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祖国、領土、民族、文化‥‥生まれついた場所によって負わされざるを得ないアイデンティティについて考えさせられた。とても良く練られた歴史小説だと思う。
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ポーランドと南極と大熊庭園と樺太と。琴がよかった。こういうのが聞けたり地図を見ながら読めたりは今ならでは。
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彼らはただ、そこに生きていた。
「文明」と争いがもたらす荒波にのまれながらも、アイヌの文化や誇りを胸に抗い続けた人々に胸が熱くなるし、知らなければならないと猛省した。
カタカナ人名が覚えにくく随分ゆっくりと読み進めたけれど、逆に、反芻しないとこのストーリーは消化仕切れなかったと思う。
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樺太(サハリン)を舞台に、アイヌの文化をめぐる人々の熱意に満ちた歴史小説だった。生きている限りそれは私の体にもあるのかもしれない。
国と国がぶつかって1つの島を奪い合う。国としてはそうやって戦争を始めてしまうが、巻き込まれた先住民は故郷が戦場になり住めなくなる理不尽に見舞われる。次々と大切なものが奪われる。戦争未経験の私には想像しづらかった部分が分かりやすく書かれていた。
地球のどこに誰から生まれどんな文化を持っていても、そこに優劣はないというメッセージが、一冊を通して強く描かれている。自分のアイデンティティを決めるのは自分で、他者にとやかく言われることではない。国籍や人種に関係なくただ目の前の人を見ることの重要性がもっと広がっていけばいいなと思う。
終章が1番引き込まれた。運命に導かれるように再会した琴の音色。日本が降伏したことを知らず切り替えられない現場の兵士の混乱には胸が痛んだ。命令を受け殺し合っているのは血の通った人間同士なのだと思うと心底悲しかった。今改めて認識すべき事柄だと思う。
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遡ること70年前のアイヌ民族を中心とした物語。かなりの長編。解説を読んで、やっとメッセージ性がわかった。
少数の民族は言葉も文化も慣習も奪われてしまい、忘れ去られてしまう。大人数が同化させようとするのだ。ロシア侵攻や中国台湾問題なんかもこれに当たると思われる。直木賞に相応しい作品だ。ただ私には難しかった。
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直木賞受賞作だけあって話の構成や情景描写が素晴らしく、物語に引き込まれました!
ただ、見たことない漢字や言葉が沢山あったので少し読むのに苦労しました(笑)
印象に残ったシーン
・チュフサンマを樺太に残し、一人で母国の独立革命に向かうブロニスワフに対してイペカラが「馬鹿」と放ったシーン
イペカラの「馬鹿」というセリフは度々使われていましたが、このシーンでの「馬鹿」には複数の思いが込められていると個人的に感じました。
1つ目は、独立革命を応援する思い。
2つ目は、残されたチュフサンマのことは私に任せろという思い。
3つ目は、好きな人だからずっと樺太に残ってほしい思い。
読了した方はどのように感じられましたか?
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どっしりと、濃厚な物語だった。
歴史小説独特の重さがある上に、接点の無い二人の話が交互に進むこと、また登場人物がかなり多いことから読みにくさを感じる部分もあったが、最後まで読み切って良かったと思う。
自分は何に属するのか、何かに属さなければいけないのか。
土地は、決まった«誰か»の物でなければならないのか。
自分は日本人として生まれ所属やルーツに疑問を抱いた経験は少ないが、
この小説の中で、様々な想いと葛藤を抱きながらも「自分」という人間を貫くそれぞれの人生に、色々なことを考えさせられた。
いつか、自分たちの子孫が、自分のルーツを知りたくなったときのために。
自分たちの代が終わっても、形式上は滅びてしまおうとも、自分たちがルーツになる子どもたちのために。
読み終わったときには、微かな熱と希望を胸の中に感じた。
【この本から得たこと、考えたこと】
・領土問題の実態
・アイヌの人たちの生き方や苦悩
・サハリンやロシアを巡る歴史
・社会主義の考え方
・教育の必要性と利用のされ方
・戦争の意味
・暴力という手段の是非
・大隈重信や二葉亭四迷、金田一京助への興味
・自分にも、何かできることがある。
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いままで読んだ本の中で圧倒的に心にぶっ刺さった。おもしろい、おもしろい、おもしろい…と何度もつぶやいてしまうような本。
読み終わったそばからまた読みたくなる。
笑いあり涙あり、歴史の勉強にもなる。
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とても熱い物語でした。自分が何者か永遠に問い続ける人達。それにしても流氷の上を犬ぞりで走り続けるなんてハラハラしちゃう。
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樺太に住むアイヌの物語。
国を持たずに自由に暮らす民族と、近代的価値観に基づいて文明化を進める近隣諸国。
アイヌはもう日本の一部(と言って良いのか分からないけど)だけど、今でもアマゾンの奥地とかでは、国を持たない人たちも存在するんだよね。
“熱”が人間の生きる力になっているというのは、素敵なことだと思った。
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どれだけ熱い展開が待っていても「でもこの後に第二次世界大戦が来てしまうんだよな……」という思いがちらついてしまって結構緊張しながら読んだ。
でもそれらは杞憂で、そうなってほしいと思ったところに物語は着地していた。
新年一発目から良い読書体験でした。
私は思わぬところで運命が交わる人たちの物語に弱いのでこれも見事に心に刺さって泣いてしまった。
あと超個人的な話だけど『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』を偶々読んでいた私は本当に運が良かった。
巻末に参考文献がいっぱい載っていたので時間を作ってそっちも読みたいです。
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川越宗一さんの『熱源』を読了しました。
ロシア人にされかかったポーランド人
日本人にされかかったアイヌ人
が主人公の熱いお話。
これら主人公の壮大で熱い生き様が堪能できます。
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戦争や民族についての知識は薄い一学生ですが人間の希望から絶望まで全ての感情を描かれていました。希望の中には命に対する喜びや家族や生活など些細な幸せ絶望の中にも生きることを諦めない手探りながらも一生懸命に生きる人間の姿があり胸が熱くなりました。私の特に印象的だった部分はブロニスワフが演説するシーンでの台詞です。本当に一言一言の重みというかそこを何度も読み返してしまいます。この本に出会えてよかったです
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昔の北方領土対決を感じた。
アイヌは日本に
ポーランド人はロシア人に
国の問題は今もあるけど、昔の方が大変そう
そんな中で、自分を見失いつつもどこかに、熱を感じ、それを頼りに生きていく。
長かったし、横文字が多くて大変だったけど
最後はタイトルも回収されて、スラスラ読めましたっ
熱源、良い言葉
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以前、北海道に住んでいたことと、直木賞受賞作ということで図書館で借りた。
視点が変わるので、3分の2までは、そこまで熱中できなかったのだけれど、ラストは惹きつけられて読んだ。
作者が伝えたいことが多くあり、それが「熱源」となって迫ってくる、という感じ。
でも、アイヌやサハリンの知らなかった歴史を知ることができ、読んでよかった。