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何気なく手に取った一目惚れのような本だが、もの凄いものを読んだ感覚。
最初から惹きこまれ、途中はとても辛かった。
2度のクライマックスに嗚咽が止まらなかった。
胸を打たれる物凄い本だった。
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「中・高生の苦手な教科第1位は数学!」聞き覚えのある残念なフレーズです。
実は私、学生時代は数学が嫌いではありませんでした(自慢かよ!)。ズボラな私には、暗記事項が少なく、様々な考え方があって、時間をかけて解法を見出す数学に、パズル的な面白さを感じていたのかもしれません。
本書は、数学が好きな人・苦手な人へでも、自信をもっておすすめできる一冊です。
内容を端的に言うと「天才数学者の孤独・苦悩・葛藤」の恐ろしさと悲劇、「真理を追求する生き方」の崇高さを扱った物語ということになるでしょう。
数学者たちの物語ですが、描かれているのは、友情、恋愛、羨望、嫉妬、劣等感…。そして、一つのことをどこまでも追求するには、多少の何らかの犠牲が伴うこと。これらは誰もが経験しうる苦悩だと思います。
主人公の「問題を解くことに挫折はない」という言葉は、数学に限らず、様々な困難を抱える現代社会の打開策模索に、相通じる気がします。
こういう世界は分からないし、分かりたくもないという読者の方もいるでしょうが、私にはいたく響きました。年の瀬の足音がやってくる師走を目前にして、思わぬ掘り出し物に出会った感覚です。
天才数学者と言えば、東野圭吾さんの「容疑者Xの献身」や小川洋子さんの「博士の愛した数式」を思い浮かべますが、また違った感動をもらいました。
また興味の虫が騒ぎ出し、王城夕紀さんの「青の数学」、川添愛さんの「数の女王」も読んでみたくなってきました。
ヤバい! また積読本が貯まる!
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よかった。
瞭司は数学を追究するだけでなく、数学を通じて熊沢、佐那とつながりたかったのだろう。
けど、瞭司がアル中になるのはよくなかった。
自分は数学者に少し憧れがあるか。
特に純粋に数学を追究する瞭司のような人には。
その瞭司がアル中から命を落とすのはちょっと。
数学に入り込みすぎて別の世界に行ってしまうにしても、生きていて欲しかった。
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数学を居場所とし、孤独から仲間といることを覚えた後にまた孤独を感じていく。それぞれが成長したが故の寂しさが切なかった。
どれだけアルコールに溺れても、仲間がそれぞれの道を進んでも数学が好きで、数学を続けていたがその根底にある思いが数学を続けて論文を書けばあの頃みたいに仲間と議論を交わせるという思いだったのが苦しくなった。
彼にとって数学は話題であり、仲間と繋がりを感じるものだった。逆を言えばそれ以外を知らず、見つけられずだったのではないかと思う。
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涙…
ただ仲間と数学がしたかった。
瞭司は一生懸命だったんですね
数学のことは分からなかったけどとても魅力的なんだなぁ~と感心しました。
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下手に感想を述べたくないくらいに好きな本。
文体、内容、読んでいる時の心地と肌感覚……何から何まで至高です。是非、というか絶対に読んでほしい、としか言えないです。
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天賦の才に恵まれた数学者の栄光と挫折、そして彼を巡る周囲の葛藤を描く青春小説であり、真理の残酷さを説く人間ドラマ。文庫化に際し加筆修正が加えられたようだが、これがデビュー作とは到底思えない堂々とした仕上がり。ラストの展開は少々やり過ぎ感が否めないが、直感型の才覚に振り回され、周囲の変化に適合出来ない瞭司の生き辛さ。そして、嫉妬心と自己弁護から己の性分を受け入れられない熊沢の対比が絶妙。どちらにも感情移入出来るがゆえ、遣る瀬無さもひとしお。行き過ぎた天才にこそ、それを支える右腕的存在が必要不可欠なのだろう。
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間違いなく今年のベスト5に入る小説に出合った。最後はもう涙が止まらなかった。美しくて愚かで、純粋で、この物語に出合えたことを幸せに思う。
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理数系を避けてきた私にとって、登場人物に嫉妬を覚えつつ読み更けた。
ただ、アル中にて逝去という おきまりのパターンは、いただけない。
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電車で読んで失敗した。涙が…
数学は数学者だけのものじゃないし、数学者にもいろんなスタイルがあっていいんだなって思わせてくれる。
でも、多様であればあるからこそ、自分にとっての何かを見つける苦労や苦悩は深くなるんだろうな。
子孫を残すというかたちじゃなくても、
偉業を成し遂げるというかたちじゃなくても、
有名になって記録や記憶に残るというかたちじゃなくても、
人は永遠になれるんだろう。
蛇足。文庫版の表紙はもっと森のイメージに寄せてほしかったなぁ…
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面白かったし悲しかった 誰にも理解できない数学と誰からも理解してもらえない孤独と そしてなんといっても酒 数学の話も面白かったけど人物それぞれの心情、背景がしっかり書かれているので没入感があって良かった 同じ部屋でみてるような感じ 私も目の前の現実なんてどうでもいいくらい何かにハマってみたい人生だったよ 天才は1人で死んだけど、ずっと数学の世界で生き続けるんだなと思った
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数学の才に恵まれるが故に誰からも理解されない瞭司。大学の数学科で同じく特別推薦生である熊沢と佐那に出会い、彼らと友情を築きながら感性で数学の真理を追う瞭司は、その才能から周りとの関係を歪ませていく。
才能を持つからこそ周りの嫉妬や僻みにさらされ、次第に孤独になっていく様子が哀しいし、妬む側の気持ちの方がより理解できるからなおのこと辛い。
数学のせいでばらばらになった彼らだったが、結局数学で繋がっていたのだと気付いた時には涙が溢れた。
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天才的数覚をもった青年の生涯。
数学というものが苦手なため、物語中に出てくる理論などさっぱりわからないのだけれど、それでもなんて美しく熱いのだろう。同時に彼のその不器用さが、たまらなく、喉を締めつけるように苦しかった。
もしもの話をしても仕方がないし、あの過程を辿ったからこそ、それは証明されたのだろう。でも辛いね。
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天才が堕ちていく描写がとても辛かった。
天才は孤独になりやすいという話をどこかで聞いた覚えがあるけれど、まさにそんな話だった。
数学の知識はないけれど、十分に楽しめました。
ただ、最終的な結末が微妙に感じた。意外とあっさり終わってしまった…
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圧倒的な才能を持つがゆえの栄光と孤独、そして天才の周りの人間が抱える憧れと嫉妬を、様々な側面から描いた青春小説でした。これらを余すことなく描くことで、才能の異質さや残酷さも浮き彫りにされます。
物語は現在のパートと過去のパートが並行して進んでいきます。現在パートでは、亡くなった数学の天才、瞭司の遺した研究ノートをめぐっての物語。過去パートでは、その瞭司の大学時代のエピソードが語られます。
信頼できる仲間や恩師との出会い。自分の興味や情熱にしたがい、研究に没頭する日々。それは大学時代という一種のモラトリアムだからこそ、かなえられた幸福な時間。
そして突きつけられる現実と挫折。瞭司に対し、複雑な感情を抱き、それぞれの道へ進み出す仲間や恩師たち。その才能ゆえに瞭司は、数学から適切な距離を取ることができず、どん底へと墜ちていきます。
天才の内面描写は難しいと思うけれど、学生時代の仲間意識やワクワク、あるいは現実に突き当たっての挫折、というふうに、凡人である自分にも、共感しやすく書かれていて、入り込みやすかった。
一方で天才らしい発想や感性というものも、文中で繊細に描かれます。瞭司の専門分野は数学なのだけど、それが読んでいる自分に難しく感じられることもなく、逆に数学の美しさすらも感じさせます。
天才数学者を描いた話だと、東野圭吾さんの『容疑者Xの献身』や小川洋子さんの『博士の愛した数式』が、
大学生活ならでは青春の青さと苦さを描いた話では、森博嗣さんの『喜嶋先生の静かな世界』が思い浮かびます。
そうした作品とはまた違った角度から、天才が故の苦悩や挫折を、青春の一コマ一コマを、数学と人とのつながりを描ききった、素晴らしい一作だったと思います!