紙の本
数学者たちの思い
2022/05/07 23:45
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投稿者:キレイな富士山 - この投稿者のレビュー一覧を見る
各々の数学者たちの真剣な思いが、切々と描かれており、思わず時間を忘れて読み続けてしまうほど、魅力的な作品である。
紙の本
人を信頼すること
2023/10/25 14:58
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投稿者:再び本の虜に - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公の不器用な生き方が読むほどに切なくなってきてしまいました。だんだん周りにいた友人たちが去っていく。この作品を読んでいて、今の変化が激しい世の中で生きていく人たちへの問いかけみたいなものを感じました。
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暸司が辛すぎる。
数学者が皆、僚司みたいな人であるわけないし、むしろそういないタイプなんだろうけど、なんなく数学者ってこんな感じなのかなと思ってしまった。
熊沢の暸司に対する尊敬の気持ちも嫉ましい気持ちもわかる気がする。
きっと自分が熊沢でも、暸司に対して優しくすることは難しかっただろう。
暸司があーなった1番の原因は平賀のような気がする。平賀は暸司のような天才は嫌いなんだろなぁ、自分とは相反するみたい感じで。
平賀がもう少し違うタイプの教授だったら、結果は変わったんだろうなぁ。
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数学の天才瞭司。仲間と数学の理論について話すことの楽しさ、新たな発見をしたときの喜び。そういうものが瞭司の生きがいとなっている。だけれど次第に孤独になる。天才が見失ったものと持ち続けたもの。絶望と救いが同じ場所にあるような危うい生活の寂しさがどんどん迫ってくる。天才だから見れた景色と陥った深く暗い場所。そのどちらにも圧倒されてしまう。
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一気読み。天才の頭の中の感覚、周囲の人の心情、転落していく過程、すごくリアルだけど、同時にファンタスティックにも感じて読むのをやめられなくなった。この世界の真理を追求するあまりに世界から断絶していくという皮肉さを感じる。切ない、、
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第9回野生時代フロンティア文学賞受賞作。
『文身』で知った岩井圭司さんのデビュー作。
青春小説です。
数学の天才児、三ツ矢瞭司は特別推薦生として入った大学で同じ数学を学ぶ熊沢勇一や斎藤佐那という同級生と出逢い、論文を筆頭執筆者として発表し、一躍有名になり、すぐに学生から助教授になります。
しかし、熊沢は大学を離れ、佐那もSEの仕事に就き、瞭司は深い孤独に包まれ、数学にますますのめり込みます。
天才児ゆえの誰にも理解されない深い孤独です。
そして、孤独のうちに瞭司は自分の研究を書いたノートを遺して亡くなります。
ノートは熊沢に託されます。
熊沢は自分が瞭司を追いつめたと思っています。
熊沢は瞭司に言います。
「数学なんかやってなくたっていい。生きているだけでいいんだよ。全人類の何パーセントが数学で食ってると思う?瞭司の人生に数学がなくたって、ちゃんと生きているだけで立派なんだよ」
すごく淋しい救いのない話なのかと思っていたらラストで熊沢と佐那がちゃんと瞭司を救ってくれました。
数学の神様はいたのですね。
涙しました。
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表紙買いをして一気読み。
孤独の天才が、居場所を見つけ、失っていく様がとてもリアルで世界に引き込まれた。純粋な天才の視点と、努力家で人間らしい2人の視点が時間を超えて交互に出てくるのも構成としてよくある形ですが、この物語に引き込むのに効果的に感じた。美しい文章と、目に迫る景色に泣きそうになる。筆者の他の本も読んでみたい。
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非業の死を遂げた天才と、彼の遺志を継いで証明を完成させる秀才と、彼らの周りの人達とが関わり合いながらも時に離れ、時に響き合う美しい物語でした。
全編を通して描写力が素晴らしく高く、数学が門外漢の私でも集中して読み続けることができました。
終盤に差し込まれるかつての仲間たちと連れ立って歩くシーンで、死んだ彼ともう意思疎通をしたくてもできないことを実感したときに、彼が死んだことを理解したシーンでは思わずため息と共に本を一度閉じてしまいました。読者である私もその時に彼の死を実感したからかも知れません。
今まで多くの物語を読んできたわけではありませんが、間違いなく本作はこれまでのベストに入りますし、これからもベストであり続けると確信しています。
この作品に出会えて本当によかった。また何年か経って、改めて読んだときにどんな風に読めるだろうかと今から楽しみです。
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2月にして今年のベストワンになりそうなほど素晴らしい作品だった。2018年の作品らしいが岩井圭也さんの他の本も読んでみたくなった。
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有り余る才能を持つ三ツ矢の喜びと苦悩を軸として、その三ツ矢を理解してくれる大学の先生と、友人たちとの関わりが前半描かれていて、天才があるゆえに落ちていく三ツ矢の最後が描かれる後半。三ツ矢の才能と現実、そして相容れない考え方に苦悩する様は読んでいて想像するだけでつらい。
物語の構造としては、過去と現在が交互に進み、何が起きて今に至ったのかが丁寧に描かれる。物語終盤、過去の出来事を乗り越え、親友だった熊沢の起こした奇跡に泣けた。
作者の岩井さんは才能ある人物を描くのが上手いといつも思う。ドラマ化しても面白そう。
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第9回野生時代フロンティア文学賞受賞作。『夏の陰』で出会った岩井圭也、『文身』『水よ踊れ』『竜血の山』と追いかけてきてようやくデビュー作を読んだ。いやこれがデビュー作って、そりゃすごい。
岩井小説は人の心の暗いところ、ヒトとヒトの間に生まれるネガティブなもの、そして、「天才」といわれる人の異質さをまっすぐ突き続けるというイメージがあったのだけどなるほどデビュー作から全て芽生えていたわけだ。
数学、というものすごく身近でありながらものすごく複雑で遠い世界に愛されたヒトを静かに冷たく、そして深く描ききっている。
伊与原新で理系小説に目覚めた人たちには全力でおススメ。
簡単に一言で、圧倒的な「数覚」を持つが故の苦悩、と表現するにはあまりにも残酷で美しい世界。
凡人には想像もできない世界が見える彼らの、凡人には見える世界との折り合いの付け方の苦しさよ。
数学苦手、数字見ると頭が痛くなる、という純粋文系の自分にも見えた気がする美しい世界。
そしてラストの光。そう、世界は全てフラクタルでできているのだよ。
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お気に入りの作家の一人、岩井圭也さんのデビュー作である。文庫化にあたり加筆修正されたそうだ。
数学の天才少年の栄光と転落を描いた作品である。転落後に最大の功績を上げるのだが、問題は誰もそれを理解できなかったことで……。
うーん、もともと数学は苦手だし、年齢と共により一層錆びついたぼくの頭では、作中でなにを騒いでいるのかイマイチぴんとこなかった。でも数学要素は内容に密接に絡んでいるものの、それ以外は普遍的な真理なので問題はなかった。
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❇︎
永遠についての証明/岩井圭也
数学で突出した才能を持った三ツ矢瞭司は
数学が視える数覚をもつ。
興味の対象が数学だけで、友人もいなかった瞭司は、
小沼教授と出会い初めて同じように数学について
話し合える人がいたと知る。
小沼教授に誘われて大学に入った瞭司は
同じ数学好きの熊沢勇一と斎藤佐那と出会い、
初めて居場所と友達を得た。
ずば抜けた才能と感性を持つ瞭司だったが、
恩師が去ったことをきっかけに、友達とは
距離が生まれ一変していく。
絶対的才能と類い稀な数覚を持った瞭司は
孤独と数学への執着の中、若くして死んでしまう。
瞭司が残した遺品、ミツヤノートには
数学の歴史を覆す証明が残されていた。
瞭司の死に罪悪感を持つ、熊沢勇一が瞭司の
意志を解き明かせるのか。
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仕事の休み時間に読んでいて、休み時間が終わって本を閉じて仕事に戻る時、本の中にまだ思考が取り残されていて、現実の方がフィクションであるかのような感覚が久々にあった。
かけ足な過去とスローな現在の話が交互に繰り返され、だんだんとその距離が近づいて交わる、言葉で過去と現在の距離が縮んでいく構成がとても美しかった。
数学的な知識はないので、数学者が読んだらどうなのだろう??と気になったりもする。
辛い方向へ収束するのが分かっていたので、文字を追うのが辛い部分もあった。だが結末は不思議と悲壮感はなかった。過去と現在の後悔や焦燥感、機微に触れることのできる作品だった。
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数学者、数字を羅列するだけで1日はおろか気付いたら何日も…なんて話には聞くもファンタジーかと思っていた世界がここにあった。
それだけで世界が何層も広がった気がしている。読んで良かった。
ただ好き、を追求するのには暸司くんは天才すぎたのか。生き方って誰にも決められないはずなのにね。
アル中の辛い描写が胸に痛い。