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昆虫食のいろいろな論点について述べられている。
家畜化に適しているのは、①既存の大量飼育技術が確率されていること②淡白で食べやすいこと③高タンパク低脂肪であること。
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昆虫を食べる、というと、どんなイメージがあるだろう。
SDGs(持続可能な開発目標)の観点から、昆虫食が注目されるようになりつつあるが、さて市民権を得ているかというと、まだまだそこには至らない。
イナゴやハチの子など、一部の伝統食を除いて、多くの人にとって、昆虫を食べるのはかなりハードルが高いと思われる。
本書では、昆虫食の利点・問題点を洗い出し、将来の可能性を探る。適宜、表やグラフ等のデータも示され、真面目に昆虫食を論じて、非常におもしろい。
著者は応用昆虫学の研究者であり、昆虫食普及活動にも力を入れている。
第1章 昆虫と地球環境問題
第2章 昆虫食は普及するか
第3章 ヒトは昆虫を食べたか
第4章 食用昆虫のリスク
第5章 昆虫が食卓へやってくる
第6章 昆虫は痛みを感じるのか
第7章 昆虫食の未来
という構成。
昆虫は、動物性の食肉に匹敵するほどのタンパク質を含み、良質な脂質やビタミン・ミネラルも含む。ウシ・豚・ニワトリなどの家畜に比較して、飼育中の温室効果ガス排出量も少なく、土地使用面積や水・餌も少なくて済み、長期保管や成長管理も容易である。
食品の食べ残しを餌として使用することも可能で、飼育と同時にリサイクルという、一石二鳥の可能性もある。
アジア・アフリカ圏は、気候が昆虫飼育に適しており、伝統的昆虫食も残っていることから、実際、栄養改善に昆虫食を取り入れようとするプロジェクトも出てきている。
昆虫食といった時に、まず障害になりそうなのは見た目だろう。
著者は昆虫食のワークショップなどを開催し、集まった人を対象にアンケートを取ってきた。
イナゴの佃煮やカイコの燻製、ミルワームや糞茶など、いくつかの種類のものを用意する。見た目がイモムシのミルワームやカイコの蛹燻製はあまり評判がよくない。が、イナゴの佃煮などはおおむね高評価であった。
コオロギなどはあまり馴染みがないが、古くから食材としている地域も多く、イナゴと同程度に評価はよかった。
概して、サクサク・パリッとした食感に人気が集まり、むにゅっとした、クリーミーなものはあまり評価が高くなかった。
調理法の工夫次第では改善が望めるものもありそうだ。
古代の人々が昆虫食を食べていたかの考察もなかなかおもしろい。
昆虫は化石としては残りにくいが、人糞から検出されたり、土器に昆虫の圧痕が残っていたりといった例があり、ある程度食べてはいたようである。
ただ主食にするというよりは、漁や狩りに行った「ついで」に採取して食べるような形が多かったのではないかと著者は推測している。
今まで広く食用として用いられていなかったものを食べるとなると、注意しなければならない点もある。思わぬ毒性やアレルゲンの存在である。
昆虫は一般に不潔に思う人も多いが、それは育つ環境次第であり、昆虫自体は意外ときれい好きなのだそうである。
問題となるのは、細菌やウイルスの付着、そして昆虫体内の「毒」である。ハンミョウが持つカンタリジンなど���熱でも分解されない。また、毒性の高い植物を食べている昆虫はアルカロイドなどを体内に蓄積している可能性がある。
さらに、魚介類、特にエビ・カニなどのアレルギーのあるヒトは昆虫でも留意が必要と思われる。
いずれにしても、一般の食肉と異なり、今までに確立された規格がないため、試す場合にはまず少量からにすべきだろう。
実際に直接ヒトが摂取するだけでなく、家畜や養殖魚の餌とするといった形で、昆虫食は可能性を秘めている。参入してくる企業も多いが、ビジネス先行になりすぎないよう、適切な規制は必要となってくるだろう。
ちょっと驚いたのは第5章の昆虫の「福祉」。
家畜や魚に関しては「福祉」(なるべく苦痛や不快感を与えない)の考え方が普及しつつある。昆虫食が広まっていくのであれば、なるほどこのあたりの視点も必要になってくるのだろう。
さて、可能性はあるけれど、まだ若干ハードルが高いようにも思う昆虫食。これからどの程度広がるのだろうか?
自分は許容できるか、できないかを考えてみる一助にもなる。
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昆虫食の可能性
高タンパク、栄養バランス抜群、自然に低負荷、銃病原菌鉄の養殖に関する内容、これからの可能性
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読前は、昆虫を肉や魚の代替えとして、"食事"として食べるイメージが一切湧かなかった。
しかし、この本を読んで世界人口が生き延びる道は昆虫にあるのではないかと考えた。
いつか寿司のネタにコオロギやカイコなどがのる日が来るのかもしれない。
...その日がこないことを今は望んでいるが。
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●環境学生委員会推薦コメント●
現在、昆虫食の開発が進み昆虫食への注目が高まっています。本書は、注目の背景の1つである、地球環境問題による課題感に合致した昆虫の栄養価。また、アレルギーのリスクなど食材としての側面に触れています。さらに、昆虫食の歴史的背景や昆虫の福祉など多面的な視点から昆虫食に着目していて、昆虫食について新たな学びを得られる一冊です。昆虫食のもつ可能性やリスクなどに触れて昆虫と共存する未来をぜひ想像してみてください。
●農学部図書館の所蔵はこちらです●
https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BC12910962