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2010~2018の短編集。
そういえば村田沙耶香って中編集は多く読んだが、ここまで細切れの短編集は初めて。
デビューが2003年、「コンビニ人間」芥川賞が2016年なので、作者と編集者の戦略として芥川賞を目標に中編を主戦場と見做していたんだろうな。
この短編集の意義は、短編そのものの切れ味も勿論だけど、中編や長編に発展する種まきの様子を読者に提示してくれたということなんだろうな。
または、中編いくつか+短編いくつか、で書籍を刊行してきたキャリアの、落穂拾い。
ということで、すでに中編で既視感のある題材が多数。
あえて一冊にまとめられた短編に共通点を見出すならば、食べること、というくらいか。
ナイスな要素はたっぷり。
いちいち笑ってしまう。
文庫版も単行本版もカバーイラストが美し禍々しくて素敵。
※単行本刊行は2019
■生命式 2013 ★ナイスカシューナッツ炒め。
■素敵な素材 2016
■素晴らしい食卓 2017 ★ナイス掻き乱す夫。
■夏の夜の口付け 2014
■二人家族 2015 ★ナイス百合、というと安易かもしれないが、タカハシマコに託したい。
■大きな星の時間 2016
■ポチ 2018
■魔法のからだ 2016 ★ナイス女の子ふたり。
■かぜのこいびと 2012
■パズル 2010 ★ナイス人を生命体としか見られない人。
■街を食べる 2009
■孵化 2018
◆解説 「正しさ」なんて、ぜんぶ噛み砕いてしまいたい 朝吹真理子
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地球星人も変だったけど,また村田先生が変なの書いてる・・・,という感じの掌編も含む短編集.
生命式なんて,焼き肉食べながら読むんじゃなかった.だけど山本さんおいしそう.
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村田沙耶香節炸裂、て感じではあるが、私はこの作家さんは長編の方が相性がいいかも…短編になると細かい深掘りが足りなくてただ不気味な後味だけが残って消化不良、、、
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たしかに危険すぎた。考えなくていいような事をこれから考えることになってしまった。でも俺がそれを望んだのだから仕方がない。それにしても村田さんはすごい。
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殺人出産と同じような短編集。
引き続き、ぶっとんだ世界観を提供してくれます。
しょっぱなの短編、「生命式」と「素敵な素材」はグロ苦手な人なら気分悪くなるレベルです。
その後の「素晴らしい食卓」も確かに!と納得の1作。
ただその後は腹オチまでいかない作品が続いたかな。「パズル」「孵化」はそこそこ面白かったですが、なんか「余命3000文字」に出てきそうな話が多いなぁ、という感想。
殺人出産といい、本作といい、作者さんは(いい意味も込めて)普通じゃないな、と改めて思いました。
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村田沙耶香さんの見えている世界。
人の内に秘めている部分、隠したい部分を切り裂いていくような圧倒的な激しさ。
今回は異常と認識される人間をたくさん描いているが、異常と正常は何が違うのか。
誰もが目を背ける部分を臆せずにぐりぐりとえぐるように描写していくのが、グロテスクな内容のはずなのに爽快である。
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カニバリズムの「生命式」から多重人格の「孵化」まで、常識が覆され、倫理観が崩壊しそうになる刺激的な話ばかり12編。「コンビニ人間」がたくさん出てきた。村田さんの頭の中って一体…。
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「クレイジー」「ぶっ飛んでる」などと形容される村田沙耶香さん。このことに同感する人たちは、私を含めて、自分の今もっている常識に基づいた感覚が、作品を読み進めるに連れ揺さぶられるため、むしろ蔑称などではなく、異次元世界へ誘ってくれる超個性作家としての形容でしょう。
本作は12篇の短篇から成っていますが、村田さんの他の小説同様、「常識」「当たり前」「普通」「正しさ」って何だろう、と考えさせられます。おそらく、作品を通じて人間の根源的な欲望や性の本質を突いているからかなと思います。作品の世界観に触れることで、「あなたの価値観、それでいいの?」と逆に問われているようです。
生きづらさを感じている人にも手を差し伸べてくれ、自分らしさを見つめ直し、前向きになれるヒントを与えてくれている気がします。
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彼ら(登場人物たち)のように、五感をフルに駆使して世界を味わっているだろうか?
スマホを置いて、視覚以外も使わないとな、と思わせてくれる作品集。
現実より少し過剰で少しズレているんだけど、村田さんの表現によって、すごくリアリティを感じさせる世界観になっているので、小説あまり読まない人でもとっつきやすいと思います。
なお、食事をしながら読むのはあまりおすすめしません。文章がリアル過ぎて味がわからなくなります。特に『生命式』。
好きなフレーズを引用します。
『生命式』p50
「だって、正常は発狂の一種でしょう? この世で唯一の、許される発狂を正常と呼ぶんだって、僕は思います。」
『素敵な素材』p67
「ナオキは人間を素材として活用することを、『残酷』だって言う。私は、素材として使ってあげずに、全部燃やしてしまうほうが、ずっと『残酷』だって思う。」
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村田沙耶香の小説ではすでに『コンビニ人間』は読了済み
今回の短編集もコンビニ人間のテーマと同じく主人公の価値観と世間の価値観のギャップがクローズアップされていると感じた。
「正常は発狂の一種」というフレーズは言い得て妙であり、常識だと思われている事柄でも人によって非常識に感じたり、時代によって常識が非常識、非常識が常識になったりと安定しない代物であるなあと収録されている短編を読みながら考えた。今、自分の価値観と世間の価値観が乖離していて生きづらいと感じている人が読めば勇気をもらえる作品が多く収録されているのではないだろうか。個人的には文句なしの星五である。
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世間の常識、価値観、死生観、倫理観。
どれも揺るがないもののようで、脆く暫時的なものに過ぎないことを筆者は全力で訴えかけてきていたように思う。
どの話も型にはまらないどころか読者の価値観ぶち壊しにくる程度にはしっかり狂っているのに、どこか魅力的で「文学史上最も危険な短編集」というキャッチフレーズに間違いはなかった。
以下、特に狂ってて気に入った話を紹介!
「生命式」
人口減少が進む中、新たな葬式として、故人を食べて精力をつけ、新しい命を育む「生命式」がスタンダードになった日本。
そんな世間の"当たり前"についていけない主人公。
"私は夢中で、山本を食べたり、台所から追加の山本を持って来たりと目まぐるしく動き回った。"
"山本って、カシューナッツと合うんですね。生きているうちは気が付かなかった"
シュールすぎるセリフが飛び交う割にオチが美しくて好き。
「素晴らしい食卓」
魔界都市ドゥンディラスの料理(という設定で作られたタンポポやドクダミをみかんジュースで煮たもの)
ハッピーフューチャーフードの高級レトルト食品(緑や青のフリーズドライキューブ)
芋虫やイナゴの甘露煮
プリングルズとマカダミアナッツチョコとコーラ
とかいう変わった食嗜好異種格闘技戦みたいな話。
でもみんな違って、みんな不味そうで、でも各自がそれでいいならよし!
こんなふざけたような話でありながら、多様性もそういうことでは?という真面目な気付きが得られたり得られなかったり。
そのうち、世にも奇妙な物語で映像化されるだろうと確信している。
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「信仰」を読んですぐに購入した1冊。村田沙耶香さんを欲しすぎている自分がいる。
表題作の「生命式」、収録作の「素敵な素材」「素晴らしい食卓」はそれこそ、ザ・村田沙耶香!って感じがしてめちゃくちゃ吸い込まれた。殺人出産を思い出すけど、私もはもう村田沙耶香に虜です。
村田さんの作品を読むと、世の中が俗に言う「普通」もみんなが信じているものも、(世間的に)その道を外れてる人から見るとおかしいんやろな、そもそも普通とか正しいなんてないんやろなあ〜と、色々考えさせられる。言葉に表すのめっちゃ難しいけど、自分の信じてることと周りの人が信じてることはほぼほぼ違うから、自分の押し売りはしたらあかんな〜という気持ち。私よくしちゃうから(TT)好きなものは好きっていうのが全面に出ちゃうから(TT)でもその感情を守れるのは自分だけやから大切にしたい。(収録作「魔法のからだ」より)
短編なのですごい読みやすかったのに満足感たっぷりでした。
収録作「かぜのこいびと」すごく綺麗やったなあ〜〜
1番好きというか分かる!ってなったのが、「孵化」ですね。私もよくその場に呼応しちゃう。「私」って?って思うことよくある。自分が思う「私」と周りの人から見た「私」って全然違うと思うし、〇〇は〜だからっていう決めつけ(?)イメージ(?)を壊したくない部分もある。あと、私も気付かずうちに周りの人をキャラ付けしちゃってる節ある。ということは、その人の違うキャラに出会えてないってことにもなる。
「私のいない場所には存在し続けるかもしれないその人に、私はもう一生会えないのだろう」
めっちゃ考えさせられるなあ〜〜
朝吹真理子さんの解説もすんごいよかった!!価値観がそれぞれずれてるとか、本能とか。ただ唯一よく分からなかった「ハチ」の解説がなくて( ´•ω•` )こんな感じ。誰か教えて( ´•ω•` )
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生活に絡んでくる禁忌を次々にひっくり返して本能すらも蜃気楼にしてしまう村田さん。
いつもの村田さんだ!とも思うし、コロナ禍の最初期頃を思い出したりもした。
いわゆる”人の道“がたった一人の人間の人生内で変わっていく。
メタモルフォーゼのどぎつい奇麗さが頭の中に何かを差し込んでくる。
表題作の初出が意外にかなり前。
「素晴らしい食卓」良かったなあ。すっきりしてて良い短編。
「街を食べる」は都会の隙間から雑草を見い出して食べるだけの話(村田沙耶香版 植物図鑑)なのになんでこんなに怖く書けるのか分かんなくて凄いし
「孵化」も不意打ちの切なさが凄かった。
「素敵な素材」は人間椅子。
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村田沙耶香さんの餌食になっていなかった題材がまだあったのか!まだそれがあったか!その常識を疑うのか!をぎっしり12本詰め込んだ小説集です。
小説は、主人公の出会う出来事も思考も全て追体験できるものだと思います。だから、村田沙耶香さんの著書はいつも危険な感じがします。
生命式に収録されている中で極端なお話だと表題の生命式やポチ、孵化、その他文庫本でも地球星人や殺人出産、タダイマトビラなど。さすがに、さすがに小説中の世界線を肯定とか、賛成とか、素敵だとかはならないです。が、小説を読んでその世界線に入っていると、「あれ?全部じゃ無いけどその言い分は判るな」とか「一部合理的な側面も確かにあるよな」とか、「もしかしてそういう考えに100年後なっててもおかしくないかもな」と思えてきてしまうのです。
素敵な素材の作中の言葉を借りるなら、『わからなくなってしまったんだ。「残酷」という言葉も、「感動」という言葉も、今朝まで確信があって使っていたのに、今は、どうしようもなく、根拠がないんだ』というように。自分の育ってきた世界の、絶対的ボーダーラインの裏側に回ってみたら今までと同じに見えて、面裏の違いがわからなくなったみたいな。
だからといって、この世界で殺人しようとか人肉を食べようとかはもちろん思いません。
♢
周囲に村田沙耶香さんの著書をお勧めしてみたいなとか、好きな作家さんとして挙げたいなという気持ちと、いやでも変わったお話が好きなんだね‥と言われたりしたら違う!そうだけど違う!ってなるし。どんなお話し書いてる人?って聞かれてあらすじを言ったら引かれる率の方が高いし(読めば!追体験ができるから自分の感想が持てるかもしれないけど‥!)。面接ではやっぱり、村田沙耶香より夏目漱石を好きな作家に挙げる方がいいんだろうなあ、と思ったり。くそう。
対面でいつか村田沙耶香さんの読者にお会いできたらぜひともお話ししてみたいな〜どう思う?って。
♢
私たちの根底の認識をひっくり返す村田沙耶香ワールドはきっちりありつつ、表現や着地がマイルドで登場人物たちの言い分もわからんこともないな‥というところが多かったりするので、村田沙耶香ビギナーの方にお薦めするのにちょうど良い一冊だと思います!
お話の一つ一つも短いし!
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村田紗耶香さんらしい作品。
短編と思わずに読んでいたので、超短編もありビックリ。
満足させて頂きました。