紙の本
現実の日本の姿かな
2022/07/07 08:25
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投稿者:のりちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
新型コロナ感染に名を借りてはいるが、中身は今の日本の格差社会を表している小説と私は受け取った。「自己責任」という謂わば政権担当能力を放棄するようなことがまた声高に言われているのも特徴の一つである。
いつもながら作者の最下層民を描く素朴な姿勢に打たれる。
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文庫書き下ろし。
まさか、赤松作品に悪と対峙するヒーローが登場するとは・・・!
とは言っても、45歳で彼女いない歴45年、定職無し、マンガ喫茶住まいの冴えない男なのだが・・・
今作は、氏の作品に期待する、キモチ悪い・狂気的な・読むのが嫌になるような、ドンヨリ暗い世界観、
からは遠のいてしまった作品でした。(個人的感想)
たまには良いか?!と思いながら次作に期待。
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致死率の強いウイルス「東京株」の感染拡大を食い止めるため、都民を疎開させる「逆ロックダウン」をした後の残された社会的弱者のサバイバル小説。
作者の反政府的思想が所々に盛り込まれており、国政与党、パソナや電通への怒りが感じられます。ネットに毒された高齢者ってやばいね。
さて、取り残された主人公たちは住み着いたネットカフェを拠点にホームレスと共同生活して食料を盗みながら生活するのだが、不思議なまでに治安が良い。警察や自衛隊が駐留している記述はないので、北斗の拳のようなモヒカン野郎が幅を利かせる状況にも関わらず、明確な殺人は浅草寺の周辺程度。
その浅草寺でも人肉を食べている記述があったが、こちらはむしろ食料事情としてはありえるのではないかと。年単位で閉じ込められ、配給もない万単位の人間が、たとえ分散して生活していても食べられる食料は足りるとは考えにくい。
まあそもそも分散疎開させ、感染者をばら蒔くこと自体が意味不明なんだが。
道路だらけの東京の封鎖なんて現実的じゃないし、四国に通じる橋を破壊して棄民したほうがよかったのでは?
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おそらく、ほぼ人が居なくなって封鎖された東京を描きたかったんだろうけど、東京が逆ロックダウンされる過程がぼんやりしていて、まるでリアリティがない。あと一応コロナ小説として書いてるけど、物語的にコロナである必要がない。
あと主人公にまったく感情移入できないのも、読んでてつらいかな。これはまぁ、とりあえず時事ネタで見たいな感じしかないね。そもそも東京を捨てるほど追い詰められたら、都民は東京から出さないんじゃないかな。
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この方のほかの作品を読んでいたので、主人公が死んだり悪い感じになったりするではないかと・・・はらはらしながら読んだ。
イッペイよかったね。
有事が過ぎれば、日常が帰ってくる。
日常は視野を狭め、問題を見ないことにして平安をめざす。
どの立場にあってもそう。そんな中でタハラの今後に期待を感じた。
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著者初の文庫書下ろし。
コロナ禍が続く日本、オミクロン株の次に流行したのは致死率が高い”東京株”だった。
政府は県外移動ではなく、全東京都民を疎開させる措置をとった。
「東京逆ロックダウン」と呼ばれる強硬政策により、東京はもぬけの殻となった。
しかし、その枠から漏れる人間も存在した。
イサムはコロナ禍の中で勤めていた調理器具商社が倒産し、フリーターを続けながらネットカフェ難民を続ける40代半ばの中年だ。
ある日、突然にネットカフェにいた客どころか、店員もいないこと気が付く。
ツイッターで東京逆ロックダウンが起きることは知っていたが、住民票もない自分のところには連絡が届くわけもなかった。
同じくネットカフェに取り残されていたら20代半ばのフリーターの女性、ヒカルも東京に取り残された同じ状況で、宮崎から東京の彼氏のところへ来たが会えずに東京逆ロックダウンに巻き込まれたという。
政府は、東京の機能が戻るのは早くても3年間だと発表した。
ネットカフェの外では略奪が起きていたり、取り残された者同士のコミューンが発生しているようだ。
果たして無法地帯と化した東京で生き残ることができるのか。
バブル期に社長だったが、会社倒産後は原発作業員、フリーターをしながらネットカフェ難民を経験して住所不定無職でデビューした著者の経験から、ホームレスとして生きている人たちの描写には現実味がある。
と同時に、その経験から政府や経済団体に対する痛烈な批判、特に淡路島に本社を置く人材派遣会社に批判が向けられている。
内容としては、ラストに物足りなさを感じた。
そしていつも通り、主人公は頭がよくないのに自意識は高い性格なのだが、今回はラストで破滅せず。
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赤松流異世界転生サバイバル譚。主人公が生きるのは今よりもえげつないコロナが蔓延し、現実よりもきびきび動く政府が東京を隔離する異世界。ダークな連載漫画原作としてもいけそうなページターナー。一気に読了。登場するキャラクターたちが、赤松先生過去作に登場する連中の転生っぽいのも一種のファン・サービスだろう。
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心がザワザワする。
何故かというと今、またコロナの波が押し寄せてきているから…。
収束したのか、したのか…いやまた感染拡大しているではないかの状態で…。
この物語は、コロナの影響で勤務先を解雇され、マンガ喫茶暮らしとなった中年男性の行く末である。
何度目かの感染爆発が起き、その都度ウイルスの名前も変わり、「東京株」という新しい株が発生。
ついに東京逆ロックダウンという措置を政府が発表する。
東京エリアに関して感染者数の増加が急激過ぎて、東京エリアの都民、市民を他の地域に移動、分散させる対策である。
だが、マンガ喫茶にいた中年男性やホームレスやその避難計画から取り残された人たちが、どのようにしていたのか…。
ひとりになった時、まず何を思い行動するのか、誰と行動するのか、信頼できる人を見抜けるのか、最後まで諦めないのか、
いろんなことを考えてしまった。
現実、この夏はどうなるのか…
人々は動いている。
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女性作家さんが続いて、久しぶりに赤松さんが読みたくなった。(軽めなやつ)
とても面白くてあっという間に読んでしまった。
東京株という強悪な新型コロナウィルスが蔓延し、東京から人が他県へ避難するという話。そして、その東京に取り残された人達の物語。
主人公の男性が普通の人であるのが良かった。いかにも小説の中の人物というのでなく、良いところも良くないところもある、リアルな人間なのがいい。さすが赤松さんだなぁと思う。
小説だからこそという部分とリアルな部分のバランスが良くて、読みやすかった。