。
だんだん「リフレッシュ」していく主人公。とにかく「休み」が必要なのだ。
休日ゆっくりと寝そべりながら読む。どの短編も、体を休めること以外にできそうもない休日にふさわしかった。まぁゆるゆるとまた頑張ろう!と思えた。
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津村さんの書く小説は、働いている女性が出てくるものが多い。バリバリのキャリアウーマンというわけではなく、働いてはいて、それなりに会社に貢献もしているものの、どこかしらその職場に違和感を抱いていたり、働くのが嫌にならないほどの適度な邪魔物と対峙せざるを得ないような、そんな軟らかい硬直を抱えた女性の話が多い。また、大抵の場合その女性は人から咎められない程度に怠惰だったりもする。
その緩さというか、発展も急な堕落もしないが、果てしなく緩やかな下り坂をノロノロと降っていくだけのような労働という名の日常の中に、ちょっとけつまずく様な小石を見つけたり、立ち止まりたくなる様な路傍の花を見つけたりする話が展開する。
小石と言ってもけつまずくと痛いから、登場人物は時に激しく憤ったり、鬱憤を吐き出すために他人の悪口をノートに書きつけたりする、、、
そういう話が読んでいて楽しい。
と思っていたら、最後の一遍「イン・ザ・シティ」は女子中学生のちょっとキュンとする話だった。
こういう意外性もまた面白いんだよね。
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どれもシュールでうんうんとうなずいたり、クスッと笑えたり、楽しいひと時が過ごせる短編集。
特に
メダカと猫と密室
粗食インスタグラム
がお気に入り
タイトル通り、現代生活にあるあるネタを少し斜めからみた視点で鋭く?切り出す(笑)
装画もアンニュイでマッチする。
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表題作『現代生活独習ノート』、この世界観がとても好きだ。
私もロバに郵便物もってきてもらいたいし水道からミカンジュース出したいです。
テーブルもさすりたい。あのテーブル便利すぎやしないか…?
SFと言えばSFかも知れないけど、そのちょっと便利なところの「ちょっと」具合が絶妙すぎる。
かゆいところに全然手が届いてないけど、一般市民がここ「ちょっと」ってところの感覚が、価格設定も含めたまらなかった。どれもこれもが魅力的で、あと少しの豊かさをくれr…いやそれは豊かなのか?という一抹の疑問も含めて、完璧。
朝一で紅茶を入れる作業を「めんどくさい」「かなりの手間」と切り捨ててくれた津村さんにはもう、信頼しかない。
(だって私なんて白湯すら飲めない)
特にあの、知らないうちに不用品を判断して勝手に捨てておいてくれるというサービスが素晴らしい。
私もすてたいんよね。私が知らないうちに(重要)なんか(重要)なくなっててほしい。あれ一万円なら全然いける。
あの小説を読んでいると、「あぁ、私って意外とがんばってるじゃないか」って思えてくるのが一番すごいところだと思う。一人じゃない感がすごいのよね。
現実って糞だな、の先の、現実って糞だけど笑えるな、愛おしいな、まで見せてくれる作品なのが、読んで良かった~明日もいきてこ~って眠れる。
表題作のみに言及しましたが、どれもこれも独特の世界観があって、まるっと大好きでした。祝・第三回飯田賞!
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すごく不思議な短編集。
現代の生きづらさを滲ませる話もあれば、SFっぽい話もあり、途中で何読んでるんだろう…と不思議な気持ちに。元気が出る、という話でもないし、今の生活もまぁいいかなと、全力肯定とまでいかずとも、他の生き方を垣間見せてくれる。
「レコーダー定置網漁」。SNSで発信される情報の波に疲れた主人公が、偶然録画されていたTV番組に活力をもらう。
「粗食インスタグラム」判断することに疲れを感じる主人公が、毎日の夕ご飯写真を投稿していく。
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8編の作品で構成された短編集。
それぞれの作品の主人公は年齢もまちまちだが、なんとなく自分の現状に満足していない。
どの作品も淡々とある状況を著し、はっきりしたストーリー展開があるのでもなく、結論を提示した終り方もしていないが、今を生きる人々の姿が垣間見れる作品だ。
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「浮遊霊ブラジル」に続き 2冊目の 津村記久子作品
誰にも言えないけれど 日常の馬鹿げた生活習慣や考え、妄想などが短編になっている。
・録画していた番組が終わって、「同じ名前の1話」としてず~っとたまっている録画リスト。興味のない番組の中で 見るとはなしに流れる画面に心地よさを感じる
・娘に台所を占領されて イライラしながら小言をいう母 そして 冷蔵庫の自分の場所を占領していく祖母の食べ残しの食器たち
・気の合う友達と何気に作り上げていく 妄想の世界地図
どれも ちょっと身に覚えがあったり、経験があったり。
身に覚えがあると共感出来て 読む気力が進むのだが、経験がないと(ふ~ん)とおざなりになって 頭に残らない。
まっ それも読書の楽しみですよね。
1話完結なので カフェのひと時におすすめです。
(感じ悪いわき役も出てくるから 身近にいる人に似てるかも?!)
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最近、仕事で疲れていてあまり本を読む気分ではなかっったが、ほんわかした話ばかりで癒されたし、読んでて疲れなかった。
就活生のSNSを監視する仕事をしてる人がもらった長期休みの過ごし方がなんかすごく良かった。ローカルテレビ局のローカルな番組で、疲れた顔をした料理家と元気いっぱいのアナウンサーが作る超手抜きご飯の紹介番組やそのアナウンサーと別の若いアナウンサーが出る情報番組、旅番組などもあってなんかすごく良かった。そして、天気予報士の方の「明日の服装」も癒された。
学校で習ってきた料理を作りたい娘と母親の台所での争い、紅茶サーバーを買うか買わないかで散々悩む女性、支配する側とされる側の関係を書いた話、選択するのが疲れすぎていつもちゃんとしたものを食べていない人のひどい食事写真をアップする話、住んでいるマンションの上の階であった殺人事件の話、休日出勤を強いられ、その上司に振り回される社員の話、架空の世界を考える中学生の話。いろいろあって面白かった。
なんとなくどこにでもある人々の物語だけど、特別不幸でも特別幸せでもないかんじが良かったかな。
2022.3.20 読了
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短編集。
「レコーダー定置網漁」…仕事に疲れてリフレッシュ休暇をもらった私。TVでコロンボ警部を録画するはずが、地方局の情報番組を毎日録っていた。しかし出演するアナウンサーたちに励まされ?気力を取り戻していく。
「台所の停戦」
「現代生活手帖」…近未来?SF.自治体から配布される手帖。タウンワークのように、地域の便利商品も紹介されている。私が利用する配送酸はロバ。
「牢名主」…アドリアナ・スミス群。それは病的なまでに相手B群に執心してくるA群と、被害者B群のこと。B群になって逃げるために引っ越し、そこでリハビリグループに通う女性。
「粗食インスタグラム」
「フェリシティの面接」
「メダカと猫と密室」
「イン・ザ・シティ」
あらすじ、全編は書かないけど、最後の4編も好きで、ストーリー忘れないだろう。今作は地に足のついたというか、地味なSFっぽい話もあって、新たな津村作品が見られた。「フェリシティの面接」は、読んでる途中で予感がして、「もしやミスレモン?」とわくわくした。仕事で摩耗して、ボロボロになっている作品もあったけど、ほんとーにスローに回復していく様子は希望があったし、そこにもやはりユーモアがあった。この本も読んでておだやかな気持ちになった。