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言わずと知れた名作。「ズン」で有名で、超能力の強大さや凶暴さを可視化することなく初めて描いてみせた漫画。シンプルなPKの演出としては漫画界ではトップだと思う(余談だけど、映画界ではタルコフスキーの「ストーカー」が個人的にはトップ。ラストに登場する美少女のPKの演出はもはや芸術)。超能力を扱うのが子どもと老人だけというのもいい。具体的に何をしたいのかが見えてこないため、そこに恐ろしさが生まれる。
とはいえ、私が本作の特に好きなポイントは実は超能力要素ではなくて、団地の景色だったりする。団地なんてひどく日常的な空間なはずなのに、本作における団地はどこか不気味な空気が流れている。日常と非日常が背中合わせで存在しているような景色。例えば冒頭の非常口。団地の棟の間の遊歩道。各家庭の明かりがほのかに射す廊下。斜め上空から写した屋上。どこにも怪しげな魅力が詰まっていて、デヴィッド・リンチが監督しようと思ったのも頷ける(映画化なぜ頓挫したんだ……)。異世界の創造には必ずしもファンタジックな、あるいはSFチックな要素を持ちだす必要はなくて、日常のあるポイントに焦点を当てるだけでも現出するものなのだということが本作を読めばわかる。
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この作品に出会ったのは、小学生のころ。あまりのリアルな画のタッチに驚愕して片っ端から友達たちに勧めまくった思い出があります。しかも超能力もの。ずっと廃刊になってたのでこの復刊は嬉しい!
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大友克洋全集のうち、「童夢」を部分的にカラー化し、本人の解説と共に収録した巻。
後のマンガに多大な影響を与えた超名作「童夢」が、初回単行本刊行時(1983年)より大判で、かつ一部ではあるが、効果的にカラー化されていることで、新鮮、かつ迫力増で読めるのはうれしい限り。
また、著者本人の解説が当時のロケハン写真とともに掲載され、製作の経緯や、登場人物の命名の由来等々、初めて知る内容があったのも良かった。
「童夢」で初めて登場した、精神波攻撃を受けた相手を中心に壁が円形状にへこむという表現は、今のマンガでもあちこちで見ることがある。
おそらくサイコバトルシーンがあるマンガではデファクトスタンダードとなっている表現だと思うが、原点は本作のはず。
これ以外にも、大友作品は国内外を問わず、絵画、マンガ、映像等のクリエイターたちに、意識、無意識のうちに多大な影響を与えていると思うので、その観点からも全集で著者作品の全容を整理、かつ明らかにしてくれるのはすばらしい。
無事の全集刊行完結を切に願う次第。
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小学校で映画幻魔大戦を観てかなりの衝撃を受けた私にとって同郷の大友克洋さまは特別な存在です。この作品は漫画の概念を変えたと感じます。
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幽霊屋敷を舞台したホラーでは、“屋敷”というフィールドに足を踏み入れた人びとが悪霊のターゲットとなるが、本作の舞台となるのは、巨大な“団地”。そして、そこで暮らす人々が次々と謎の不審死を遂げる、というのが話の大筋となる。
場面の切り替え方や、回想を挟み込んでくる構成などに映像作品らしさを感じたが、巻末の著者の言葉によると、初めから映画を意識して話を単行本1冊分に収めたということだった。背景にあると思い込んでいた人物たちが前面に押し出され、それまでの前景と後景が入れ代わる瞬間が面白い。
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視点がカメラのようでまるで映画作品。
本作の描き方は一人称視点ではなく、かといって特
定の人物のドラマを描くわけでもない。
フィクションながらドキュメンタリー映像のようで、それがまた本作の不気味さを際立たせている。
登場人物もセリフもたくさん出てくるけど、物語の核心に触れるものはなくて、状況の異様さと不可解さと、それが日常の中にあるという事実しか伝えない。
子どもと、子どもにかえった老人の異能力により崩壊していく何の変哲もないように見えた団地。
怖かったー。
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おもろかった。雰囲気作りが上手い。
超能力者が目立つ話だが物語の骨格は怪奇もの。
ミクロからマクロになっていく物語の過程も器用で信頼できる。
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大友克洋の映画の空撮のような団地の絵や後半のバトルシーンの建物が崩壊するシーンなどの絵が見事。そのまま映像化できるような感じが漫画(絵)で表現されているのが素晴らしい。
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30年ぶりくらいの再読。
2歳下の弟が買ってきた単行本以来(パソコンがない家が多い時代、バイトして高校ですでにPCをゲット、ゲームをプログラムするなどしていた弟は『気分はもう戦争』『ハイウェイスター』なんかを買っていた。無口なオタク野郎であった)
やっぱりスゴイ。
マンモス団地、部屋、人物の細部!書き込み書き込み申す~
記憶にあるおおまかなストーリーやシーンとほぼ同じ、ということは初見でのインパクトが自分で思っているよりも相当大きかったのだろう。
ストーリー、作画、な~んにもいうことなし。
……あ、もっと大きな判型で刊行してほしい(A3とか)。
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芸術だなぁ
イノセンツを見てから、童夢がモチーフになってることを知って読んだ。
これアニメ映画化してほしい。
チョウさんの表情が非常に良いね、女の子にに心底ビビる感じ、そしてその顔が見開きで出たあのシーンをマスターワークスの表紙にする。良いね。
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まず、絵がうますぎる。
背景や人物の書き込みがわけわからないくらい細かい。アクションも迫力がある。見開きやベタを利用した画面やストーリー進行のメリハリが完璧。それゆえにサイコホラーとしての恐怖も煽られるし、じっとりと緊迫した雰囲気が嫌というほど伝わる。
ストーリーも今読んで全く色褪せない。絵やコマで語られるため、ページをめくったときの驚き、言葉にできない焦りや緊張が余計に響いてくる。絵やコマ割りの説得力ゆえに、そのスタイルでもページを捲る手が止まらないのがすごい。
最初から最後まで子どもだけが元気に遊んでいるのが、この作品で1番恐ろしい部分なのかもしれない。大人とは子どもを守れるものなのか、子どもとは無力な生き物なのか。肯定する人にはとても恐ろしい話だと思う。
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映画『イノセンツ』を観たので、久々に読んだ。
テレパシーとかサイコキネシスなどのバタ臭い超能力合戦を、土着的な団地内で済ませているのが秀逸。
けっこうグロいけど、老人が幼児退行しているため、「子供の喧嘩」に見える。
エッちゃん強すぎ。
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超能力ものは忍者マンガの系譜であるとは諸賢の宣ふ所だが、まさか本作のえっちゃんもさうだったとは(厳密にはアレなのだが)
身も蓋も衒ひもない老刑事と、彼の人生が揶揄されるのと、1980年代のよい子が憧れかつ幻滅するポケベルが、部品組み立てたら出来さうレヴェルで書かれるのは凄い
単行本で読んでるので、「雑誌掲載」の時はこれの「半分」てふ情報しかなかったが、これは具体的になんページからかが、うわぁ。
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自分が持っているのは1983年の第1刷。久々の再読。大友克洋というとAKIRAの方が知名度は高いけれど、漫画界?に与えた影響と衝撃は、童夢も同じくらい大きかったと思う。Wikipediaによると「1980年から1981年にかけて4回に分けて雑誌連載された後、1983年に単行本として発行された。」とある。AKIRAは1982年からヤングマガジンで連載が開始されている。時代背景や舞台には違いがあるが、サイキックバトルもの、という地続きの作品でもある。記憶ではAKIRAはもっと後の作品という印象があったが、当てにならないものだ。この作品は、漫画、アニメ好きだったら、死ぬまでに必ず読むべき。しかしチョウさんって何なんだろう?いまの時代だったらチョウさんのスピンオフ作品とか出そう。
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様々なコンテンツで素晴らしいSF作品が溢れる、現代に読んでもまったく色褪せていない衝撃。ジャンルはサイキックスリラーSFなのだが、画力と構図が圧巻。漫画でこれほどの迫力を出せる、大友克洋の画力の高さと設定力にビビる。日本の団地を舞台にすることで、不穏さに妙な現実味が出て、より鳥肌がたってしまう。一本の映画を観ているような、臨場感と重厚感に興奮した。
しがない1人のファンとしても、これを経てAKIRAが創られたのかと、想像するとゾクゾクする。