紙の本
青春小説短編集
2022/08/09 00:56
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投稿者:S910 - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者の15周年を記念して出された表題作含む5つの短編を集めた短編集。
著者のデビュー作が好きで、その後も電撃文庫で発表されていったファンタジー作品を読んだが、メディアワークス文庫で出た「ガーデンロスト」が合わなく感じたのを思い出した。
デビュー作の児童文学のような雰囲気が好きだったのだとこれを読んで気付いた。
児童文学寄りだった作品から、いつのまにか現代文学作品を描かれるようになったのだな、と。
少女たちの青春文学は私には少し眩しすぎる。
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紅玉いづきさんの全5話構成の少女+αの短編集。
「15秒のターン」:前後半15秒の高校生カップルの心の機微。悩んで迷って、踏ん切りつけて次に進む。感情の疾走感が心地良かった。
「2Bの黒髪」:浪人生そのものを見事にまとめた話。やりたくないけどやらなきゃ、でも息抜きしなきゃ頑張れない。それが人からしたらはなんの価値がなくてもそれで自分は救われる。
「戦場にも朝は来る」:共依存、1人が覚めれば一人きり。覚めた方の罪悪感、残されたものの孤独感。
「この列車は楽園ゆき」:リアル中二病少女とそれを危惧する少年。頭にそれぞれが浮かぶならそれはもう恋だと思う。
「15年目の遠回り」:妹が15秒で決着をつけ、姉は15年という月日をかける時間差の対比。気づくのにかかった時間が人によってこんなに違う。
紅玉いづきさんが書く少女たちに共感して涙していた私。今ではリアル中二病が多いと感じてしまう程度に年をとった。それが良いことなのか悪いことかは分からないが、読み終わった後のあの純粋な気持ちがなくなったのは寂しいと感じる。
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少女たちの恋や恋に似たまた別の感情を切り取り、その時代にしか感じ取れない感情をつぶさに見せてくれる小説集。全5作が描かれ、『この列車は楽園ゆき』『15年目の遠回り』は書き下ろしという、紅玉ファンには嬉しい仕様。
瑞々しさがいっぱいでこうやって全力で自分の気持ちと向き合うことってとても貴重で、大人になると心が鈍化していき、感受性はすり減るものだから、こうした作品を通じて、過去の自分の気持ちにアクセスするしかなくなる。
大人になるって、失い続けることだ。
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「この列車は楽園ゆき」でボロ泣きしてしまった。紅玉さんの書く、恋とか愛がとても素敵で好きだなぁと改めて思った。
どの話もそれぞれ楽しかった。
今後も描かれる紅玉さんの本が楽しみである
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表題作と二作目が合わなくて、紅玉いづきの文体と瑞々しい話はもう合わなくなってしまったのかとちょっとショックを受けていたけど、ブクログの感想を読んで何とか持ちこたえた。ら三作目から徐々に面白くなり四、五で最高潮を迎えてフィニッシュ。
「戦場にも朝が来る」ソシャゲはまったことないけど恐ろしい話だなと思った。この話の文体は好き。二人ぼっちの孤独が伝わって胸がキュウってなる。
でもこの短編集がこの話で終わってたら、凡庸な作品として終わってたけど、後半2作の破壊力!書下ろしなんだ。それなら今の紅玉いづきが合うってことだ。よかった。
「この列車は楽園行き」
あーーーよいよい!この恋だの愛だの欲だの嫉妬だのない関係が大好きでたまらないんだ!あまりにもおもろくて一気読みした。茜子さんよ幸せになれ。
「15年目の遠回り」
うん、好き。オチも好き。これから幸せになるんだよひばりさん。締めとして完璧な話では?
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作者がデビューしてから15周年ということは、自分も読者15年目ということか…と考えながら読みました。
最初に読んだのがそれこそミミズクだったので、自分もずいぶん大人になったなーと思い、書かれている少女少年たちともずいぶん年が離れてしまって、あの年代のキラキラした痛々しい感情には共感ができなくなっていて、悲しいというか拍子抜けしてしまった。
それでも作者の愛とも恋とも形容しがたい感情の描写はとても好きで、「この列車は楽園ゆき」は心に残った。
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紅玉いづきデビュー15周年記念・3ヶ月連続刊行【第3弾】
そこにはきっと、あなたを救う「ターン」がある。
「梶くんとは別れようと思う」学園祭の真っ最中、別れを告げようとしている橘ほたると、呼び出された梶くん。彼女と彼の視点が交差する恋の最後の15秒(「15秒のターン」)。
ソシャゲという名の虚無にお金も時間も全てを投じた、チョコとあめめ。1LDKアパートで築いた女二人の確かな絆(「戦場にも朝が来る」)。
大切なものを諦めて手放しそうになる時、自分史上最高の「ターン」を決める彼女達の鮮烈で切実な3編と、書き下ろし「この列車は楽園ゆき」「15年目の遠回り」2編収録。
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全部一気に読んで、オマケのwebのも読んで、読み終わった瞬間、ああ紅玉さんだ、と思った。
どの話も胸がギュッとする瞬間があって、じんわり涙が出た。
この列車は楽園ゆき、が一番沁み込む話だったなと思う。大事にしなよと言われ続けて、よかったなと思った。
ミミズクが出た当初に買って読んで救われて、それ以来で一番鮮烈に感じる話だったなと思った。今の自分の環境を重ねただけというのはあるけれど。
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全ての短編が間違いなく面白い。短編集として最高の出来。
特に『戦場にも朝がくる』が一押し。言葉にできないくらい面白い。
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やはり現代ものよりファンタジーで良さが際立つ作家だなあと思ってしまったな。
純粋で、ゆえに苛烈。みたいな。現代では少し現実味を欠くように感じてしまう。
久々に紅玉いづきの文章に触れられて嬉しかったけれども。
あと角川はまじで校閲校正ちゃんとしてくれ。好きな作家だから買うけど最近角川ってだけて誤字脱字諸々警戒してちょっと買う気萎えるくらいだから。
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ランキングボーナスのために走っていたソシャカスだったことがあるので、あまりにも胸に痛かった。ランキングが近い人間の生活を把握し始めるんだよね、本当に。虚無でもいい、誰かとつながっていたい、その道具としてのソシャゲがリアルだった。
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短編集5編
瑞々しく悩み多い青春時代。みんなキラキラしていて良かったけれど、1番好きなのは「この列車は楽園ゆき」
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『戦場にも朝が来る』が一番好き。たかがソシャゲのランキングイベントで一位を取る、そのために課金する、っていう、傍から見たら馬鹿丸出しの話。作中ですら、世界で一番空虚で馬鹿な戦争と表されていて、その気持ちはよくよく理解できるのだけれど、チョコの『せっかく、あなたが一番をくれたのに』の一言でやられてしまった。例え部外者から見てしょうもない、些細なことだったとしても、そこに意味が在ってしまうのが人々の感情だし、文学だよなと、なんか負けた気分になった。最後まで息が苦しくなるような、いい一本だった。
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うーん、私には短編集より長編の方が合うかもしれない。これはこれですごく面白かったけど、長編の方が好きだと短編集は物足りないかも?
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紅玉いづきさんの「15秒のターン」、これはフアンタジーじゃなくて現代が舞台の短編集なのだけれど、なんというか私たちが普段なんとも思わないような気持ちや感覚や思い出を掬って大事に物語にしていると思った。
1番好きなのは「戦場にも朝が来る」っていう女の子同士の絆のお話でした。