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今日、イスラエル当局が拷問を実施したという話はあまり耳にしないが、これはイスラエルに拷問が存在しないという意味ではない。拷問は今でも行われている。しかし政府の拷問禁止委員会が述べるように拷問はかつてほど頻繁には行われていない。なぜならこの20年間にイスラエル治安当局の捜査手法が大きく変化したからだ。その最たる変化はサイバー監視技術の高度な利用だ。イスラエルがこの20年間で世界的な評価を得たのは、主にサイバー空間における国民の管理の分野だ。この分野においてイスラエルは経済、政治、外交の面で著しい成果を上げた。
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2023/10/7 に起きたハマスによるテロ攻撃の背景を理解すのに役に立った内容。昨今のイスラエル政府と軍によるパレスチナ人に対する人権侵害、武力弾圧、植民地化の行為はアパルトヘイトに値すると言われる所以がよく分かる取材内容。紛争を武力でしか解決出来ないという考え方を改めないと、この地域の紛争はいつまで経っても終わらないと、国際社会から圧力をかけ続ける必要がある。そしてトランプが大統領時代に取ったイスラエル右派よりの行為の代償は大きい。
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タイトルは「イスラエルとユダヤ人」ではなく、「イスラエル vs. ユダヤ人」。
イスラエルの社会が、いかに全体主義的、人種主義的に変質し、もはやナチス・ドイツ的なものになっているかということがよくわかる。
この変化は、これまでイスラエルを支持してきたユダヤ人にとっても望ましいものではなく、イスラエルにとっても望ましいものではなくなっている。
という感じの本。細かい記述はわからないというか、めんどくさい部分もあるが、説得力のある議論だと思う。
ただ、著者が主張するほど、アメリカのユダヤ人がイスラエルから離れようとしているかは、わからない感じ。
1960年代の初めにハンナ・アーレントがアイヒマン裁判について書き、イスラエルに対して批判的というか、皮肉まじりの本を出した時、彼女はユダヤ人の友人を全て失ったという。
それから50年くらいたって、ジュディス・バトラーが、イスラエルと距離を置いた時にも、ユダヤ人社会から相当のバッシングを受けたようで、まだまだユダヤ人とイスラエルとの関係はそこまで対立的になっているとは言えない気がする。
それは、選挙において、親イスラエルなスタンスを取らないと、当選できないという状況からしても、そうなんじゃないかと思う。(選挙に関係するほど、イスラエルを支持しているのは、ユダヤ人というより、キリスト教福音派のようだが。)