紙の本
言語学に魅了された著者による、言語学の魅力が詰まった一冊。
2022/09/26 01:25
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゲイリーゲイリー - この投稿者のレビュー一覧を見る
私たちが普段何気なく使っている言葉。
あまりにも当たり前に使っているが故に意識してこなかった言葉の法則や成り立ちを、素人にも分かりやすく解説している。
「ドラクエ」、「ポケモン」といったコンテンツを例に言語学のあれやこれを軽妙洒脱な文体で解説してくれているため、非常にすんなりと理解できるのだ。
まさに言語学入門にうってつけの一冊。
また言語学に留まらず、言語学者とはどういう活動をしているのかといった裏側や、日常生活において引っかかる言語の使用方法など、言語学者である著者だからこそ書くことができる内容が盛り沢山。
そして何より言語学者として、言語学を活用して世のため人のために役に立とうとする著者の姿勢には感銘を受けずにいられない。
言語学をどこまでも愛する著者の、多くの人々に言語学の魅力を知って欲しいという願いは本作のおかげで叶えられるだろう。
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小学生の時から翻訳家になりたかったり、センター試験の勉強で発音記号の面白さに気付いてしまい「言語」にはたぶんずっと興味はあった。
大学では「純ジャパ」ながら言語学のゼミに入り、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)を学び、スペイン語もど初心者だったのにバスク語の研究を齧った。そして難しすぎてほんとに齧って終わった。(ごめんなさい)
でも、言葉は面白いと思っている。社会人になって、仕事の都合上、中国語を学ぶ機会があったのがとても面白かった。が、頭でわかっていても思った通りの発音が出来ない言語だった。同じ漢字なのに英語より難しいのなんで…と泣いた。
初めて韓国に降り立ったのは仁川空港でのトランジット。なぜ、隣の国の言葉なのに全く分からないのか驚いた。(欧州に行けば仏だろうと西だろうとアルファベットで単語も似ていてなんとなく分かる)
そして数年前からK-Pop界に足を踏み入れ、ハングルを勉強してみようかな(の状態が3年超続いている)となったんだけど、古に学んだ発音記号の知識はめちゃくちゃ役立っている。
と、前置きが長くなったけれど。
何故この本を読みたいリストに入れていたのかは分からない。どこで出会ったのか。
ナムペン(BTSのRMのファンのこと)、ラプラペン(BTSのラップメンバーのファンのこと)を拗らせすぎて、ラップの研究をしようと思っていたのか。
実態として世界の共通語となっている英語を母語としない私たちは、母語と英語をミックスして使うことが当たり前になっていて、似た発音、異なる発音をうまく使い分けている。それは韓国も同じ。
東方神起やBIGBANGからK-popは聴いていたがバンタンに出会い歌詞の哲学性やラップの面白さにドツボにハマった。沼である、沼。初見でカッコイイ。(怒られるかもだけどビジュがというよりはオーラがカッケー!という感じ)気になるから歌詞の和訳を調べると、え、めちゃくちゃ深い。哲学的。政治的。社会的。
そして韓国語のオトの面白さ。韻の面白さ。日本語ともラテン語源とも違う独特の音。日本語と共通の単語や発音。悲しい歴史も含めて、あらためて言語に興味を持った。
奇しくも私も幼児の成長も近くで見ている。言葉を学ぶ過程。家で使わない乱暴な言葉(ため息)にいつの間にか直っていた言い間違い。(ピリリ=テレビ等)いつの間にか彼の頭に装備された平仮名やカタカナという文字。発音。教えていないのに音の持つイメージ。(自作恐竜の名前になぜ濁音がたくさん入るのか、とかね)
なんとなく、肌で感じていた音のもつイメージを言語学なんだけど身近な事例や90年代を生きた世代に嬉しいアーティスト(zeebraとか)を用いて分かりやすく解説してくれる、興味深い一冊でした。
「言葉」を持つ唯一の生物としてのミステリーを
「人間「 × ×のせい」って思いがちだけど、ラップはそんな思いを「 × ×のおかげ」に変える力を持っている」このフレーズは私がラップを好きな理由を纏めてくれている気がする。そう、ラップはその人の人生そのもの。
ぜひBTSのリリックの巧妙さを著者には見て、分析頂きたいと思った。
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本書といい川添愛さんといい
一般向け教養書が面白くなければ言語学者じゃない
という変な誤解を生みそう
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ブクログで可愛い表紙と言語学という面白そうな内容に惹かれて購入。
身の回りにある固有名詞から感じる印象と、発声するときの口の動きや音の法則性が関係していることが面白かった。
それを分析するためにメイド喫茶に通ったりラッパーの人と話したり、ポケモン名やドラクエの呪文を分析したり、いろんな分野の中にある言語を観察していくので分かりやすかった。
運動不足から始めたヨガのなかで呼吸と言語につながりがあると発見するのも、普段からアンテナ張るってこういうことなんだな〜と感心したし楽しそうなので真似したいと思った。
メイド喫茶行ってみたい。
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言語学者、川原繁人の言語学の入門書というかエッセイ?
言語学というと世代的にソシュールやチョムスキーが思い浮かぶのだが、著者である川原繁人は言語学でも専門は音声学や音韻論で内容もそちらに寄ったもの。プリキュアやポケモン、あるいはメイド喫茶のメイドの名前や日本語ラップなどキャッチーな題材を判りやすく言語学的な問題として読み解いていく。
考えてみれば当たり前だが多くの言語は発話される以上、人間の口や舌、喉などの身体的な構造上の制約を受けざるを得ないのだな。
他の本も読みたくなった。
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「あ」は「い」より大きいを書いた方の最新刊。
自身や家族への思いもあり、言語学の興味がそそられる話が満載。また読もう。
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ずっと読みたいとは思っていて、
図書館で見つけて即借り。
想像以上におもしろかった!
最後あんなに泣かされるとは思わなかった!!
世界中で数多くの研究者が、自分の研究分野をどう社会に活かすか、悩んだり、奔走したりする姿が、川原先生のお仕事を通して初めて具体的に知ることができた。
研究者という職に就く人たちへの印象も大きく変わった。
川原先生が、本当に言語学が好きで、若い人にもわかりやすく伝えたい、学問が楽しいと感じてほしいと思っていて、自分の研究にも誇りを持って臨まれている。そんな様子が文字からひしひしと伝わってくる。
ものづくりでもエンタメでも、あらゆる分野に共通するけど、そんな人たちを見ると心が浄化されるようで気持ちがいいし、自分もそうなりたいと意欲が湧いてくる。
先生は特に、偉い先生なのに偉そうじゃなくて(笑)、実績をみると(研究とか学問とかぜんぜん深く知らないけど)言語学の世界では雲の上のような存在なんだろうな〜というのがわかる。
でも大学生に講義したり、入門としての易しい本を執筆したりしてくれるあたり、私たちの目線まで階段を降りてきてくれるような、そんなありがたい存在だな〜とも思う。
まさに私みたいな、言語学に興味はあるけど難しそうでとっつきにくいな〜と思っているような人にちょうどよい一冊。笑
内容としては、言語学の深く広い世界のほんの上澄みかもしれないけど、充分に驚きと発見をたくさん楽しめた。
ラップや歌、アニメのキャラクターへの名付けの側面から紐解かれることばの謎も、ちょっと難しかったけど、次々繰り出される日本語の発見パンチにページをめくる手が止まらなかった笑
あと共感したのが、日本語は難しくはあっても決して特殊な言語ではないということ。どんな言葉も平等に大切ですばらしい。英語のほか中国語や韓国語にも触れる機会があって、それぞれに発音の特徴やことばの歴史をたどることに楽しみを見出しているところなので、先生と同じように感じていることが嬉しかった。
外国語を勉強する時も、「できない=恥ずかしい」ではなく「できない=可愛い」のマインドを持っていきたい。
言語や部族名など、白人目線からの蔑称が歴史的に残ってしまっているものを改名していく動きにも、言語学が大きく関わってくると知ったことが驚きともに納得感があった。それも言語学の担う大事な仕事なんだ。
少数言語話者がコロナ禍で感じた不安を払拭しようと動いたり、難病の方を声を残すためにマイボイスを作ったり。
言語学の分野がいろんな方向から社会とつながっていく様子が手に取るようにわかってワクワクした。
読み終わる頃には、すこしの興味はもっと大きく膨らんで、「もっと知りたい!」の種を見つけられる意義深い1冊だった。
先生の授業、1回受けてみたかったな!!
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分かりやすく取っつきやすく面白い。
エルデシュ数とベーコン数おもしろい。
ポール・エルデシュが気になって調べた。Wikipediaでポール・エルデシュを見つけ、語彙や署名のところがスゴイ面白かった。
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タイトルに「言語学」というワードが入っており、難しい本かなっと思い、読んでみましたが、とてもわかりやすく解説されており、楽しく読むことができました。言葉について専門的に学んでいない人にも優しく教えてくれる本だなと思いました。
タイトルに引かれた方はぜひ読んでみてはいかがでしょうか??
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色々発見もあるし、研究(自由研究)ってこうやると楽しいなー、あと趣味でも身近なところからモノを考えるのは、人生を楽しくするなあ。読み返したいところがたくさんあるのでKindleでも買おうかな。
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川添愛とはまた違って、音声学からアプローチする言語学の啓蒙書。アニメのキャラ名が半濁音を多用する訳は日本人には感覚的に自明であるが、学問的に追求、理論化して英語圏の研究者にも評価されるということなどを解説する。自画自賛をやたら連発する語り口には反発を覚えながらも、意義ある研究成果であることには異議は唱えられないところ。
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言語学ってなに?ってレベルだったけど、学問の本らしからぬハジけた装丁(うまい)と、ドラクエやポケモンなどの文字列にまんまと惹かれて読んでみた。
そして期待通り、わかりやすく楽しく言語学・音声学を学べた!
一緒に法則を発見しながら読んでいけて、面白さがちょっとわかった。入門としてとてもすてきな本。
普段意識していなくても、自分もみんなも当たり前に身につけている言語や音声の法則がこんなにあるんだなあ。英語圏の人が英語の構造をそんな理解せずに使っているという感覚が謎だったけど、日本語でも同じことが起きてて理解できた。「にせたぬきじる」も、当たり前に「にせたぬき」+「しる」だと分かる。
連濁とライマンの法則は特に面白くてお気に入り。日本語は「っ」+「濁音」が嫌い、ひとつの単語にふたつの濁音が入ることを嫌う、本当だ!
ハ行はもともとパ行だったという話も、清音(無声音)と濁音(有声音)の比較を見て納得!t・d、k・g、s・zの関係性と、h・bの関係性は違って、同じなのはp・b。とっても面白い。
ドラクエの新しくできた呪文いまいちどれが一番強いのかわからんなーとストレスを感じてたのは、これまでの法則に当てはまらないからだったんだな。子どもながらに無意識に法則を理解していたらしい。ポケモン名とかは意識的にわかってたけど。
人の名前が本人や周囲に与える印象や影響についても考えていたのだけど、音声学的にも裏付けがあるということで、今後名付けの際には両唇音だ濁点だとか考えながら決めたいと思う!
学問的にも勉強になったのだけど、著者さんの視点や生き方からも学べるところが多かった。
“言語学者は、特別な理由がない限り、言語に対して「かくあるべし」という言い方をするのを好まず、「あーこういうことが起きたんだー。どうしてそうなるんだろー」と観察と分析に心血を注ぐ生き物なのだ。” (p.168) とか、“「できない=恥ずかしい」ではなくて、「できない=可愛い」の方が強いんじゃないかな” (p.174) 、東京方言を標準語を呼ばないし訛りは素敵だとか、物事を見る時の柔軟で優しい視点、とても素敵だと思った。見習って、「間違いだ!直せ!」ではなく「かわいいな」「おもしろいな」と思う心で生きたい。
それに、とても楽しそうに生きているなという印象を受けた。日常の中でも研究の中でもおもしろいものを見つける態勢ができている。わくわくして、自分の足で動いて、自分の頭で考えて、人に感謝して、人の役に立つことを考えて。もちろん楽しいだけではないけれど、楽しむ姿勢が素晴らしい。自分が持っている限られた時間も、こういう風に使っていけたらいいよな。
あと、山寺宏一さん、すごいとは思っていたけど言語学的観点から見ると益々すごすぎて大尊敬!ジム・キャリーの吹替の時は英語訛りになってる、かまめしどんの時は母音も子音も宮城方言で素敵な鼻濁音、銭形警部の時はアメリカ人声優のように声帯だけでなく披裂軟骨も振動させている、とか何⁉︎ 神にもほどがあるよね‼︎
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書評で知り、装丁が気になって読んでみた。
近々に読んだ『音声学者、娘とことばの不思議に飛び込む 』と同じ著者と読み始めてから気付いた。万人向けでどちらか読むなら本書、子育てに興味があるなら後者をおすすめ。
言葉遊びが気になったり、好きな方にはうってつけで、そうでない人には気になるきっかけになると思う。
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もともと興味のある分野だったということもあるが、内容は間違いなく面白かった。唯一のネックだった文体の寒さというか痛さは、後半に行くにつれて減じていったので一安心。
漢字1字の2字の読みに見られる子音や母音の限定とか、促音化する語しない語の違いとか、どれも面白くてとても覚えきれないので、手元に置いていつでも参照できるようにしたい。
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一冊の情報量、凄すぎる…。母音3要素・構音点・共鳴vs阻害音や両唇破裂音における音象徴・音声の3尺度・呼吸法・方言と鼻濁音・エントロピー・連濁・無声化・文の構造 などなど。
楽しく読みました。感想は、音声学って学生時代から好きだったけど、この本は今まで読んだ本の中でも面白い。身近なテーマで入門にとても良いと思います。ライトに書かれているけど、用語の難しさはあります。けれど、言語学(正しくは音声学)に興味のある人が読むから大丈夫、多分。
言語学界隈で人気の川原先生の本。良い研究者はユニークな実験をされているのね…そしてそれを思いつく事がすごい。こんなに有名な先生でも世の中の役に立っているのか悩むなんて驚きです。研究が臨床現場のエビデンス検討や効率化を支えてくださってます。世の中の役に立っています。研究者の皆さん、ありがとうございます。