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トロッコ問題を突き詰めるとこうなる、というひとつの回答のような作品でした。これがデビュー作とは思えない完成度。面白かったです。
テクノロジーの進化は両刃の刃で、いつも人を悩ませます。例えば、AIの進化は人を楽にするのか?はたまた仕事を奪うのか?
自動運転で事故が減る一方、万が一事故が起きた場合の責任の所在はどうなるのか。
AIの医者と人間の医者、どちらの医療ミスなら許せるのか等々…
そんな思考実験を豊かな想像力で何通りも創ることができる。いや~小説って本当にいいもんですね。(水野晴郎風に…古っ)
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現役エンジニアである作者のデビュー作は完全自動化した車が巻き起こすタイムリミットサスペンスだ。このシステムを開発した社長の坂本が仕事場でもある自動車を乗っ取られ、首都高を暴走し始めた。車には爆弾が仕掛けられており、近づいたりスピードが落ちたら爆破、という展開は映画スピードを思い出す。と思いきや物語は思っていた方向とは違う流れに。なるほど、そうくるか。この本のテーマは「選択」だ。将来、必ずやってくるだろう機械が支配する世界。その時、人間は何を選択するのか。SFながら目線が我々と同じ高さなので読みやすかった。
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106今時のお話し。今は運転支援だからどっかのメーカーみたいにやっちゃえ自動運転、とかいったらまだまだあかんと思う。なんかアシモフの三原則を思い出した。用語が難解ならもっとストーリーに人間味を持したらいいのに。
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テクノロジーやプログラムに関する自分にはあまり馴染みのない専門用語が飛び交いながらも、スリリングな展開や人間ドラマもあり、とてもおもしろかったです。
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完全自動運転車が普及した2029年の日本。その自動運転のアルゴリズムの開発者坂本は、ある日仕事場の自動運転の車の中に「ムカッラフ」と名乗る男に乗っ取られ、車内に爆弾が仕掛けられてしまう。首都高は封鎖され、警察もなすすべなし…。自動運転車のトロッコ問題(二つの方向があり、どちらも人を轢いてしまう場合、どちらに車を動かすか…)、自動運転車の賠償問題、オープンソースなど今後議論が出てきそうな話題が多くて面白かった。とても読みやすい。ただ登場人物が皆あまり魅力が少なかったかな…
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レベル5の自動運転車が実現・普及した将来を舞台にした劇場型カージャック事件。
動き続ける密室ということでは映画「スピード」に近い設定ながら、配信サービスによる縛り、自動運転車ならではのセンサ利用、時限装置のGitHub公開など、現代ならではの舞台装置と、中盤の展開、カージャック事件のミステリ的謎解きもあって、一気に読ませる。
特に自動運転・電気自動車実現後の社会の描き方が未来を感じられて魅力的。
パンドラの箱が開かれた後の世界も気になる。
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舞台は2029年の東京。完全自動運転車が実現した世界。主人公は完全自動運転のアルゴリズムを開発したサイモンテクノロジーズ社の社長、坂本義晴。
ある日、坂本が普段仕事場としている自動運転車で移動中、何者かの男にカージャックされてしまう。
「ムカッラフ」と名乗る男は、坂本にある目的を告げ、その様子をインターネットの動画サイトで配信する。車内には爆弾が仕掛けられており、他の者が干渉しようとすると爆発するよう設定されている。
ムカッラフの正体は?その目的は?そしてどう解決するのか?とてもスリリングな内容だった。
本書でテーマとなっていることは、自動運転が普及する時に問題となることは知っていたが、より具体的に、この問題へのアプローチを知ることができた。
ハヤカワSFコンテストの優秀賞受賞作ということだが、壮大な世界観ではなかった。しかし、楽しめたという意味でも、勉強になったという意味でも有意義な読書体験になった。
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自動運転はいかにしてトロッコ問題と向き合うのかという問題提起をしつつ、エンタメ、サスペンスとしても楽しめる小説。
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久々の小説。紹介されたため、購読。1週間で読破する程の面白さ。
東大工学部卒が書いた事もあり、非常に技術的なSFサスペンスであるが、社会情勢等も含まれてあり、非常に考えさせられる作品となった。また筆者の作品が出ればぜひ購読したい。The future is in your hands.
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ハヤカワSFコンテスト優秀賞作品。ノンストップのサスペンス?正体は不明でも冒頭から犯人は姿を現し、いわゆる誘拐監禁事件が始まる。舞台は首都高の上を走る自動運転自動車。
自動運転車に仕掛けられた爆弾の起動トリガーは、自動運転車の時速が90kmを下回ること、他の車両が数m以内に接近すること、そして犯人の動画生配信の中断。自動運転車の通信システムは破壊され、犯人と交渉もできない。
犯人が監禁したのは、日本の自動運転車の多くに搭載されている、自動運転アルゴリズムを開発しているサイモン・テクノロジーズ社の創業者、社長、エンジニアの坂本。犯人は、トロッコ問題でそのアルゴリズムが選択する被害者に、人種による偏りがあることを、坂本にシミュレーションで解析するよう求める。
時は2030年、自動運転により職を失ったドライバー、自動運転車により身近な人を喪ったひとなど、いろいろと社会的な問題も描かれている。
冒頭のスピード感の後、事件の背景と登場人物を紹介していく場面が多く、ちょっとスローペースに。全体的には興味深い社会問題の提示もあり面白かった。
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ノンストップで読めた。展開もドキドキさせられる物があった。自動運転車が衝突回避で乗客を守るか歩行者を守るかの2択を迫られたときのいわゆるトロッコ問題は実際に議論されているし、倫理の観点でも非常に難しい事柄なのでそこに深く着眼しうまく小説に落としこんでいるところがすごいなと感じた。プログラミングの知識や自動運転、AIに関する基礎知識がある情報系や機械系の学部生なら面白く読めると思う。おすすめです。