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最近は★5つを乱発しないようにしているのですが、本書はためらうことなく★5つです。
児童向けのミステリだと思ってましたが、対象はちょっと上の中学生以上のようです。
ですが、読書好きな小学校高学年なら楽しめそうなストーリーです。
中学1年生のテッドが物語の語り部で、見聞きしたものを素直に受け入れ論理的に解釈する優れた頭脳で謎を解決していきます。
テッドの頭脳と張り合うように、自分も謎解きに挑戦しながら読みました。
サリムがロンドン・アイから消えた謎については、これが怪しいと目を付けたものがテッド予想の中にもあって当たりでした。
当たりでしたが詳細はかなり違っていて、複雑な仕掛けがありました。
さらに、謎はサリムが消えたように見せかけたことだけでなく、消えたトリックが暴かれた後も姿を表さないという2つ目の謎がありました。
2つ目の謎はちょっとしたハプニングによるもので、ここに気づいたテッドの推理は見事でした。
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http://blog.livedoor.jp/bunkoya/archives/52604202.html
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今年はあまり多く読めていないけれども、まちがいなく今年読んだなかでのベストであろうという作品。
単にプロットが、とか謎解きが、というだけでなく、文章のひとつひとつが美しく、いとおしかった。
明記はされていないけれど自閉スペクトラムの少年テッドが主人公。彼はまわりの空気を読んだり、人の感情を忖度したりしない。感情に流されずに事実だと思われること、論理的だと思われることを着々と積みあげていく。それが周囲の人たちの感情をかき乱してしまうさまがあざやかに描かれていて、ああー、となった(語彙)
行方不明になったいとこのサリムと同じ姿形の少年の遺体が発見される場面がすばらしかった。母親やおばさんは、それがサリムかどうかということしか気に留めていない。でもテッドは、それがサリムにせよほかのだれかにせよ、死んで安置所に横たわっている少年がいるということで頭がいっぱいになる。
「いつかぼくも死ぬ。カットも死ぬ。ママも死ぬ。パパも死ぬ。……この地球上の生き物はかならず死ぬ。死ぬか死なないかではなく、いつかかならず死ぬ」
作者がこのときもう病を得ていて、本書(原書)の出版された2か月後になくなったことを思うと、この一節が痛切に感じられて、でも同時になにか慰めのようなものも伝わってきてぐっと来た。
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「児童ミステリーという勿れ」である。
終始テッドの頭の中を覗いて、その複雑な回路を理解して謎解きを見守る。
叔母、母親、姉と登場する女性たちは全員もれなく
ヒステリックでイギリスの女性はこんなんなの?
と終始イライラさせられたけど( ̄▽ ̄)笑
これを読んでる子ども達も
「テッドの話しをちゃんと聞いてよ‼︎」
と叫んだに違いない(*´-`)
テッドを理解し受け入れ始めての第二作があったはずで、シリーズ化するはずだったであろうに。
作者が亡くなった事が残念です…
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大人も子どもも楽しめる傑作YAミステリ。
アスペルガー症候群を患うテッドとその姉カットが、ロンドン・アイ(ロンドンに在る巨大観覧車)に乗ったきり降りてこなかった、いとこのサリム失踪の謎を解こうと奮闘する物語。
全41章、やや短めの章立て。
越前さんの訳が素晴らしく、読み易くてさくさく進む。
でも内容は大人向け小説にひけを取らない程に濃い。
かのロンドンの探偵を彷彿とさせる謎解きもさることながら、姉弟の信頼関係の再構築、病を患う者とその家族の絆、ときに犯す大人の都合たっぷりの言動への自戒、登場人物全員の成長物語。
何と言ってもテッドが魅力的過ぎる。
真面目で、真剣で、嫌な思いに合っても必要以上に他人は責めず、病にもへこたれずに、夢を持つ。
言葉を額面どおりに受け取ってしまい、ときどきおかしな解釈をしてしまうけれど、読者からするとそれがユーモアのようにも、決して間違っていない解釈のようにも感じる。
何よりテッド自身が何か違うと思い、自分で調べたり他人に聞いたりして、ひたむきに皆と同じになろうと試みるところが健気で応援したくなる。
結末も納得のハッピーエンドで爽やか。
惜しむべきは作者は若くして逝去されているとのことで、今後訳されるであろう作品はそう多くはないであろうこと。
そもそも原稿として未完のものも多く、他の著者が加筆して世に出されているものもあるらしい。
貸出延長できたので小6の娘に手渡しておいた。
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ビスト最優秀児童図書賞受賞作品。
YA小説でありながら素晴らしいミステリ作品に出会えて最高に気持ちのいい読後感だった。
12歳の少年テッドが、姉といとこのサリムの3人で巨大観覧車ロンドン・アイに乗るため長い列に並んでいるところに、見知らぬ男がチケットを1枚譲ってくれた。
テッドと姉のカットは、下で待つことにして観覧車に乗り込むサリムを送り出す。
だが、1周してきた観覧車のカプセルから降りた乗客の中にサリムの姿はなかった。
サリムは、どこへ消えてしまったのか…。
この失踪の謎をテッドは、カットとともに解き明かそうとする。
自分のことを〇〇症候群であり、普通ではないことをわかっているテッドは、将来気象学者になると思っていてすべての状況を天気にたとえる。
そして、9個の仮説を立てて当時の状況を思い出しながら消去していく。
大人は、けっしてしないであろうことをテッドが常識にとらわれずに、筋道を立てて論理を積み上げていく。
そして、よく周りを見ている、人間観察力も凄いのである。
生きづらさや孤独を感じていたテッドが、姉のカットとともに一生懸命に事件解決に向かっているのが、夢中になること間違いなしである。
大人は、しっかりと子どもの話を聞くべきだなと反省できることも大人にお勧めの一冊であると思う。
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少々変わったところのある12歳のテッドが、ロンドンアイで失踪した従兄のサリムを捜す。姉のカットも何だかんだと言いつつ協力して、最後は大団円。
大人は子供の言う事にもっと耳を傾けるべきだいう教訓も。
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児童文学なんですって⁉︎ 子どもたちだけに読ませておくのはもったいない‼︎ むしろ大人にこそ読んでもらいたいです。〈あるシンドローム〉を持つテッドの言動に触れることで、自閉スペクトラム症の特性が多くの人に受け入れられたらステキだなぁと思います。
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テッドの頭の中に入り込んで一緒に考えたような錯覚に陥りました。「アーモンド」を読んだ時のような不思議な感覚。自分にはない回路で動く思考の波に乗ることができたのは貴重な体験でした。気象の話を詩を読むかのように語るテッドが、とても魅力的。お話はとてもシンプル、でもテッドとカットができる限りの知恵と行動力で解き明かしていくさまに胸が熱くなりました。そして、なんといってもロンドンにいるかのような気持ちになれたのが最高!中学の頃から憧れてていまだに行けてないロンドン、いい加減行って絶対にロンドンアイに乗る!と決意しましたね。次はグッゲンハイムとか。こちらも憧れの美術館、どんなストーリーに出会えるのか楽しみでたまりません。ティーンエイジャーの皆さん、今作を読んで楽しい楽しいミステリワールドにお越しくださいー。
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すっきりとした読後感。ヤングアダルトなのですいすい読める。”主人公の症候群”だけに言及されてたけど、叔母にも何かありそうな気配を感じた。
英の人種分布や歴史に詳しくないんだけど、英ミステリ、中央、南アジア系の人が出てくることが多い気がする。しかも若干の差別とセットで。
誰も殺されなかったので減点。
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事件の謎を解く鍵。それは、「どう見るかによってちがう。」
ロンドンにそびえる観覧車「ロンドン・アイ」に、いとこのサリムが乗り込んだ。12才のテッドと姉カットは、それを見ていたが、降りてきたカプセルの中にサリムはいなかった。サリムは誘拐されたのか、事件に巻き込まれたのか、それとも……。人の気持ちを察することは苦手だが頭脳明晰なテッドは、大人たちが解けないこの事件の謎を鮮やかに解き明かしていく。
「ぼく、八通りの仮説を考えついたんだ」
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ロンドンの大観覧車に一人で乗ったいとこが、一周した箱から降りてこない。消えてしまったいとこの謎を、主人公のテッドとその姉が追う。
YA小説という括りだが、謎も登場人物の背景も濃く、読み応え十分だった。
〇〇症候群であるテッドは生きづらいこともたくさんあるだろうが、自分の病気を理解しており家族も自然に接しているように見える。もちろんいい時も悪い時もあるが、むしろそれが自然。
どの人物もくどくどした説明はなく、簡潔で生き生きと描かれている。
その人物の描写中に謎解きのヒントがあちこちに隠されている。
短い章立ての中に、山場がいくつか用意されていて全く飽きさせない。
謎が解けたと思いきや、もう一捻り。
油断がならない。
あっという間に読めてしまう分量だが、説明を尽くしてページ数ばかり増えていくミステリとは大違い。本当に良質なミステリとはこういうものだと思う。
いや、ミステリという括りにしてしまうのはちょっと疑問。いろいろな側面をもっている小説だ。
翻訳も素晴らしい。
映画を観ているように情景が浮かび上がる。
誰も死なないミステリもいいじゃない⁉︎
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プロットや登場人物、物語が描く作品世界そのものが、どこまでも素直でまっすぐで、そして何よりミステリとしての意外性があって面白い。これほど爽やかにすっきりとした読後感のある、軽やかなミステリは久しぶりに読みました。
「なんとか症候群」を抱える主人公が、懸命に健気に周囲と接して、妹や親たちとコミュニケーションを交わして、事件の謎に向き合いながら、自分自身も成長させていく。王道な筋書きだけれど、それに真っ向から向き合って描いているから、だからこそ胸に迫るものがある。ごまかしのない人と人との向き合いと、抱える心情のリアルがきちんと伝わってくる。深々と感動を誘うような事件性がなくとも、心の成長や人との関係性の深まりはこうも綺麗に描けるのだな、と感心すら覚えました。
彼らの今後をもっと読みたかったのですが、(原案をもとにされた一作を除けば)もう叶わないこと、それだけが残念です。
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12歳のテッドは、姉といとこのサリムと観覧車ロンドン・アイに乗りにでかけた。見知らぬ男がチケットを1枚だけくれたので、サリムは大勢の乗客と一緒に観覧車のカプセルに乗りこんだ。だがカプセルが一周しても、サリムは降りてこなかった。閉ざされた場所からなぜ、どうやって消えてしまったのか? 「ふつうの人とはちがう」脳の仕組みを持ち、大人顔負けの論理を駆使する少年テッドが謎に挑む!
このワクワクする物語は、誰にでもお勧めできます。まさかの続編も楽しみ。
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『クセが強い少年探偵の、華麗なる謎解きをいかが?』
他人と異なる思考を持ち、気象学に詳しい12歳の少年が、大観覧車【ロンドン・アイ】から忽然と消えた従兄弟の謎を解く。ヤングアダルト向けと侮るなかれ、本格ミステリーを楽しみたい大人にもオススメの一冊!