紙の本
民主主義へのアクセスを多面化せよ!
2022/07/31 16:34
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:サンバ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、選挙という制度を「雑なデータ処理装置」と断罪。複数のアルゴリズムを用いた多面的で無意識に進める民主主義を提唱する。
アルゴリズムを経由することは「神託」であることを認めながら、選挙で選ばれたで人の決定あれば神託でない、ということでもないと指摘。政治家の役割は、意思決定と世論のガス抜きのうち、後者のみ負う未来になると予測する。
「機械に責任を取らせることはできないというのは、高齢者の政治家に死んだ後も責任を取れと言うのと同じ。」という論法をはじめ、暴論も多く、それは筆者自身、何度も言い訳している。
内容面で一番の懸念は、アルゴリズム専門家の「運用」だ。ここを、消し去りたかったはず政治家または利権屋に握られれば、より複雑に不可視の民意操作が生まれる。いかに「民衆の決定」を担保するかは戦いの連続なのであろう。
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奇抜なようで納得できることが多い
2022/12/31 17:23
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投稿者:とりこま - この投稿者のレビュー一覧を見る
民主主義やこの国の仕組みについて漠然と不満を抱いていたことを言語化してくれている。つぶさに見ているわけではないが、今の選挙制度の矛盾や技術が発達した現在の選挙を継続する理由は何もないことなど、既存のメディアではあまり目にしたことがなかった。
技術の進歩に人間の頭が追い付いてなく、巷間叫ばれる選挙制度改革など改革と呼べないのはまさにその通りだと思う。
アルゴリズムを使った無意識民主主義が正しい方法なのか分からない。でも、今のままが正しいわけでもない。むしろ、今のままではジリ貧となるばかりだと思う。
この本のように将来に向けた民主主義のあり方をもっと垣根なく、タブーなく語れる社会になることがまず求められているのではないか。時間は限られているので、悠長に構えている余裕もないとは思うが。
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案外、まじめに書かれている本
2022/10/04 21:58
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投稿者:けんけん - この投稿者のレビュー一覧を見る
アルゴリズムによる無意識行動の分析からの政策決定など、一見目新しいことを書いているようで、先行研究を参考にした未来予測本だなと思いました。それ故に、物足りなさがあるのも事実です。
アルゴリズムに頼ることの弊害は?だれがどのような権限でバグを修正するのか?などなど、疑問に残ることや、想像するに崩壊への序曲だと感じてしまうようなことが多かったです。それ故に、自分が民主主義の何に期待し、していないのかが見えてくるのではないかなとも思いました。
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アルゴリズムは政策選択肢の提示までがよいのでは
2022/09/13 09:04
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投稿者:とらとら - この投稿者のレビュー一覧を見る
アルゴリズムで政治家が代替される可能性をポジティブに主張している。ただし、現状その実現には、アルゴリズムの透明化などが課題となるとも指摘。
個人的には、アルゴリズムで政治判断が「無意識」に実施される、という状況は難しい気がする。技術的な面もあるけど、正当性と納得感を得るには、なんらかの判断と意思をとるプロセスが必要では。アルゴリズム自体を選択するときに、それを行えれば、それはそれで成り立つとは思うけども。
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膝を打つ、しかし、ではどうすれば…
2022/09/01 17:00
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投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
話題の一冊。評判にたがわず面白く、一気に読ませる。
書いてあることは奇抜なようで、まさにその通り。
冷静に考えれば、若者に選挙に行け行けと言っても、絶対数から見ても若者全員が選挙に行ったからといって現状が変わるわけではなさそう。
議員(政治家)のキャラ化が進んでいる今、それが猫とゴキブリに取って代わっても同じことだというのも、分からなくもない。
現状を変えるには、社会の構造を変えるしかない、「革命だ」というのも、まあその通りだと思う。実際、それに近い、現状からの「逃走」事例(現実逃避の策)などは紹介されている。だが、実際に起きたそれらは悲惨な結末を迎えていたりして、現実的ではない。
ではどうすれば…。結局そこにぶち当たる。
著者本人も最後のほうで、実践を示していないことに触れ、開き直っている。
そこからを考えるのが、現状を何とかしたいと思っている読者の仕事だろ、ということなのかもしれないが、結局、人類は昔から、堂々巡りを繰り返すばかりなのだろう。
楽しくは読めるが、最後まで読んで逆に、悲観的な気分になった。
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テレ東大学(YouTubeチャンネル)の「Re:Hack(リハック)」と言うひろゆきさんとの番組で一躍「時の人」となった(東大や経済学界隈では十分に有名だったみたい)成田さんのデビュー作。同書がたくさん読まれれば、日本の未来に風穴が開くかもしれない。実験的な試みが生まれてほしいと切に願う。
テーマは民主主義。それも特にズブズブのシルバー民主主義に陥る日本の政治についてである。論文執筆と司会進行および議論の深め方に精通されている成田さんだけあって、政治学と社会学、哲学、経済学が複雑に交差して情報爆発を起こしがちな民主主義の課題と解決策をスパッと簡潔に整理してくれている。
まず民主主義が残念だとは言え、それでも独裁・専制への回帰は選択肢には入れない。「プーチンの自爆的侵略」や「習近平の社会や経済に何するかわからない感」は民主主義の問題よりたちが悪いからだ。
その上で日本の民主主義へのアプローチは、大きく3つ。
1つ目が民主主義の問題と「闘争」する方向性。2つ目が現在の民主主義からの「逃走」を試みること。資本主義の勝者たち(金持ち)がタックス・ヘイブンや租税回避するように、失敗に次ぐ失敗を重ねる既存の民主主義国家から逃走して、より良い政治・行政サービスを再構築していこうとする試み。そして3つ目が民主主義の理念に立ち返って「構想(仕組みを再発明)」する方向性だ。
ルソーの「一般意志」を東浩紀さんが「一般意志2.0」として受け継いで、さらにそのバトンを成田さんが本書でビッグデータ時代だからこその「無意識データ民主主義」という概念にまとめてくれた。このバトンを実践に移せる次の走者が現れるのを見てみたい。
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最後の構想のところは、東浩紀さんの『一般意志2.0』で展開される話を思い出しました。結局民主主義から逃亡を目指す、あるいは現実的に逃亡ができそうなのは、一部の超富裕層・エリート、つまりエスタブリッシュメントのみで、それが端的に表れているのは、本書でも書かれているピーター・ティールの「もはや自由と民主主義が両立しうるとは思わない」という言葉。この辺の議論は、『ニック・ランドと新反動主義 現代世界を覆う〈ダーク〉な思想』が大変参考になる。
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資本主義≠民主主義
しょっぱなから、あぁそうかという気づきがあった。
論文形式のフォーマットなのも読みやすかった。
闘争、逃走、構想の3つの考えでも成田さんの中で
伝えたいのは、これかなーという部分が肉厚に書かれていた。
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YouTubeの日経テレ東大学やabeama関連の経済番組などで見かけることの多い、その筋では多分現在一番人気の成田悠輔さん初の著書。現在(2022年7月9日)ちょうどタイムリーな選挙や政治、民主主義のルールを変える(つまり革命)成田流の未来が描かれた作品。現在の民主主義がいかに危機に瀕しているかがデータを基に語られ、選挙やその周辺の仕組みをどう変えればいいか? そしてその解決法までが詳細に語られる。なぜか誰も傷つけない成田流ディスり節は健在、成田さん好きにはオススメの一冊。
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うーむ
他の方も指摘しているだろうけれど
アルゴリズムによるAIが間違うってことが多数している中でその吟味なく素朴にアルゴリズム民主主義っていうのはナイーブすぎるのでは?
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なぜこの本を読もうと思ったか?
成田悠輔さんの初の著書で気になったため。
この本を読んで何を得たいと思ったか?
民主主義の未来について知りたいと思った。
読んだ後にどのような状態になりたいか?
未来の民主主義について考えてみたい。
失われた20年というのは(日本が代表的な国ではあるが)日本に限った話ではなく、民主主義国家全体に当てはまる。
民主主義と親和性の高いと思われたSNSにより、扇動と分断がもたらされたことが大きく、民主国家の経済も閉鎖的で近視眼的になった。
瀕死の状態の民主主義との対峙の付き合い方として、闘争・逃走・構想がある。
闘争は液体民主主義の導入など既存の制度を改良するものだが、既存の選挙制度で勝って地位を築いた現職政治家がこのような選挙制度改革を行いたくなるだろうか?と考えると実現可能性は心許無い。
逃走は資産隠しのタックスヘイブンのように既存の国家を諦め、既存の国家から逃げる(デモクラシーヘイブン)ことだが、ごく一部のエリート層や資産家以外には実現が難しい。
構想として考えたいのが、無意識データ民主主義だ。選挙で投じた一票ではなく、無数の無意識な民意データ源に基づいてアルゴリズムが意思決定を行う。
無意識民主主義は大衆による民意の意思決定、少数のエリート選民による意思決定、そして情報データによる意思決定の融合であり、そこに調整役の政党、政治家は不要となる。
市民の熱狂や怒りを受け止めるマスコットとしての政治家の役割はネコやゴキブリに、選挙はアルゴリズムに置き換えとなる。
無意識データ民主主義はSFとは根本的に異なり構想というより予想である。
成田悠輔さんのTVで語っていることの全貌を知れた気がして、とても興味深かった。
TVよりもエッジが効いていて読んでいて面白かった。
たしかに、既存の選挙制度はあまり古臭く雑で、政治家は責任を取るには年老い過ぎている。
AmazonやGoogleのアルゴリズムの凄さを見てると選挙が無意識データ民主主義に、政治家がキャラクターに置き換わる日もそう遠くないのかもしれない。
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切れ味鋭い成田さんの本、一冊目。
思考としての飛躍はもちろんあるものの、思考実験として非常に面白いし、「疑ってないことほど疑わしい」はまさにと思った。
資本主義と民主主義の関係性は再考できた。
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令和4年 時の人となった成田悠輔
時にシニカルに、時に大胆に、さまざまな社会問題をエッジの効いた発言で切っていく様は
「おもしろきこともなき世をおもしろく」高杉晋作
を体現しているようでもある。
決して人を説き伏せることに注力せず、深い問いから本質迫るソクラテス的問答法は学ぶものがある。
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参議院選挙に投票しにいったあと、もやもや感を抱えながら本屋に行ったら出会った本書。この本の前半に書かれている通り、民主主義はほとんど瀕死だと思う。
資本主義はテクノロジーの進化を取り入れて、ますます高度に(良い悪いは別として)全力駆動しているのに、本来資本主義の暴走に釘を刺すべく民主主義がほぼ死んでいる。このご時世で、自民党の候補者や公明党やらがたくさん議席を確保するのって何がどう正当化されてるのだろうか?参議院でいうなら、過去6年間でどれだけ日本が良くなったというのか、、??
本書の後半で紹介されている無意識民主主義は壮大なビジョンでしかないし、アルゴリズムに支配される世の中はハラリがディストピアとして憂慮している世界そのままだが、個人的には政治に関してはアルゴリズム化するほうが全然マシだと思った。なので大賛成だが、いまの政治家、その政治家たちに票を入れる日本人が多くいる世の中では、当分は変わらないのだろうなと、、黒船が現れて、危機感が煽られて変わっていくことを切に望む。
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ラディカルに物事を捉えるのは凄い。唸るほど。
でもこの本にあるように判断基準から人間の意識を省きアルゴリズムに過度に依存させ過ぎたその先には、もはや人間には解決できない問題が残るはず
それなら僕は、欠陥だらけの今の方がいい