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ミステリ以上にミステリアスなのが恋愛! 中森明菜も歌っていましたね。推されるアイドルの方からの恋。カリスマ性と天秤にかけた恋。恋が絡んで綱渡り状態の「友情」。自分改造が疲労骨折に至る恋。ミステリと違うのは、謎は解けないこと、たとえ解けても解決されないことですね。それが恋愛ですからね。
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斜線堂有紀の恋愛地獄小説集。
彼女達だけの恋=闘争が始まる…
彼女が、彼が、好き。自分を見失うほど。
私も周りも自分じゃ気づかないだけでこんなにも必死なんだろうか…
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斜線堂さん初読み。さまざまな愛のカタチなのだろうけれど周りから見たら歪と思えるような感情。「愛じゃないならこれは何?教えて!」と主人公が一番知りたいのかも。進むべき方向がどんどん間違って「お~い、こっちに戻って来~い」と声をかけたくなる短編集。アイドルストーカーのお話が一番好きかな。面白かったです。
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ほんタメあかりんのおすすめで読んだ。
まさにタイトル通りだと感じた。
自分が知ってる「愛」ではないけど、「愛」という言葉でしか表せないような感情に振り回されていく人たちの話。
登場人物一人一人の抱くひとつひとつの感情は共感できるところがありつつ、それに由来する行動はすべからく地獄へ向かっている。ありえないと思いつつ、わからなくもないと思ってしまう怖さもあり。
自分は、「愛」という言葉を、無意識に綺麗なものだと思いすぎていたのかもしれない。
・自己の欲望の頂点のような、抗えない醜い感情。
・相手のことを自分のことよりも思いやる美しい感情。
相反するように見える2つの感情でも、同じ「愛」という言葉で表わされる。愛という言葉のもと、その得体の知れない沼に溺れていく彼女らを体現したような言葉。
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──── 人気アイドルが、一般人へのストーカー行為
で逮捕されたら、どんな結末が待っているだろう。
5つの少し変わった愛の話。
初めて斜線堂有紀さんの小説を読みましたが、すごく読みやすい印象でした。
5つとも普通の恋心とは違っていて少しいびつで「おぉ…」となるようなお話でした。
私は特に4、5つめの男女3人の幼なじみの話が印象的でした。何とも苦しくいびつな感情の交差が読んでいて少々耐え難いものでした。しかし、実際にこんな関係が現実では有り得ないことかと言われるとそんな事も無いような気がしてしまいます。
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愛って人それぞれ
大きすぎると相手のキャパにちゃんと合致する人と出会わんとやっていけれん人生って本当に難易度高すぎる。
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最近、YouTubeで「ほんタメ」という動画にハマっているのですが、MCのあかりんが「恋愛と地獄は近ければ近いほどいい」と言っておりました。
これはまさに、そんな胸ギュン小説です。
決してキュンではないしハッピーでもないけれど、確かに「これが愛じゃなければ何なのだ!」としか言い様のないどうしようもなさ。
恋をするとキラキラ綺麗な自分でいたいし、そういう自分だけ見せたい。相手との時間も自分の時間も大切にできる理想の女性になりたい⋯⋯でも、現実の自分の感情はそうはいかないのだという、それがそれぞれの主人公達の行動に現れているような気がして、とても好きです。
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あなたは、”恋愛小説”にどのような内容を思い浮かべるでしょうか?
この世に溢れる数多の小説の中でも”恋愛小説”は定番です。”男女間もしくは同性間での恋愛を主題とした小説”を指すという”恋愛小説”。この四年ほどで780冊あまりの小説ばかりを読んできた私の本棚にもたくさんの”恋愛小説”が並んでいます。私の場合、女性作家さんの小説をすべて読み切ることを目標としており、”恋愛小説”をわざわざ選んでいるわけではありません。そうです。ランダムに選んでも自然と一定数を占めるほどにこの世には”恋愛小説”が存在するのです。
一方で、”恋愛小説”と言ってもその内容は千差万別です。青春の甘酸っぱさの中に存在するものもあれば、しっとりとした大人の恋愛もあります。そして、なるほど、これも恋愛の一つのかたちだね!と少し変わった”恋愛”を見るものもあります。そうです。この世に数多ある”恋愛小説”のかたちはその小説の数だけあるとも言えるのです。
さてここに、斜線堂有紀さんがはじめてチャレンジした”恋愛小説”があります。ミステリ作家として見せる顔とは異なる斜線堂さんを見るこの作品。なるほど、これも恋愛の一つのかたちだね!という作品群を見るこの作品。そしてそれは、”恋愛小説”の多様性をそこに感じる物語です。
『人気アイドルが、一般人へのストーカー行為で逮捕されたら、どんな結末が待っているだろう』と、『他人の家のベランダに座り込みながら考える』のは主人公の赤羽瑠璃(あかばね るり)。『男の部屋に忍び込んで捕まるなんてあってはいけない』、その一方で『彼は自分の部屋に忍び込んだ咎で推しが引退することになったと知ったらどう思うだろうか』とも考える瑠璃。そんな『瑠璃は意を決して、二階のベランダから跳』び降りながら、『今から四年前。瑠璃が二十四歳の頃』のことを思い出します。
『アイドルを辞めようとしていた』『二十四歳の赤羽瑠璃』は、『言ってしまえば、ただの地下アイドルで』しかない『東京グレーテル』の『ステージ最後列、ワンフレーズだけのソロが唯一の晴れ舞台』という状況に埋もれていました。『今の赤羽瑠璃を知っている人間なら、そんな時代を信じないかもしれない』という日々の中に『早く辞めなければいけない』と思う瑠璃。そんな中、『めるすけ「赤羽瑠璃は赤じゃなくて黒の方が似合うな」』というツィートを目にした瑠璃は、『運命かもしれない』、『衣装に文句を付けられはしたけれど、めるすけは自分のことを認めてくれている』と思います。そして、『自費で購入したいものがある』とマネージャーに訴え、『黒』の衣装を着ることになります。『衣装替えました!カラーも一新でニューばねるりで』とツィートすると、『めるすけ「ばねるり、衣装替えて正解だな。すごく綺麗だ」』と反応がありました。『たった一人のそんな一言が、死ぬほど愛おしい』と思う瑠璃がライブの後に、『ツイッターのホームを確認』すると、『どの曲も、瑠璃を中心に書いてある』ことに気づきます。そんな中でも『めるすけ』のツィートを意識する瑠璃は、『これほどまでに赤羽瑠璃を見てくれている人間はいなかった。だが、それと同じくらい瑠璃もめるすけのことを見ていた』という思いに満たされていきます。そんな半年後、『東京グレーテルの握手会』が開かれます。『他のメンバーには全く及ばないものの、瑠璃の列にも数人のファンが並んでくれた』のを見てホッとする瑠璃は『その列の先頭に「めるすけ」がい』るのに気づきます。ツィートの公言で彼が来ることを知っていた瑠璃は、事前の服装の情報も合わせて彼を特定します。『いつも応援してます。ライブ楽しみです』、『ありがとう。すごく嬉しい』と会話する二人。『私、頑張るから。ずっと見ててね。一生推してて』と言う瑠璃に、『うん。見てる。応援してる』と返す『めるすけ』。そして、会の終了後『めるすけ「ばねるり握手会終わった。最高だった」、「ばねるり一生推す」』というツィートを見て『一生推してて、と瑠璃は復誦』します。そんな中、『握手会の直後に、転機が訪れ』ます。『東京グレーテルの第一期生が全員卒業することになった』というその転機に際して『同期である第二期生の中でも卒業を表明する人間が出てき』ます。このままでは『東京グレーテルは解散になってもおかしくな』いという状況の中、『二十五歳の赤羽瑠璃は東京グレーテルに残ることを決め』ます。そんな発表に、『めるすけ「東グレ解散はマジで無理だわ。ばねるりは勿論だけど、俺は東グレが好きだったから」、「でもばねるり、アイドルやめないで…」』と反応するツィートに『この世でたった一人でも、ずっと自分のことを愛してくれている人がいる。見つめてくれている人がいる』と思う瑠璃。そんな瑠璃が転機を生かして『東京グレーテルのリーダーに抜擢』されたその先の物語が描かれていきます…という最初の短編〈ミニカーだって一生推してろ〉。まさかのアイドル視点で展開する彼女の苦悩を描く好編でした。
“斜線堂有紀のはじめての恋愛小説集”と高らかにうたわれるこの作品。斜線堂さんというとやはりミステリ作品という印象が先立つ中に、”恋愛小説”という言葉がとても新鮮に感じられます。五つの短編から構成されたこの作品は、「JUMP j BOOKS編集部公式note」公開の作品に、一編を書き下ろし、一冊の作品として刊行されたという経緯を辿るようです。
そんなこの作品の興味深い構成の一つが一編目〈ミニカーだって一生推してろ〉に用いられているツィートの多用でしょうか?この短編では、主人公でアイドルの瑠璃が、彼女の『推し』である『めるすけ』のツィートを意識する中に物語が進んでいきます。そんな彼女の転機となったのが『東京グレーテル』のメンバーとなるも『照明すら薄らぼんやりとしか当たらない舞台』で『アイドルを辞めようと』考えていた瑠璃がたまたま目にしたツィートでした。
『めるすけ「赤羽瑠璃は赤じゃなくて黒の方が似合うな」』
この『めるすけ』のツィートを起点に瑠璃が衣装を変えたことで風向きに変化が生じていきます。また、そんな起点をくれた『めるすけ』への想いが募ってもいきます。その一方で瑠璃のことを『ばねるり』と書く『めるすけ』のツィートは続きます。
・『めるすけ「ばねるりの目が、まるでメテオライトみたいだった。ばねるりは黒が似合う。あの大きな目にも星がある」』
・『めるすけ「というか、ばねるりの握手列結構えげつなかったな。みんながばねるりの良さに気づいてくれたみたいで嬉しい」』
・『めるすけ「ばねるりがみんなの一番になってほしい」』
・『めるすけ「ばねるり一生推す」』
さらには、
・『めるすけ「まさかゴールデンタイムに東グレを見れるとは思わなかった。推し続けてよかった…。残業続きの身体にめちゃくちゃ沁みる」』
・『めるすけ「テレビに映ったばねるりのこと、多分一生忘れないと思う」』
瑠璃を追う『めるすけ』のツィートが作品に織り挟まれるように本文は構成されています。”恋愛小説”にも関わらず、主人公の想いは、自らのことを記すツィートであるという点がこの短編の大きな特徴です。しかもそれは、瑠璃本人宛ではなく、あくまで『めるすけ』が書き記したツィートに過ぎません。そんな物語は、あくまでツィートにこだわった結末を迎えていきます。”恋愛小説”という枠組みの多様性を見るなかなかに興味深い構成の短編だと思いました。
さて、〈ミニカーだって一生推してろ〉の構成を取り上げる中で、”恋愛小説”の多様性について触れてみましたが、この作品では他の短編でも構成こそ違え、”恋愛小説”ということを意識すればするほど、これって”恋愛小説”なの?という構成の作品が続きます。では、そんな視点も意識しながら各短編をもう少し見てみましょう。本の帯に記載された各短編の”イメージ”も最後に付記します。
・〈ミニカーだって一生推してろ〉: 『アイドルを辞めよう』と考えるのは『地下アイドル』『東京グレーテル』の『ステージ最後列、ワンフレーズだけのソロが唯一の晴れ舞台』という主人公の赤羽瑠璃。偶然に見つけた『めるすけ』という人物の『赤じゃなくて黒の方が似合うな』というツィートに転機を見出します。それ以降も『めるすけ』のツィートを意識する瑠璃は『めるすけ』の存在を強く意識し、好きになっていきます…。
→ “ファンをストーカーする地下アイドル”
・〈きみの長靴でいいです〉: 『二十八歳の誕生日に贈られたプレゼントはガラスの靴だった』というのは灰羽妃楽姫(はいばね きらき)。『この世界で一番妃楽姫に似合う靴だと思ってる』と『ガラスの靴を差し出』す妻川から靴を受け取る妃楽姫に『お誕生日おめでとう…君に出会えたことは、僕の人生にとって最高の幸福だった』と語る妻川を『愛おしい、と心底思』う妃楽姫ですが、直後、『そんな男の婚約報告を聞』くことに…。
→ “舞踏会 中毒の女”
・〈愛について語るときに我々の騙ること〉: 『高校時代に廃部寸前の放送部で出会った私達は、それからずっと仲がよかった』と、春日井園生と泰堂新太のことを語るのは鹿衣鳴花(かごろも めいか)。そんな鳴花は『僕さ、ずっと前から新太のことが好きだったんだ。だから、付き合ってくれない?』という園生の告白を受けるも『私の欲しいものは、三人でいるこの現在だ。私は自分なりに二人ともを愛している』という鳴花は…。
→ “男 × 男 × 女”
・〈健康で文化的な最低限度の恋愛〉: 『津籠実郷です。よろしくお願いします!』と手を伸ばされ『美空木絆菜です。よろしくお���いします』と握手を交わしたのは主人公の絆菜(きずな)。『中途採用された新人』の実郷(みさと)の指導を担当することになった絆菜ですが、実郷が絆菜の担当した記事を褒めてくれたことをきっかけに彼のことが気になり、どんどん好きになっていきます。そして、彼の趣味について調べ始める絆菜は…。
→ “男に合わせて山で死にかける女”
・〈ささやかだけど、役に立つけど〉: 『初めて放送部の部室で鹿衣鳴花と出会った時に、自分はいつか彼女と付き合うんじゃないかと思った』というのは主人公の春日井園生(かすがい そのお)。泰堂新太を加えて『男二人に女一人の形』で付き合いを続けていく中、『居心地のいい空気の中で、友情を育んでい』た『ツケ』として、『恋愛感情が生まれ』た先の戸惑いを感じています。そして、鳴花と『恋人』になった園生は…。
→ “男 × 男 × 女”
五つの短編のうち、この作品のために書き下ろされた〈ささやかだけど、役に立つけど〉は、〈愛について語るときに我々の騙ること〉の視点を変えた物語です。園生、新太、そして鳴花という“男 × 男 × 女”の関係性を描く物語は、この最後の書き下ろしによってもう一人の人物から見た三人の視点が加わることで、世界観が大きく広がります。男と女の間に友情が成立するのか?というテーマは、千早茜さん「男ともだち」で作品全体にわたって語られていますが、この作品では、ある意味さらにその先に踏み込みんだ物語が描かれていきます。
『男女の友情がなかなか難しいこの世界において、私達はどこに出しても恥ずかしくない親友をやっていた』。
そう、一対一ではなく“男 × 男 × 女”という組み合わせによってその関係性を考える物語がここに展開するのです。この作品を刊行するにあたって、書き下ろしまでされた斜線堂さんが描くその世界。”恋愛小説集”という位置付けのこの作品において一つ大きな読みどころになる作品でもあると思いました。
また、その他の三編についてもなかなかに興味深い視点を提供してくれます。〈ミニカーだって一生推してろ〉については上記で記したとおりですが、他の二編もそれぞれの読み味があります。〈きみの長靴でいいです〉では、『ガラスの靴』というものを物語中に実際に登場させるのが斬新です。シンデレラの物語であくまでお伽話の中にある『ガラスの靴』。そんなまさかの靴を履くことになる主人公の複雑な胸中を見る物語。それは、シンデレラの物語を背景に思い浮かべれば思い浮かべるほどに奥行きが深くもなっていきます。そして、この作品である今一番の読みどころを提供してくれるのが、〈健康で文化的な最低限度の恋愛〉です。”恋愛小説集”というこの作品の位置付けで最もそれに近いもの、しかし、一方で歪さを見るもの、それがこの短編です。
『自分というものが全部抜き取られて、恋に埋められてしまった』。
『中途採用された新人』の指導を担当することになった主人公の絆菜がまさかの思いが止められなくなっていく展開。そんな絆菜の物語は、『親友の遠崎茜が逮捕』されたという事実を背景に見せながら展開するところが絶妙です。
“恋愛には楽しい部分ももちろんあるけれど、先へ進むと八割方…九割五分、地獄が待っている。でも、感情が大きく動くということは、プラスであろうとマイナスであろうと、人生にとって必要なことだと私は思うんです”
そんな風におっしゃる斜線堂さんが描く”恋愛小説”の一つのあり方を見るこの作品。そこには、”恋愛”というものの懐の深さを見る物語が描かれていました。
『愛されたかった。いや、愛されたいのだ。今もすごく』。
五つの短編が収録されたこの作品。そこには、はじめての”恋愛小説”にチャレンジされた斜線堂さんが見るさまざまな『恋愛』のかたちが描かれていました。なるほど、こういう視点から切り込むのね!と感心するこの作品。『恋愛』現在進行形の人間の思いの強さに圧倒されるこの作品。
“今後も恋愛小説を書き続けたい、自身の主戦場であるミステリというジャンルとのかつてない融合も試みてみたい”と語る斜線堂さんの”野望”がとても楽しみにもなる、そんな作品でした。
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2024.2.19 読了
─この恋は、きっと地獄に続いてる。─
この帯文を見てどんな地獄が描かれているんだろうと少し身構えてたけど一途に不器用に恋をしている人たちのお話でした。
上手くいく恋も破れる恋も犯罪スレスレ(?)まで暴走する恋も様々あるけれどどの恋心も愛おしいと思えた私は年を食い過ぎたのでしょうか(笑)
─好きな人がウィキペディアに載っていないのが悲しかった─
この表現めちゃくちゃ好きでした。
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5篇の短編集。
まさにどれも、
「愛じゃないならこれは何?」
と、言いたくなりますね。
最近の若者の恋愛って、こんな感じなのかな?怖いなぁ…と思いつつ…つい読み切ってしまいました。
愛について語るときに我々の騙ること
の、主人公が変わったのが…
ささやかだけど、役に立つけど
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いちばん好きな小説たちに食い込んでくる短編集
「二人」の表現できない人間関係がたまらなく好きなひとにはぶっ刺さる斜線堂さんの世界観!!
特に好きな最初の短編2つをざっくりネタバレありで↓
◯ミニカーだって一生推してろ
売れない地下アイドルの「赤羽瑠璃(ばねるり)」は初めてエゴサで自分に言及していたグループのファンねるすけを見つける。(このときはまだ「ばねるり」の愛称じゃなくて「赤羽瑠璃は黒の衣装の方が似合う」とただのいちグループのファンでいるところもエモい)
ねるすけのSNS上での反応をバネに、「たった一人に無限の重みを載せて、瑠璃は荒野を行く」とトップアイドルへの道を上り詰めていく、ばねるりサイドでの歪んだ愛情のお話。
ばねるりは、ねるすけのおうちにストーカーするくらい推しているのに、ねるすけはそれに気づかずどこまでも清く正しく「推し」ているこのギャップ
ばねるりは、めるすけの一番になりたいけれど、めるすけはみんなにとってばねるりが一番になってほしい。
小さい頃に集めたミニカーはいつのまにか手元から消えていくけれど。ミニカーだって一生推してろ、と握手会の最中に笑顔の裏で思っているばねるりちゃんが愛おしい。
◯君の長靴でいいです
天才デザイナー灰羽妃楽姫(きらき)と、カメラマン妻川との関係。きらきのためにガラスの靴を用意し、似合う花を見つけ、パリへ一緒に行き…いつか結ばれると思っていた相手が結婚するという。(相手が「松永良子」といういたって平凡な名前なのもまたいい)
シンデレラは舞踏会なんかにいかずに町内会で夫を見つけてもよかったのに、という発想が斜線堂さんらしくて大好き
1話目のばねるりは夢から醒めないことを選んだけれど、2話目のきらきは、「ガラスの靴じゃなくて、長靴でいいから私のことを選んでほしかった」と最後に幕引きを選びます
きらきを選ばなかった妻川をガラスの靴でぶん殴って颯爽と都会の街に消えていくきらきがかっこいい。舞踏会は終わらない。
2021年の小説に遅ればせながら2024年にハマったわけですが、
TwitterはXになり、福井へは新幹線で行けるようになり、1400円でハードカバーが買えていた頃が信じられず…。