紙の本
執着がすごいふたり
2022/08/23 12:48
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投稿者:かいえ - この投稿者のレビュー一覧を見る
平安を舞台に、二人の青年が怪異にまつわる事件を解決する話。
頼寿は、魑魅魍魎に好かれやすいというよりはもはや当たり屋ですが笑
同じ表現が何度も使われていたり、平安時代なのに「平安時代では〜」という説明が入ったりしている等、文章の違和感は多少ありましたが、途中からは気にならなくなるくらい夢中で読みました。それくらい、自分の好みとピッタリ合っている小説でした。男性同士のもどかしい関係が好きな人は必ずハマると思います。続編が欲しい。
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最初の事件こそあっさり解決しちゃったけれど、後半になるにつれて事件が複雑になっていって面白かった。
『小さき女童』は切ない展開ながら可愛らしい話で印象的だったし、『肝試しの夜』は頼寿の危機に晒されたため、千景が犯人に対して冷徹な態度を取ったのも印象的だった。
大事な友のためなら、鬼になれる。
頼寿の千景に対する執着は結構なもの。
作中に色々フラグを立てているので、彼の友情以上の想いはおそらく本物だろう。
となると、もしかして千景は……と思ってしまった。
その辺りの種明かしがあるのかと思っていたらなかったので、つい妄想してしまった。
(単に男性同士の話かもしれないが)
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怪異に見舞われやすい体質の頼寿と、彼を守る役目である陰陽師の千景。ある夜、宴に招かれていた頼寿はとある男の殺害の嫌疑をかけられてしまう。不可解な状況にあやかしの気配を感じた千景は頼寿を救うため、ともに調査へ乗り出す事に。
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こちらは文章を書くことに胸やけを起こしていた時期に読了した一冊。7/16に読了していた記録になっているので、一か月以上も寝かしていたことなってしまっている。誠に申し訳ないです。 こちらはキャラクター文庫系であるファン文庫から出版されており、その名の通りかなりキャラの立った登場人物たちが織り成す物語である。個性が生き生きとしているので、まるで漫画やアニメを見ているような感覚である。 眉目秀麗で人柄もよいが、幼少の頃より怪異の類に好かれやすい頼寿と、その頼寿を同じく幼少の頃より守護する役目を請け負った千景。そんな彼らが不幸にも怪異に巻き込まれたり、依頼人のために自ら怪異と対決をしたりという展開が主だった。 短編集であり、収録されている話は5話。いろいろな話が読めて面白かったが、お気に入りの話は「小さき女童」。
ある日頼寿から不思議な相談を持ち掛けられた千景は頼寿の近くに寄りそう山吹色の着物を着た童女が目に入る。明らかに人間とは異なるものではあるが、ついに子供をもうけたのかなどと皮肉めいた冗談を交えつつ、状況を探る千景。最初は身に覚えがない怪異の出現に困惑していた頼寿であるが、童女が自分に対して害がない事を知り、愛らしさを感じ始める。何者か分からない者に絆され始める頼寿に若干の焦りを感じながらも、単身調査を続ける千景はその果てにある、なんとも切ない結末を知るのであった。
他の話は恐ろしい怪異や妖怪が出てきてドキドキした話だったが、この話は愛しくも、切なく、悲しい話であった。童女の正体はこの話の肝なのでお話しできないが、その健気な姿に思わず胸を打たれてしまった。 彼女は頼寿と共に少ない時間を過ごせて幸せだっただろうがこの結末は悲しいばかりだ。また彼女は頼寿と会うことができるだろうか。また会えたらいいなぁ。
さて、これは余談であるが、この本に出てくる頼寿と千景は友人であり、バディであると思っていたが読み進めていくとちょっと違った。 友人関係とも腐れ縁とも違う別の執着が二人の間にあるようだ。はっきり言ってしまえは同性愛の様な感情が少し見え隠れする。まあそういうこともあるよな、と思いながら私は読んだが、そのつもりで読んでいなかったのでちょっとビックリした。その手の話に偏見はないが、やはりちょっと驚く人がいるかもしれないので一応書き記しておこうと思う。