紙の本
藤巻先生のファンになる
2022/06/01 22:00
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投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
気象研究家藤巻教授と家族を中心に話が展開。
最初は藤巻先生と妻となるスミさんのお話。そして、先生の息子の話となり、やがて孫、ひ孫まで。
ちょっと引け目があったり、自信がなかったり、下を向いて生きていた人たちと、空を見てばかりいる藤巻先生との対比が効いています。
藤巻先生はあまりしゃべらない。最終話までほぼセリフはない物静かな人ですが、穏やかな人柄が全体を暖かく包んでいる感じで、読後は優しい気持ちになります。
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気象学を研究している藤巻博士。いつも空を見上げて気象の事ばかり考えている。そんな藤巻博士の家に家政婦として派遣されたスミ。変わり者の藤巻に驚くが、ある日空色の長靴をプレゼントされ…
藤巻博士とスミが結婚し、子供、孫と視点が移動していく連作短編集。
藤巻博士は全編通してブレないですね。
いつも空を見上げて天気を読む。ちょっと場を読む事は出来ないけれど、人柄的には穏やかな人でした。
息子も小さい頃はやんちゃだったけど、画家の道は判る気がしました。ただ、まさか不倫するとは夢にも思いませんでした。
そして、孫の成美もシングルマザーになっててこれまた驚きました。祖父の研究を継いでるのは嬉しかったです。
そして、あの空色の長靴が曾孫へと繋がっているのも感慨深かったです。
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「うさぎパン」「ぱりぱり」「左京区シリーズ」など、優しい世界観が心地いい瀧羽さんの新刊本
気象学者 藤巻博士の四世代の家族の歩みを、ノストラダムスの予言の頃からコロナ禍の現代にわたって楽しめました。
「ノストラダムス」「2000年問題」懐かしいなぁ。
時々「これは誰の視点?」となったり、同じ登場人物でも視点が変わることによって印象が変わったりした。
家族が好きなものに自然と興味がわいて、子どもだったり孫が好きになる。
世代を越えて気持ちが通じるものがあるって素敵。
物語自体に大きな起伏はないけど、次世代へと繋がっていく家族の歩みを感じられて温かな気持ちになりました。
ただ個人的には、他の作品と比べて少し物足りない気がしたかなぁという印象です。
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ポプラブッククラブの2月の配本でした、
発売前に読ませてもらいました。
装丁も、モチーフに気象マークが使われていて、オシャレ。
気象学の研究者と、それを取り巻く家族(4世代)の物語。
研究者って、研究以外のことには無頓着な人が多いけど、まさに。
同じ瀧羽さんの左京区シリーズのたっくんを思い出しました。
ずっと空をみていて、空以外に興味がない先生。
そんな先生に家族は振り回されます。
でも、この不器用さが、最初と最後につながるんです。素敵なプレゼントで。
「役に立つかどうかを基準にものを考えるのって、研究者としてどうなんだろう」
「人間も、他の生きものも、あるがままを受け入れるしかないんだって」
天気はコントロールできないけれど、知ることで備えはできる。
自然災害が増えてきた現代へのメッセージも込められていました。
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立春のお祝いにお赤飯とすき焼きを食べる藤巻家四代に関わる人達の連作短編集。気象学の研究をする博士からお手伝いのスミさんに贈られた長靴の行方が最後に知れて、時の流れを感じさせてくれた。家族で代々繋がれていく歴史のなかの出来事が細やかに描かれていた。
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確かに親子四世代の話なのだけれど何となく薄く感じてしまったのはなぜなんだろう。
家族の繋がりだとか愛だとかそういうものを期待して読んだからだろうか。
紡がれてきた一族の記録を淡々と眺めているような不思議な感じ。
でも最後の章だけは温かい気持ちになった。
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瀧羽さんのお話はいつも、全編通して、あったかさが伝わってくるところが嬉しいです
天気に夢中な博士が、すーっと静かに素敵なプレゼントを差し出す感じが好き
それは物だったり、言葉だったり、姿勢だったり…
決して押し付けがましくない
期待で重くなってない
それはプレゼントだったのか?
博士は、意図していなかったのか
自然に出てきただけなのか
???
どちらともとれそう
そんな博士の自然体なところに憧れます
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季節が移り変わるように、丁寧に紡がれていく連作短編小説。
そこには家族があり、一人ひとりの人生がある。
降ったり晴れたり、天候の変動のような心の動きが、日々の暮らしの種を育て未来へと繋げていく。
そよかぜに乗ってそれをそっと見守るような、優しい読書体験でした。
人生には、天気のように自分の力では変えることができないものに見舞われることがあるけれど、のちに光を得るならば、雨は虹の元となる。
種がこぼれ落ちるなら、雨は成長の糧となる。
きっと、天を見ても地を見ても、私たちには気づきがある。
天使の梯子のように、一筋の光が射すような物語です。
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博士の空色の長靴で始まり、青色の長靴で終わる。博士4代の家族の年代記。
どれも静かで優しい話だけれど、「1999年 夏至」だけは異質。心をざらりと撫でらるようなほんのり違和感が拭いきれない、もやもやが残る話。
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「わからないことだらけだよこの世界は、だからこそおもしろい(P72)」
天気の研究に生涯をささげた藤巻博士一家の4世代の歴史を描いた一冊(王様のブランチでも紹介されていた)。1958年~2022年までの60年の物語(全6話収録)で、全話藤巻博士視点かと思っていたがそうではなく、家族&周辺の人物視点で複雑な家族の生きざまが描かれる、中盤に賛否両論あるような話もあり…1話と最終話が微妙に繋がっているのがいい感じだった。瀧羽さんの作品が好きは人にオススメ。
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偏屈な気象学者から始まる一家4代を描いた短編集。
自由人の息子、祖父を継ぎ気象学者になった孫娘、ひ孫の出生の謎(明かされない)、彼らを繋ぐ弟子(息子の家庭教師であり孫娘の教授でもある)など、一家の歴史の奥行きと輪廻を感じられ、味わい深い。
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短編ではあるが
世代が変わり全て繋がっている物語。主人公が変わっていて、次はどんな人なんだろうかと考えながら読むのも面白い。また、世代が変わってゆくが、変わらずそこにいる博士もまた良い。
読後もほっこりする物語。
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年ごとに四世代が受け継がれていく、ゆったりとした時間が流れていく、天気を変えることはできない、あるがままを受け入れるしかないけど、台風などの災害に備えることはできる。風変わりな祖父は、自分の一生涯を天気の研究に捧げるのだろう、空を見上げて時には雨を浴びてメモを片手に‥
長靴とメモ帳のプレゼントが良かった
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本を読みながらそっと外を眺めてから空へと目向ける。
爽やかな風と眩い光が差し込んでいる今日は、空の雲の流れもゆるやかだ。
たしかに空は美しい。
雲の色もかたちも刻々と変わっていくのを眺めていると飽きることはないのだろう。
これは、気象の研究に生涯を捧げる藤巻博士の一家、四世代の歴史である。
家族の在り方を連作短編で綴っている。
二十四節気の決まりごとを代々、受け継いでいるのがとても素敵である。
ちょいちょい不倫やシングルマザーなどをぶっ込んでくるのだが、苦悩やドロドロ感などなく、気象と同様に諍うことなく、なるようになる…的な感じで流れていく。
この揺蕩うような感じがとても心地良い。
優しく流れていく雲のような物語だった。
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気象学者の藤巻博士を軸とする4世代の連作短編集。
表紙の色合い、タッチがイメージ通りで素敵。
それぞれの短編が深くリンクしているわけではないのだけど、二十四節気や天気のことなどでゆるーく繋がっているところがよかった。
故に、個人的には和也の章はいらなかったかも。