紙の本
コンバージョン2.0とは何だ
2022/07/07 21:07
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投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
20世紀末から現代に至る間に、科学分野は進歩しているが、それが今後どのように発展していくかはいつも、気になっている。本書は、MITの学長が著作者だが、生物学と工学との集約コンバージョンが、人類の直面する問題を解決するテクノロジーを生み出していることを紹介している。ウィルスによりつくられるバッテリー、タンパク質ベースの水フィルター、がんの検出と治療に役立つナノ粒子、脳によって駆動される義肢、など、フィクションではないかと思うような技術が現実化している。投資すべきは基礎研究そしてハードテックであろう。
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生物学における二大革命 分子生物学とゲノミクス
20世紀 MIT「物理学+工学」 21世紀 →「生物学+工学」
生物学的に構築された電子回路 アンジェラ・ベルチャー
アワビの殻=海洋のカルシウム+炭酸=炭サンカルシウムの規則正しい結晶
+タンパク質繊維でモルタルのように接着 有害物質無し
元素をウィルスに集めさせて電子機器(バッテリー)を作る
ウイルス 宿主細胞の複製機構を乗っ取る
タンパク質の水フィルター ピーター・アグレ
水だけを透過させるアクアポリン 水専用のチャネル
汚染水から水だけを浸透させる
ナノ粒子 サンギータ・バティア
造影剤や薬剤
標的組織でのみクラスターを形成して造影し、細部へ届くナノ粒子
+合成バイオマーカー:酵素で切断するシールド+蛍光マーカー
がんの酵素でのみシールドを外す
切断された傾向タグが尿に 尿検査で癌診断
ジェノタイピング(遺伝子型決定)と 高速フェノタイピング(表現型計測)
植物栽培ハウスで変異株の反応を様々な試験で実施、様々なカメラで撮影
米国政府のR&D投資GDPの1%(1960年代の半分)+民間1%で補う
日本3%以上 中国2% 韓国 イスラエル4%
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(極めておもしろい!)
人類はさまざまな大きな問題に直面している。これを解決することがなければ人類の存続が危ぶまれる。
人口爆発2050年までに95億人にまで増える。
エネルギー不足、水不足、医療不足、食料不足などが差し迫っている。
これらを解決する決め手となる科学・テクノロジーの例としえ5つを紹介している。これらは既に実用に入りつつあるものである。
決めては研究(学問)分野の壁を乗り越えた「コンバージェンス」にあるとする。現在はその2.0が進行しつつある。
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かつて物理学と工学の融合によって新たな技術開発が爆発的に発展したように、生物学と工学の融合を「コンバージェンス2.0」と位置付け、それがもたらすイノベーションの最新事例を解説した一冊。
著者は、物理学における電子や原子といった物質世界の挙動を生み出す要素の「部品リスト」の発見と、工学的知識が「コンバージェンス」することで、今日のエレクトロニクス業界につながる技術革新が生み出されたように、生物学におけるDNA構造の発見やゲノミクスが、生物学世界の「部品リスト」として工学と結びつくことで「コンバージェンス2.0」が起こりつつあり、その具体例として、特定の物質が付着するようDNAを変異させたウィルスを利用した、有害廃棄物を生むことなく生産できるバッテリー、水分子だけを透過する機能を持ったタンパク質を活用したフィルター、がん細胞が持つ酵素によって切断される性質を持ったタンパク質が可能にする簡易な尿検査によるがん検査、脳や脊髄と直結させることで本人の意志により動かせる義肢、植物の遺伝学的特性がどのような形質(表現型)につながるのかを高速で解析することで遺伝子組み換えを効率化する「高速フェノタイピング」を紹介する。
イノベーションは学際的領域で起こりやすいということが改めて確認できるとともに、反対論も根強い遺伝子組み換え技術も含め、紹介される事例に登場する研究者たちが皆、純粋に社会的問題を解決したいという使命感と、科学に対する好奇心と探究心によって未開の領域を開拓しているのだという気概と確信に満ちている様子が、自身も研究者で「コンバージェンス」の実践者でもある著者の目線からリアルに語られるのが興味深い。技術的な詳細は理解できない素人でも十分に楽しめる「生命機械」の入門書となっている。
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https://ameblo.jp/w92-3/entry-12763746921.html